大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

カテゴリ: イタリア社会

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フィレンツェの警察署(Questuraクエストゥーラ)に
紙の家族用永久滞在許可書から
(permesso di soggiorno permanente per motivi familiari)
電子カード(permesso di soggiorno elettronico)に
更新する手続きの申請に行ったのが二月のはじめ。

申請の時に渡された
申請番号(numero di pratica)なんかが書いてある半券の裏に
≪ poliziadistato.it のサイトで
カードができているか確認してから
月と金の9時から15時半の間に
引き取りに来てください ≫
とある。

噂ではとっても時間がかかるそうなので
とりあえず、三週間後にチェックしてみた。
(poliziadistato.it を検索エンジンにかける。
permesso di soggiorno のところをクリックすると
numero di pratica を打ちこめるページにとぶ)
まだ、できていない。。。

そうこうしている内に私も忘れちゃうので
テーブルに出しっぱなしにして
ちょくちょく気にするように
一ヶ月過ぎた頃にまたチェックした。

おぉ、できているじゃないか!
随分フィレンツェの警察も手際よくなってきたもんだ。
ここまでのオンラインシステムは向上したとおもう。

「カード出来上がってます!
SMSで引き取り方をお知らせします」と
まるでオンラインショッピングの注文完了のように出てくる。

私は、在住者のSNS情報や
自分の長年のイタリアあるある感に頼る。
みんなどうしてるのかなぁ。。。
そんな風に思いながら過ごすことって多々あるとおもう。
特にグループに所属してない孤独派だったり
日本人がいないこんなど田舎に住んじゃって会うこともない。
みんな忙しいだろうなぁと変な気ばかり使って連絡不精...

それでも、私より三か月前に申請に行っていた
フィレンツェ在住の友にどうしているのか連絡することにした。

さすがフィレンツェ在住者だ。
そのSMSはこないまま
申請時期はバラバラだが申請者三人で
クエストゥーラに突撃(!)したそうなのだ!

で、取得できた、という。...ほう。

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私は、半券の裏にある時間通り
金曜日の9時半頃出向いた。
うぅぅ、絶句するほど長蛇の列。

とりあえず、ドアマンしている若造警察官にたずねる。
アポはあるのか、と聞かれ
できてるってオンラインで確認してきてますけど、と
スクショしてある「できてます!」ページをみせる。
これはアポじゃない
今日は人がいっぱいいるから月曜日の朝早く来い
と追い返される。

でもこの長蛇の列の方たち...
私も彼らの真似して並ぶことにした。
角まであって先は見えない。
一瞬前進したように思ったのだけれど
ときどきドアマンしてる若造警察官やってきて
アポありの人を確認し
あとはさっきのように追い返しているのだった。

私だけ田舎から出向いてきてて...とは言えず
みんな何時間も待っているだろうし...
この先、何時間も待って若造警察官が言う通り無駄だったら...
なんとなく気落ちして
今日は諦めて退散することにしちゃったのだ。
突撃、失敗。

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でもこの日は9時から17時まで電車のストライキ。
ヴィンチに帰れない。。。

でも、なかなか会えない友に、行くことを知らせてあったので
田舎者がフィレンツェにやってきた!やぁやぁやぁ
と、急遽集まってランチを共にすることができたのであった。
嬉しい...孤独派にも気にしてくれる友はいる。

久々の日本人同士の会話。
そんなこんなんで警察や滞在許可書の報告をしあう。

私は、そう日本に帰ることもなければ旅行することもない。
国境を超えるための滞在許可書の提示には急いではいないが
仕事をしたり手当をいただいたり
イタリア人同様な手続きの申請のときに
私はイタリア国籍はないので滞在許可書の提示が必要
なのである。

ふだんは carta d'identità という紙の身分証明書と
tessera sanitaria というマイナンバーカード
この二つだけで事は済む。
その carta d'identità の発行申請時に
滞在許可書が必要なのである。

で、この carta d'identità も電子システム化され
(carta d'identità elettronica = CIE)
5年の期限が切れ次第、続々カード発行されている。

もしくは、うっかり我が思春期青少年のように
その紙の身分証明書を紛失した際の発行は
カードで再発行するのであった。

イタリア国籍をもつ未成年は
両親のサインで提出してあれば
そのカードでEU内をパスポート無しで自由に行き来できる。
片親のサインのみではそのカードでは
イタリアから出ることはできないそうだ。

この電子IDカード carta d'identità elettronica は
SPID(Sistema Pubblico d'identità digitale)の代わり
ともなるので、面倒なSPID取得より
CIEにしてしまった方が便利だね
と友たちと情報交換。

で、友の話によると
日本からイタリアに戻ってくるとき
当時紙の滞在許可書提示の前に
当時すでにカード化させていた電子IDカードを
ドイツかなんかのイミグレーションで提示したら
ぴっと機械でチェックしてすんなり通れた
というエピソードを聞いて
EUは繋がってるんだねぇと今さら思い知る。

その日、今日も
イタリアはEUの海の玄関であるニュースが流れた。

私は、17時に終わる電車ストライキにあわせて駅に向かった。
駅には、旅行客、仕事終わりの物凄い人でごった返していた。

私は、ホーム番号が出た瞬間
そのホームに駆けつけ乗り込んで
一人だったのでオラオラと前に突き進み
座ることができた。

それでも20分遅れ
エンポリの駅まで25分だけれども
立ってるのはイヤ!

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三人でSMS連絡なしで突撃した友に
報告がてらもっと詳しく時間帯などを聞くと...

友は11月の申請で半券には12時~15時半
友の友は昨年の6月申請で半券には14時~15時半
そのまた友の友は、郵便局申請だから時間指定なし

んで、三人は月曜日の11時半にスクショをみせて
30分並んで、整理券配られて中で3時間待ち
ということなのだ。

ランチ友は、コロナ禍に申請して
SMSが一年以上経って送られてきて
日時通りに行って中で2時間待ち

私は、SMSを待とうか迷ったが
2023年8月3日に紙の滞在許可書は無効になるという
お知らせもいただいたり
時間があるときに、出向いて取得しておかないと
また仕事を休まなくてはいけないこと
あとは、無効になっては急に必要な時に困る
と思って、腹をくくって再度フィレンツェへ
クエストゥーラに出向くことに決心したのだ。
本当にそんな気重い感じなのだ。

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私は、友の真似をした。
月曜日の11時半に出向いて、スクショを見せた。

ドアマン若造警察官はまた同じことを言った。
金曜日に来い、と言った。
もちろん私は今回ばかりは返答した。

アポはとれないのか、と訊いたら
アポを送るSMS作業は郵便局がやってるから
警察側は何とも言えないんだ、という。
責任を擦り付け合うイタリアあるあるだ。

もうわかったぞ、想像はつく
郵便局は半年に一回ぐらいまだ取りに来てない人
例えば300件を処理してるんだろうな、とか。

金曜日の9時半よりは全然人が少なくて
もしかすると4分の1ぐらいだ。
中から指令される若造ドアマンとしゃべってるより
並ぼうとおもった。

今日こそ引き返さない!
だって、この並んでる人たちも私と同じ
フィレンツェ県内に住む外国人で
滞在許可書の取得に来ているんですもの。

私の後にも同じ目的の人たちが数人並びはじめた。
あまり後ろは見ないからよくわかんないけど
じわじわと前に進んでくる?入ってくる南米系の青年がいる。
整理券を常に配っているわけではないから
前には進まないけど、グループで来てたりすると
たまに抜けたり入ったり隙間ができる。
そこに割り込んで進んでいるのだ。

私を追い越して
前の前にいる女の子の隙間を指さして
詰めろと言っている。
彼女は、いやいやここには壁に寄りかかっている
パキスタン人たちがいるから、と
無言でジェスチャーしている。

私の前には、アルバニア人ぽい男性が並んでて
その男性も追い越そうと青年はしてたので
その男性が声を出し、青年の腕を後ろにひっぱった。
青年も声を出したので
私も声を出したw
みんなが正しいよ
アンタは私の後ろにいたでしょうが!
後ろに行きなさい
私の前でケンカするのはやめて

というやりとりを見ていた私の後ろにいた中国人の女性も
じわじわ前に詰めてきていたが
後ろに引っ込んだw

んっもう、こんなことで。。。

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一時間後、整理券を配り始めた!

若造ドアマン、私の方をちらっと見て
「良かったね」と言った。
私はごちゃごちゃ言いたかったけど
「グラーツィエ」と言った。

整理券の番号からして70人前にいた。

彼らも一人に要する時間が把握できないから
人数制限しながら中に入れているのであろう。
一日に対応する人数を減らしたいのかもしれない。
とりあえず追い返しとけ。

午後時間が指定されていた半券をいただいた人は
期間や人数、時間ごとに調整されたのだと想像する。
はたまた贔屓か!

申請に来た時より中はだいぶガランとしていた。
座るところもまぁあった。

本を読んではちょっと居眠りを繰り返し3時間!
内、14時から15時10分ぐらいまで
窓口の方たちのランチタイム。

番号を呼ばれたときはウキウキだった。

カードの滞在許可書は封筒の中に入っていて
その中身を確認して、指紋も確認して
1分ぐらいで完了。っふー。

永久の滞在許可書だけれども
これからは、10年ごとに更新。

10年後、もう少しオーガナイズできてることを
祈るばかりです。
もう懲り懲りだけど。。。



今日の一曲。




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1月の冬休み明け、ある申請に
諸々の書類や身分証明書プラス滞在許可書を
持っていく用事があった。

担当した太っちょの中年男性は
いちいち嫌みっぽい言い方で質問する。
性格なんでしょうけど外国人対応に感じてしまう。

この人に限ったことではない
しばし、やなヤツに当たることがあると
その日が壊された感じだ。
そのくらい対応とか印象って
相手に影響するものだと、いつも学ぶ。

次々に書類を広げていって
今度は身分証明書の番だ。
コピーしたりしている。

次、滞在許可書。
「え、紙なの?ぼくは一応受けとるけど無効かもよ、コレ。」
マジ?! ちょっとドキドキしはじめた。

写真をみて
「全然今と違うじゃん。」
っるせーな、大きなお世話だよ!
嫌みを言われたので、大きな手術をしまして、、、
と人生まで語ることになってしまった。
でも太っちょは、ふーんという顔をした。

それもコピーしてるけど、太っちょだから動きが鈍い。
落としやがった。
しかも机の後ろの埃の溜まってそうなところに
舞ってしまった。
太っちょだからなかなかとれない。
私がとりましょうか、と言っておけばよかった。
とれたはいいが、角が折れていた。。
15年、どこに行くのもクリアファイルに入れて
大切に持ち歩いていたのに
太っちょの鈍さで、あっという間に折れるなんて!

そう、この滞在許可書は妊娠中に取ったんだ。
妊娠してるからって
警察署にそのために並んでるみんなをスルーして
先に窓口に通してくれたんだ。
そんな思い出がある。

滞在許可書は、イタリア人夫の扶養ということで
永住とされ無期限だ。
どこにも期限が記載されていない。
だから、私も警察も役所も空港のイミグレーションもみんな
その無期限永住滞在許可書で何もいうことなく
通用していたものだった。

ところが、昨年あたりから
イタリア在住の日本人の方が何かのきっかけで
在住者が家族目的で持っている紙の無期限永住滞在許可書は
2023年8月に無効になるという情報入手し
SNSに投稿したことからわーっと広がったようにおもう。

無効になる理由は
紙からデジタルチップ入りのカードにしたいそうなのだ。
イタリアの身分証明書も更新時に
紙からカードへどんどん切り替わっている。

今年に入って大使館からも要請をだしているようだ。

というわけで、折れた紙の永住滞在許可書を
太っちょのおっさんの一言で
重い腰をあげることにしたのだった。

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たくさんの日本人の方がSNSに
必要書類や手順を説明してくれてたのでとても参考になった。
地域によっても違うようだし
結果、警察の受付窓口の人にもよるようだ。

まずは、Questuraの予約サイト prenotafacile.poliziadistato.itで
carta di soggiorno permanente per i familiari del cittadino comunitario を選択し
滞在許可書の期限を入れるのだが
私は死んでるだろう年を入力w

予約が完了すると
持参する必要書類リストと予約番号があるPDFファイルを
ダウンロードする。
印刷すれば、当日ひょいと見せるだけだし
印刷してないと、スマフォを警察の方に手渡して確認する
ということになる。(結果話)

サイトで受付予約をした翌日
市役所で、certificato di residenza e stato di familia contestuale という家族証明書みたいなものを取りに行った。
Contestuale(前歴から現在状況)は在住者さん情報で
警察は申請者の certificato di residenza と stato di familia とある。

そこで、このcontestuale付き証明書を取得するには
16ユーロの収入印紙が必要なのである。
もともと16ユーロの収入印紙は持参リストにあったので
これなのかなぁとほいほいTabacchiに現金払い
(カード受け付けてくれずしぶしぶATMに行って引き出す)
で買いに行って、出してもらった。

結果、このストーリー付き家族証明書は
私はとても信用を与えた一枚だったとおもう。

「その証明書には結婚してることはわかりますか?」
わからないそうなので、無料の婚姻証明書を出してもらった。
というのは、INPSでお世話になったとき
配偶者(coniuge)と本当に結婚してるかどうか
問われたことが最近あったので
もし聞かれたら提出しようと思って
無料だし出してもらったものである。
結果、必要なかった。

そして結果、その16ユーロの家族証明書も
オンラインのSPID経由で
無料で発行してもらえるんだそうだ。
友から後で知る。。。

その足で郵便局に行き
警察の支払い先が記載されている支払い用紙(bollettino)に、
支払い者=自分の名前や住所を書いたりして
30,46ユーロ(+2ユーロの郵便局手数料)を払う。
もうこの頃は郵便局で滞在許可書用のキットはなく
そのbollettinoだけでよし。
警察に支払い済みを持参し、確認させる形。

次、4枚の写真を撮りに行く。
で、私は家で自分でカッターでカッティング。
だって、ハサミで曲がって切られて
貼り付けられる(しかもホチキス)のがどうしても許せないからw
これ、イタリアあるあるである。

あとは、紙の無期限の永住滞在許可書と
日本のパスポートのコピー。

いろんな在住者の情報で
夫の身分証明書のコピーや730などの収入証明
子どもの身分証明書のコピーなんかも一応用意したが
全然必要なかった。

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当日、仕事先には丸一日休暇申請したのだが
できるものなら仕事に来てということだったので
しぶしぶ朝働いて
大急ぎでスクーター(駅近くに簡単に駐車できるから)をとばし
電車に乗り込んで
はるばるフィレンツェの警察署に向かったのであった。

友が早くに着いても整理券もらえると言っていたので
私も40分ぐらい早くに着いたけど
並んでる人を追い抜かしとりあえず質問をした。
んで、そこで予約番号を聞かれるのである。

ドアのところで整理券を配ってる若い警察官が
握りしめていたくしゃくしゃになった整理券をもらって
中に入った。

40分プラス予約時間、、、だいたいの目安みたいで
結果、3時間、眠りこけたり人間観察をしながら
一つの受付窓口の番を待ったのであった。

みんな、情報をよく知らずに来ていたり用意不足で
一人の人に20分かかったりしていたなか
さすがニッポンジン、準備万端・用意周到ですよ
私はほいほい5分もかからずに受付が済んだ。

そこでも指紋をとったのに
また別の部屋に移動して指紋をとる。
ほんの数分待つんだけど
待ってる人たちがインド人かパキスタン人だった。

「マキ!」ともう一人そのインド人かパキスタン人が呼ばれる。
まず発音がすこぶる良いマキと
苗字で呼ばれると思いこんでいたので
インド人の名前かとも思ってきょとんとしていると
「マキ、アンタだよ、日本人の」(イタリア語)といわれ
中に入っていくと、そこでもマキと呼ばれ
ずいぶん日本人慣れしてるなぁと思ったのであった。
奥さんが日本人でマキっていうのかな?!

そこで今日は終了。

半券をもらって
後日、poliziadistato.it で受付番号(nr. di pratica)を入力して
用意ができているのか確認するのか
また目安な予約時間を予約するのか
本人が現場で受け取りということで
再度フィレンツェの警察署に出向かなくてはいけないのである。
はぁ、道のりは長い。

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私は、せっかくだからフィレンツェで panino al lampredotto を
警察署の近くの mercato centrale で大急ぎで食べ
駅近くの日本食材屋さんで納豆とお味噌と胡麻油を買って
大急ぎで電車に乗り込み、仕事に戻ったのであった。

同僚たちは「マキー、本当に戻ってきたのー??」と呆れていた。
確かに、部長に仕事に戻ってきてと言われてなかったら
フィレンツェの友とゆっくりランチしてきたのになっ!
でも、自分を必要としてくれるのはありがたいことなので
私は仕事に戻ることにしたのである。
結果、半日休んだことになった。


今日の一曲は、2023年サンレモ音楽祭優勝曲。




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この大晦日は、はじめて親子バラバラだった。

思春期青少年は、地元の友が広がって
地元グループで新ヴィンチ友宅で集合することになった。

その新友宅は、きっと何百年佇んでいるだろう建物らしく
住居部分は手入れしてるけど
他は空き家状態に放置していたらしい部屋の一部を
ガキたちに使用許可を出した様子だった。

しかし、条件がある。オマエらで掃除しろ!とのことだった。
おもしろいじゃないか。
思春期青少年たちは、数日集まって
その空き部屋を掃除しに通った。

食事はバーベキューを企画したみたいだ。
友たちはおこづかいを出しあって
自分たちでお肉やらを調達しに行ったそうな。

「今までお父さんが火を起こしてくれてたのに自分たちでできるの?」
「ボクたちもう小さな子どもじゃない、火ぐらい点けられるよ。」
私は黙って聞いて、心の中でニンマリした。

数日掃除に通い、まだ50㏄免許のない我が思春期青少年は
父が送り迎えをしたところ
佇んだその古い建物の中から、新友の親が現れたそうだ。

フリーダムなヒッピーを想像していたが
いたって普通の大人で「私たちが見張ってますから」と
私たちの気になるところを言ってくださった。

こちらからすれば、ありがたいことだ。
っるせーな!と尖りまくっている思春期青少年たちを
見張っててくださるなんて!

元旦の朝、早朝でもないゆっくりでもない変な時間に電話があり
父が迎えに行った。
二人は黙って帰宅し、黙って布団に戻っている。
思春期青少年は時差のある長旅から帰ってきたかのように
あれから眠り続けた。

どんなシチュエーションだったかは何も語らないけれど
かっこつけて白地のナイキのトレーナーは煤だらけに汚れている。
本当に自分たちでバーベキューした様子だ。
前も後ろも汚れている。
これまた白いナイキの靴は泥まみれで
私はニヤニヤ想像を掻き立てた。

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私はこの数か月、いたって普通の生活をしているイタリア人の
集団の中で過ごしていた。
彼らは、冒険を得意としないひとたちだった。

私はイタリアに降り立った時から、いやもっと前から
もしかすると幼少期から、ずっと冒険だらけの人生で
困難だらけの生活だ。

生活を自ら変えるかえることも
災難が降りかかってくることも
立ち向かったり乗り切ることが冒険だ。

そういったことをたいていの人は恐れるようだ。

冒険した先には、いろんな出会いと発見がある。
ヒトだけではない、様々なカタチで。
信じられない困難もあれば、分かち合えないほどの感動や喜びがある。

私は、まだまだそんな冒険を終わらせたりはじめたりを繰り返している。

冒険拒否のイタリア人たちとの会話は難しかった。
イタリア語が難しいのではなく、会話の内容が単調過ぎて難しかった。

彼らは、いつも不満を抱えていた。
私はいつも彼らの不満を黙ってきいていた。

彼らの不満をワタシ流に解釈してみると
冒険不足につきた。

私は言葉で彼らに寄り添うことはできなかったけれど
笑顔と生真面目さは印象に残せたとおもう。

私は冒険自慢はしたくないし
アドバイスする気もさらさらない。

話せば話すほど人の性格は見えてくる。
話題もそうだし、言葉の選び方もそうだ。
正直、彼らの話には興味がなかった。
私はなるべく自分を保った。

彼らが不満合戦をしていると
ふと私をみて羨ましそうに
「マキは絶対悪口を言わないし汚い言葉もつかわない」
彼らは、頭で考える前に言葉が出ちゃうんだそうだ。
きっと冒険不足の習性だとおもう。

私は新たな冒険に出ることを伝えると
「キミは絶対戻ってくる」と言った。

口数を少なくしても表情と態度で
私を表現できたことに私は嬉しかったし
これが私の冒険だった。

私は言った。
人を知るのに私は急がない。
怒りもしない。
時間が私をいつも助けてくれる。
嫌な気持ちを忘れることも
好きな人の距離を縮めることも。
私は、時が来たら私の気持ちを話す。

「アナタはまるでフィロゾファーだね」
そんなこと考えたこともないけれど
半世紀の人生の学びだろうと心の中で答えた。

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2023年、世界も私も何が起こるかわかりません。
冒険だらけの毎日で、たくさんのことを学んでいます。
落ち込んだり誰もいないところでニマニマしちゃうほど嬉しいこともあります。
気持ちを整理しながらゆるりとブログに記録できたらとおもいます。
どうぞ引き続きよろしくお願いします。



日本のみなさまへ特別にobatamakiが監修した
2022年11月収穫EVオリーブオイルのご注文は
こちらのサイトよりどうぞ







今日の一曲




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長かった暑い夏が終わった。
5月あたりの初夏を知らずに夏に突入して
9月あたりの晩夏を知らずに秋に突入した...感じだ。

毎年そうだけど、学校が始業する頃には
バッチリ勉学の秋なのだ。

2022年度のはじまりはようやくマスク無しで
授業が受けられるんだそうだ。
よかった、本当によかった。

シチリアからの帰りの長距離バスのななめ前に座っていた
我が思春期青少年よりひとつふたつ歳が上だろう
パッと見さわやか好青年だけど今風な彼らは
小さな村で、イケイケしてないごくフツーな
それでもキャピッとしたガールズと
バスの運転手さんが「出発するよ」と声がかかるまで
ずっと離れたくない様子の青春4人を
ガールズのどっちかのお父さんが送ってきたのかな
ちょっと離れたところで車に寄りかかってあっちを向いて
娘たちを待っている、まるで映画のワンシーン
そんなこれぞ青春の夏が終わってしまう寂しさと
勉強は面倒だけどやっとクラスメートに会えるドキドキ感
9月の始業時期ってこの感覚がおもしろいイタリア。

おわりとはじまりが交錯するとき。
日本の4月の始業に
ワンシーズン丸ごとの長い夏休み明けがプラスされた感じだろうか。
彼らにとってみれば、新年が明ける感覚なのではないだろうか。

私は、この長距離バスの好青年二人が
妙にいろんな記憶とか感覚を
我が思春期青少年より思い出させてくれたこと
時代のないごくごくこのフツーな光景と
彼らのフツーな青春オーラは
私と我が青少年のプチシチリアの旅の記憶に刻まれた。

我が思春期青少年は、初日どんなファッションでいくか
コーディネートを着比べているw
ちょっと前まではコーディネートのコの字にも
無関心だったのにおかしいな。
そんなことよりも勉強がんばってよ!と言いたいところだが
コーディネートの着比べの楽しみを奪っちゃぁいけない。
学校に行きたい証拠なんだからそっとしておこう。
朝のバス待ちは寒いということで
自分の貯金で買ったパーカーのコーディネート中w

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9月の、そういうわけで始業する週あたりから
朝がめっきり冷え込むようになって
日中もそう気温は上がらなくなった。
とはいえ、最低最高気温の温度差は10度以上は余裕である。

私は、8月中のブドウの収穫には手伝えたけど
実はまだまだ終わっていないところが多いヴィンチの丘であった。

きっと、夏の干ばつで果実が小ぶりでモスト(果汁)が少ないこと
暑かったのでアルコール度数が高いこと、だろう。

雨が降ったり気温が下がることで
多少カビになるリスクは高いが、生産する効果は高い。

9月も後半、まだ収穫していないブドウ畑があるが
次のリスクは、熟し過ぎちゃうことだろう。
収獲期の天候って、ホントやきもきする。
畑や動きから、なんとなく伝わってくる。

農主のブドウも、あれから品種の状態をみながら
収穫の時期をずらしながらやっていた。

収獲しちゃう前にカナイオーロという品種のブドウを数房摘ませてもらった。
サンジョベーゼという品種より酸味が少ない黒いブドウだ。

このブドウでSchiacciata con l'uvaスキアッチャータコンルーヴァという
パン菓子をつくろうとおもう。

いたって簡単で
ピッツァとかスキアッチャータ=フォカッチャをつくる要領に
小麦粉400gを目安に
砂糖をスプーン2さじを生地に混ぜてこねる。
膨らんだら
下の生地を伸ばしてブドウを散りばめ砂糖をスプーン2さじ
上の生地にブドウを散りばめ砂糖をスプーン2さじ、振りかける。
それからまた寝かせる。
砂糖がいっぱいかかってるから膨らむ膨らむ。
180度のオーブンで45分ぐらい焼く。

ブドウは、二房あればぎゅうぎゅうに散りばめられる。

以前はブドウの種が邪魔っぽく感じてたけど
ブドウの種だと思わず、ナッツ系をわざと加えたと思えば
カリカリ感もなんだか乙になってくるパン菓子である。

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男子の朝食用スキアッチャータコンルーヴァはできあがった。
私は、アントネッラのところで
最後かもしれない夏野菜を調達しに行った。

土曜日の午前中、アントネッラはマーケットに出すので
日曜日に行くと、畑からわざわざ欲しい分だけ摘んでくれる。

肥沃な大地にワサワサした畑がもう美味しそうだ。
Portulacaポルトゥーラカ(スベリヒユ)が一面に広がっている。いいなぁ。
オメガ3をもつハーブで積極的に食べたい野草でもある。
土を選ぶこの野草は、そう簡単には移植できない。
が、土が合っていると、ものすごい繁殖率なのである。

アントネッラのワンコが摘んでくれたトマトを食べて
でも、すました顔で私をみている!
私は日本語でワンコに文句を言ってやった。食べるな!

アントネッラんチの長男もすこぶる成長しちゃって
いつだか数年前、思春期だかなんだかで困っていたのを思い出す。
今や立派な青年で、お母さんのマーケットのお手伝いをしている。
とても気が利く青年に育ったとアントネッラは喜んでいた。
技術系商業高校を卒業して
高校の掲示板でみつけた職場に見習いからはじめて
今や正社員で働いているそうだ。

イタリアは今、インフレしまくりで節約しないと生活が苦しい。
なかなか容易に一人暮らしができないのが現実だ。
と、アントネッラが嘆く。。。
何歳になっても家に子が残ってるケースは
ただのマンモーネ(ママの過保護)文化だけではない
経済的な面でもそれが実は常にイタリア文化なのである。

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雨が降った。
雫好きにはたまらない光景だ。
家の一番近くにあるオリーブがもう色づき始めている。
色がつきはじめると、ドキドキソワソワしはじめるのである。

 ☆

今年も私が監修しますオリーブオイルが日本で購入可能となります。
詳細は、決定し次第ブログやSNSでお知らせしますので
お楽しみに!



今日の一曲。





Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
コメントを下さいましたみなさま、ありがとうございます。
今週も素敵な一週間をお過ごしください。




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まだやっていたブドウの枝縛り作業がやっと終わった。

もう芽が膨らんでポロッと取れやすくなっていた。

ブドウは上へ向かって成長する。
芽を包む皮が空気とか光とか察知して
その皮の下にある芽たちの方向性をある程度決める。

芽を包んだ皮が開いて芽がぷっくり出てきたとき
膨らんでるように見える。
その膨らみの中にはいろんなものが詰まっている。
枝も葉っぱもツルも果実も。

その膨らみがポロッと取れてしまったら
何も生まれないことと同じだ。

だから芽が取れないように気をつけたし
芽が出てきた方向性に向けて縛りつけたりした。

これ以上、方向性を掴み始めた芽が咲いてしまうと
ヒトが意図する方向に成長してくれない。
それでも必要性のある新枝は、固くなる初夏
架線に縛りつけて無理矢理誘引してあげるのだ。

そういった作業を少しでも減らすのに
各作業を成長の期間内にやることは大切なんだ
...と改めておもう。
...と農主も反省しているだろう。

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しかし一つだけ、私だけいいようにおもうことは
枝縛りの時はたいてい芽が出てない冬の木なんだけど
今回は、ところどころ芽が咲いているSangioveseを横目に
ピンクの蕾が愛おしいVermentinoや赤色も混ざったCanaiolo
そういったタイミングがあちこちでみれた。

ポッと咲くときはまるで
よだれかけをした赤ちゃんのようにも見えるし
手品師の手の中から飛び出る花のようなのだ。

詰まった命の誕生らしい色と咲き方で
私はいちいちそれに喜び癒され
でも悔しさが込み上げて何度となく目がかすんだ。

ブドウの木の樹液が溢れ出ている。
生命の証なのに、渦中の涙に思えて仕方がない。

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ニュースでは毎日毎日自国のように
ぐちゃぐちゃなウクライナのニュースをやっている。
ニュースをやるのは当然だ。
イタリアは全部の課題に影響があるのだから。

毎度毎度観るたびに、私は声が出そうなぐらい泣いている。
観なければいい、と家族は言うが
知らない振りとか見ない振りが
どうしてもできない。

外出をすることもなければ、人に会うこともそうないが
時に会った人たちとは誰も、ウクライナのことを話さない。
そう、話をしても仕方がないからだ。

誰とも話さないから、世の中の出来事はニュースだけとなり
ある情報の一つとしかすぎないのであろう。

その日々のニュースでは三分の二ウクライナのことで
三分の一自国のことや文化のことだ。

その中で、サンレモ音楽祭でグランプリだったアーティストの
コンサートが大盛況と伝えていて
そのコンサートの映像が流れたとき
笑みが出る程ふっと心が休んだ。

若者たちのエネルギッシュ感が伝わってきて
私も大昔ライブハウスに行って飛びはねてたことを思い出し
うんうんと胸が詰まってまた目頭が熱くなるのだ。

そういう平和な青春をフツーに体験してほしいし
音楽で鬱憤を晴らせるなんてこんなシンプルな手はない。

未来のある子たちが、未来を知らずに死んじゃって
私は苦しくてたまらないし、悔しくて仕方がない。

...と、きっと誰もがイマ想っていることであろう。
でも誰も口にしない。

ニュースキャスターも、そのコンサートの映像の後
ふっと微笑んだ。私と同じ笑みだった。

侵攻した一日目以来誰ともこの件について話さないが
みんな同じ気持ちだろうと
このニュースキャスターの私と同じ笑みをみて
私の会えない友たちと通じた気分になった。
なんかフシギだった。

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悲しい話題に触れたり思い出すと私のメンタルは渦中となるが
生活をしていかなくてはならないので
我に戻る。

こっちの現実は経済で
電気代ガス代ガソリン代の値上がりは、痛い。

光熱費だけだったらまだしも、そういう時に限って
車の調子が悪かったりスマフォが壊れたり...
あれが必要これが必要...と、出費がめまぐるしい。

前もこんな生活だったっけ?と思い出そうとしても
もうちょっとやんわり生活していたように記憶する。
もうちょっと笑いのある生活をしていたような気がする。
もっともっと人と会ってもっともっと料理をしていたとおもう。

コロナからプツッと一変したけれども
なんかそこから這い出せない。
がんばろうとしてても、なんか世の中は厳しいままだ。

私だけではないとおもうからここに書く。
誰も苦しさを言わないけれど
時には弱音を吐こうとおもう。

だからポッと咲いたブドウの芽が手品のようで愛おしい。
ポッ、ポッ、ポッ、ポッ
手品のように芽を咲かせたい。
がんばろ。

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もうこの週末にはパスクワ(復活祭)ですね。
世界がはやく平和に過ごせますように。
心よりお祈り申し上げます。

みなさまが穏やかなパスクワとなりますように。
BUONA PASQUA



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