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私が小豆島に行きたかった一番の理由は

日本のオリーブ畑を歩きたかったからである。

小豆島にフェリーで着いた途端、オリーブの木があちらこちらにある。

バスまでもオリーブバスなどという名称になっている。

島は、オリーブで有名になり島の経済を回しているようだ。

オリーブ牛、オリーブ豚、オリーブ素麺、オリーブソルト・・・

勿論オリーブオイル、オリーブオイルドレッシング、オリーブ塩漬け

オリーブ茶、オリーブソープ、オリーブローション

オリーブオイルクリーム、オリーブオイル化粧品・・・

日本人の開発力やビジネス力に驚く。

オリーブを使ったことでオリーブの効果がどこまで発揮できるか

私は疑問だが、土地興し的なマーケティングは日本に向いている。


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しかし、小豆島に着いてすぐに気がついたことがある。

私は、トスカーナに住みオリーブ栽培をトスカーナで学び

トスカーナで独自栽培をしていることもあって

小豆島のオリーブの樹形や剪定の仕方が

私が学んだ剪定と全く違うことに一目瞭然だった。

私たちがざっくり二つに区別しているフルーツ樹形と

正真正銘オリーブ樹形(それでもいくつもあるが)に例えたら

フルーツ樹形っぽく、なんかモサモサしているのである。

枝もヒョロっと上へ伸び、中心部も枝だらけ。

目にするオリーブがどれも似たような剪定でなんか納得いかない。

なんでだろうな。


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小豆島で唯一か数少ないであろう有機で栽培している

オリーブ業一本で賄っている農園を訪ねることにした。

この人もいい人だ。わざわざ宿舎まで迎えに来てくれた。

島の不便さを分かっているからであろう。

有機農園のご主人も、東京からの移住者であった。

オリーブに魅了され相当の情熱があっただろうと想像する。

ご主人は、土地を数件借りてやっているそうだ。

私と同じだ。移住者は土地を持っていない。

だから島民が面倒見きれなくなった土地を管理しているのだ。

だからあっちこっちにあるそうだ。


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それで、剪定の質問をすると

「あの樹形は間違ってはいないんですよ。」

「あ、そうなんですか?」

「小豆島はもともとみかんの栽培が盛んだったんです。」えーっ!

あのフルーツ樹形だなーと眺めていた樹形は

みかんの木の樹形だったのであるw

みかん農園の方たちが、巷でオリーブが騒がれ始めて

オリーブ農園に切り替わったのだそう!

だから、オリーブ栽培はみかん栽培のつづきなのだそうだ。

収穫もみかんのように一粒づつ収穫しているんだそう!

地面に編みを敷いてガタガタと振動機で落とす

イタリアの収穫風景なんて未知の世界なのであろうか

それとも野蛮な世界なのであろうかw

イタリアのオリーブ栽培からすると

手摘みでお腹のポケット(籠とか)に仕舞い込むやり方は

大袈裟に言うと100年前の話かもしれない。

オリーブ文化の国は、どれほど収穫に時間をかけてはいけないか

そこで採算があわなくなってくることを知っている。

収穫してすぐに搾油した方が良いことは日本人も認識済みで

各農園に少量でもできる小型搾油機を持っているそうなのだ。

人件費をつかってまでも丁寧に摘んで

様々なオリーブ商品に展開するのが日本のやり方なのである。

オリーブの収穫をイタリアより早々から始めているのも

塩漬け用だったり

、超ポリフェノール満点のオリーブオイルだったりと

オリーブオイル文化の国と違う商品を目指しているそうなのだ。

時期をずらして化粧品用オリーブの収穫をして

肌にしっとり馴染ませるベトつかないオリーブオイルを生産したりする。

食品として使うには不味なオリーブオイルは

実は、収穫期を遅らすことで強力なオリーブの持つ成分を抑え

アレルギー肌にも対応し、香りもソフトになり

化粧品として最適になるのだそうだ。

オリーブオイル100%の無添加には間違いない。

そしてお茶の国ニッポン。

オリーブの葉の効能に注目し

飲料のお茶や飼育用に葉だけ栽培していたりする。

ちなみにイタリアでオリーブの葉のお茶が一般に出回らないのは

薬草として肝臓の病に効果があると知られている。

摂取過ぎに要注意と薬草師は言う。

そんな葉摘み用オリーブの木は若く、実をつけない状態で

葉だけ刈り取られていくそうだ。

だからオリーブの苗木屋さんを見かけるし

小さなオリーブの木もあちこちに点在する。


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しかし、日本でオリーブ栽培は不向きなのではないだろうかと

ご主人は言う。

まさに私が伺った梅雨真っ最中の小豆島は

草が生い茂る時期である。

ご主人は、刈っても刈っても生えてくる草刈りの日々。

トスカーナでオリーブ栽培してる私がここにいられるのは

トスカーナは、初夏の草刈りをすれば

乾燥で草は生えてこないのである。夏は茶色い大地のイメージ。

年に2回ほど草刈りすれば大丈夫だったりする。

それをご主人に言うと、驚かれそして項垂れた。


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そして日本でオリーブ栽培に不向き

なんじゃないかという決定的なことは

日本にしかいないオリーブアナアキゾウムシとかいう

寄生虫が存在していることである。

イタリアでの寄生虫はオリーブミバエという

オリーブの実に卵を産み付ける小さいハエである。

ミバエの産卵期が収穫時期に近いと収穫したオリーブの実と共に

搾油されてしまい酸味が強くなってしまうところが欠点。

オリーブの実の成長期に産卵されてしまうと

三週間で飛び立っても、実が傷んでしまう。

日本に生息するオリーブアナアキゾウムシは

オリーブの根本や新梢や葉を食べて

オリーブの木を枯らしてしまうそうなのである。

枯らしてしまっては大変だ。

そこで有機栽培のご主人、毎日毎日畑を見回り

ゾウムシをひっ捕まえているのである!

日本でなかなかオリーブの有機栽培ができないのは

その寄生虫をやっつけるために

殺虫剤を撒かなくてはいけないそうなのである。

そこだけが難点な部分なようだ。

イタリアでミバエ退治の有機栽培は

色で誤魔化す方法で、白くカオリンや石灰を撒く。

それだけで全然違うんだから、ゾウムシの研究できっと

有機で簡単に予防できる方法が見つかるはずだ。・・と思う。

ご主人は、ゾウムシを飼って、日々研究している。

ご主人のオリーブ栽培の情熱が、ゾウムシ退治の研究まで・・・。


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ポリフェノール満載のオリーブオイルも是非試飲してみたかったし

もっともっと情報交換でもしたかったが、農業人に時間はない。

ご主人の血と汗の有機オリーブオイルは

東京の方が応援してくれることが多いそうだ。

私も微妙に察したことは、地方の人たちより

都会の人たちのほうが、地方に興味をもって応援している。

島での開業は

移住者と島民との引き合いでぶつかることもあるであろう。

それでも島の外は、やはりいいことといいものを見分け求めてくる。

一刻も早くアナアキゾウムシ予防法を生み出すことを祈っている。

・・祈っています。ありがとうございました。

ご主人に、オリーブ公園まで送ってもらった。


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オリーブ公園でランチをすることにした。

オリーブ豚と瀬戸内産レモンのチャーシューラーメンと

温かいオリーブ素麺を注文した。

なんだか味的にあまりよくわからないけど

お土産にしない代わりに土地で食べておく。

オリーブ公園には、小豆島にオリーブが植えられた歴史館がある。

日本の中で一番地中海性気候に近い場所

それは小豆島ということで国が試験的に植え

定着したことから、オリーブの研究と生産が始まったらしい。

しかし、日本でオリーブの何を求めたのであろう?

公園内のオリーブは大きく、トスカーナをイメージさせるが

枝が多すぎるのと葉に元気がない。

どれも台風で倒れないよう支える設置がしてある。

「もう少し中央の風通しを良くしたらどうですか?」

「そうですね。風が抜けやすいかもしれないですよね。」

ともう一軒オリーブ農園を訪ねた栽培部の若い部長さんが答える。

彼も東京からの移住者。総務さんも関西からの移住者。

情熱をもったオリーブ好き移住者と

ミカン栽培から移転した島民。

こんなにオリーブ騒ぎじゃ、もうオリーブ業から離れられない。

オリーブだけでは生計が困難なことは世界どこでも同じようだが

マーケティング上手なニッポン人は第六次産業まで展開していく。

島興しから始まった瀬戸内芸術祭もかなり恩恵を受けてそうだ。

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海に囲まれ、オリーブは常に海の風に揺れている。

歩くビーチには誰もいない。

雨が降ってきた。誰もいない海の家で雨宿りしよう。

誰もいない海の家だと思ったら、主がいた。

「あぁいいよ、雨宿りしていきなさい。

この雨でわしはちっとも儲からんよ。」

雨が多すぎてもいけないし、暑すぎてもいけない。

農業もほどほどの一年が毎年来ればいい。

土地を守りながら、土地に合う農業で、土地に合うビジネスで

土地に合う暮らしができたら最高なんじゃないかと思った。



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