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私たちは大喜びして、ひとますとりあえず出発した。
「きっと夕方には着くと思います!突然で申し訳ございません。」
バジリカータ州のルートを記したメモ書きを残し
なーんにも研究していないマルケ州へ向かった。
お友だちいるんだけどなぁ・・・何度も頭をよぎるが
急すぎて計画性が無さすぎで、むしろ失礼だ。
今回は、これこそ行きあたりばったり珍道中を
家族で体験することにした。

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少年はときどき「ボクの行ったことのある州は」と数えだすことがある。
学校の地理や社会の授業でそういう話題になるのであろう。
「行ったことある人、手を上げて~」みたいな。
きっと、旅行欲のない親と暮らしてしょんぼりしていることであろう。
内面悔しそうな顔をしている少年が想像できるw

高速道路を走りはじめると、もう長旅気分で
早速サービスエリアに行こうと言い出す少年。
「車の休憩はは2時間に一回でいいんだよ。」
そう言ってわかるのは、一昨年のニッポンほぼ横断旅行では
長距離夜行バスを利用したからである。

トスカーナ州からマルケ州に入った標識を運転手の夫が叫んだ。
わー、よかったね。
もうひと州加わったじゃん、ボクの行ったことのある州。
少年はご機嫌であった。
途中、Umbriaウンブリア州の
PerugiaペルージャやAssisiアッシィジも通っていった。
高速道路からみえるのか。
むかーし昔イタリアに来た当初
青い長距離バスで田舎道を走っていったので
果てしなく遠くに感じたんだけどなぁ。
距離の問題だったのか、在住が長くなり親近感を感じるのか
またすぐ来れそうな気がするほど近くに感じた。

当時は、州を考えることなく、村を目指して行っていたので
州の楽しみ方、土地の楽しみ方を満喫していない。
かといって今回も駆け足だし勉強不足で
また振り出しに戻っちゃった。
またゆっくり来なきゃ!とすぐに反省しながら窓から景色を眺めた。

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道路標識で行ったことのある地名が出てくる。

Orvietoオルビエート、あぁ、ここも来た、語学学校の仲間と。
私まだ育ち盛りだったのかなぁ、昼寝好きで
城壁のところでぐーすか気持ちよく昼寝したのを覚えてる。

あぁ、Spoletoスポレート。ここにもフィレンツェシスターズと来た。
彼女が行くっていうからついていったっけw

おぉ、Lago di Trasimenoラーゴディトラジメーノ
語学学校のオランダチームが絶賛してたなぁ。色が変わるって。
何してきたの?って聞いたら昼寝してきたってw
日本人にはありえない行動かもしれないけど
そこでゆっくりするってことを学んでいった情報であった。

Pesaroペーザロにも行ったぞ。
真冬、誰もいない海にやっぱり語学学校の仲間と
小さなカラフルな石をいっぱい拾ったっけ。
なんでそこに行ったのかも覚えてないや。
当時学んでたMosaico Fiorentinoモザイコフィオレンティーノ
という技法は、カラフルな大理石で絵を組み立てるところを
私は日本の表札を作っていたwこともあって
原始的な道具を持っていた。
だからペーザロの石に穴をあけて
原始的なペンダントを作っていたのである。
また拾いにいきたいなぁ。
あそこの石はぺっちゃんこだからペンダントにちょうどいい。

Anconaアンコーナには港があって、そこからギリシャへ
車も一緒に船に乗せて、夫と旅をした夏を思い出した。
その話もいつか語りたい。
やっぱり行きあたりばったりの珍道中。
帰りの船に乗り遅れちゃったんだ。

と、道中思い出を語る。
「お母さんはいろんなとこに行ってていいな。」
息子よ、一人で旅をするのだよ、自分の行きたいところに。
家族旅行は最初で最後だな。
「えー!嫌だー!」www
そうだろう、珍道中に慣れた親との旅行は楽しいだろう。
田舎暮らしも人生珍道中だから
少年は40歳まで家にいると我々を脅す。それは困った!

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高速道路から降りて、田舎道に入っていった。
グーグルマップのおかげでどこへでも行けそうだ。
ネットに接続されていないとGPSが作動してくれるけど
その時は、枯れ声で元気がないw あ、ネットないんだ、ここ。

平地なようで小山に挟まれ、風が抜けていく。
通ってきた通り沿いには、どうやらジャガイモ畑が連なっていた。
道端でジャガイモをぶらさげて売っている。
あぁやって売られていると、採りたてっぽくて美味しそうだなぁ。
きっと芽が出ないように薬品ぬる前のホヤホヤなんだろうなぁ。
帰りもここ通ったら買って帰ろうね!

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結局、高速道路のサービスエリアによらず
田舎道に突然現れた湧き水場で休憩した。
「あのオジさん水汲んでるよ!」
と、引き戻ったのであるw
冷たくて美味しかった。
ヴィンチの汲み水とは違う気分になった。
なんせバカンス中ですからね。

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高速道路を降りてからの道のりが長かった。
どうにかこうにか辿り着いた先は
山でもない丘が山化したようなトスカーナのなだらかな丘とは違う
あれは丘と呼ぶのかな、とにかく高い丘の上の方に
1700年代の小さな小さなBorgoボルゴ(古い小さな集落)
みたいな建物が、B&Bになっていた。

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迎えてくれたシニョーレは、すぐに外国人だってわかった。
イタリア語の発音が英語訛りなんですもの。
シニョーレは移住してきたイギリス人であった。
お互い移住者だとわかって気兼ねしない様子。
そしてシニョーラがこちらへどうぞと
ウエルカムドリンクを用意してくれた。
シニョーラはマルケ州の出身の方であった。

シニョーレは、東京に行ったことがあると言いはじめた。
でも仕事でね、と付け加える。
そして、仕事だったから過度な接待で逃げ場がなかったという。
でも一日だけ黙ってこっそり逃げ出して
一人で東京を回ったんだと教えてくれた。
でもボクは東京を好きになることはないと誇らしげだった。
そうだろう、こんな田舎のボルゴを買っちゃうんだからね。
でも、日本だっていいとこいっぱいあって
田舎なんかちっとも東京じゃないんだよと知ったかぶって私は答えた。
よかった、去年いろいろ日本をまわっておいて。
日本の棚田なんかわーと胸が膨らむほど素敵なんだよ
というと、シニョーレもうんうんと聞いてくれた。

私があなたのB&Bを選んだように、私はやっぱり田舎が好き。
田舎に住んでいるのにバカンスも田舎に来ちゃった。
街にもみたいとこいっぱいあるけれど
訪れてみたい村だっていっぱいあるけれど
私たち家族三人が珍道中できるとこって、やっぱり田舎なんだ。
宿のボーナスがでて私たちが選ぶのはやっぱり田舎なんだ。
これだけは三人が一致したこと。

シニョーラは新しいパートナーだということを最後の日に知った。
亡くなられた奥様とシニョーレが築き上げたボルゴB&Bを
ささやかに控えめに支えているようであった。
シニョーラは私に
イタリアのいいところって、こうやってたくさんの人に
イタリアの素敵をみせてくれることよね
と涙がでるようなことをいう。
胸が熱くなった。こういうとききゅーっと抱きしめたくなる。
抱きしめられない分、私はシニョーラに眼差しを送った。
そう、シニョーレもちょっと距離を置いてこちらをみつめていた。
彼らはボーナスバカンスの意味と意図を理解しているひとたちだ。
その一言をきくだけでここに来てよかった。

今日私たちが行けるレストランにシニョーレは電話してくれた。
さて、明日どこへ行こう。
シニョーレがアドバイスをしてくれた。




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