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「今日はどこの畑を収穫するの?」
「みんな、ついて来てくれ。一緒に行かないとわからないと思う。」
集合して、ゾロゾロと私たち収穫仲間は
オリーブ畑を横切り、急坂を渡り、オリーブ畑に沿って歩き・・・
すると目の前に現れた小さなブドウ畑の向こうには
レオナルド・ダ・ヴィンチのふるさと
ヴィンチ村の教会と城の二つの塔が聳え立っていた。
上り始めた朝日は、まだ大地の全てに行き渡らない光が
葉を通して差し込み、そのコントラストは
昔と変わらないであろう光景に、仲間はうっとりした。

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こんな歴史あるところで、そして巨匠のふるさとの土地で
イタリア文化のブドウの収穫ができることは、素晴らしいことだ。
何年この地で生きても、素晴らしいことは身に沁みたい。
収穫スタイルが変化していく中で
インターナショナルな仲間たちと暮らす土地の収穫を
手作業で、疲労を分かち合いながら協力しながらできることは
実は大切なことで、収穫し終えた達成感は大きかった。
私は、記憶を記録として文章にも写真にも残して置きたいと
日々小さなカメラを腰に着けて持ち歩いているのだが
風景ばかりじゃない、彼らの作業風景やスナップなんかも撮る。
ここはイタリア。
私がそんな素敵な瞬間を撮っていることをみんなが喜んでくれる。
収穫終了後、グループチャットにアルバムを送ってあげた。
小さなカメラだから、シャッタースピードや露出操作している間に
シャッターチャンスを失うことが多いんだけど
それでも仕事中のポートレートというのは
実は、誰もが自分を見てみたい心で嬉しいのである。

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二人モロッコ人がいる。
彼らは義理の兄弟である。
兄と妹でイタリアに渡り、家族のご縁で結婚したのか
妹がそのもう一人と結婚し
妹の兄と夫二人はここの農園の補助をしている。
痩せた兄の小さな顔には、深いシワがいくつもあり
まるで樹の年輪のように物語っているように見えて仕方がない。
彼の写真を撮らせてもらうと
ここはどこ?イタリアではない。
まさしくもモロッコなのである。
表情というのは、生きた幼少時代青春時代で構成されるようだ。
何か我が少年もニッポン男児にはなりきれない表情を見せる。

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彼らはイスラム教徒である。
だからイスラム教の教えに従って
ここイタリアだが、毎日を生きている。
私たち収穫仲間は、興味津々に
彼らにイスラム教徒の日々を聞く。
仲間は、一夫多妻(max.4人)について、一番反応する。
彼ら義理兄弟は一人で十分と嘆いていることもあって
一人妻のようである。
誰もが複数を持つようではない。
どうやら経済的なこともかなり関係しているようだ。
夫が家計の負担を負い、妻は家事が仕事のようである。
外に出て他の男性の目に晒すことも控えているようで
妻は、ある意味閉じこもり生活を送っている風に
自由に生きている我々からすると、かなり不自由に感じる。
仲間のアルバニア婦人が
「例えばさ、バレンタインデーとか奥さんにプレゼントとかするの?」
「おーするよ、ちゃんとに。小麦粉とかさ。」とモロッコ人。
?????
「美味しいお菓子とかパンとか作ってもらうんだ。」
えっ、それ自分のためじゃんw
というわけで、妻の役割は疲れた夫に
毎日美味しい御馳走をつくることで
夫婦の釣り合いをとっているようなのである。

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最終日、人手不足のため、アルバニア婦人の友が手伝いに来た。
その友は、イスラム教徒であった。
婦人は、カトリック。
そちらの家庭も一夫一妻のようで
妻がこうやって外に出向きオープンである。
アルバニアも歴史深い国だが、社会が安定してきたのは
ここ10年なのではないかと思う。
その歴史の中でもオスマン帝国時代
イスラム系トルコ人の影響で、半民衆はイスラム教徒で
残りはキリスト教徒なのだそうだ。
半々に二つの宗教を持つ国だが、婦人に聞くと
両立できているということである。
それでは世の中の宗教の争いは一体何なのであろう?

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最近、イタリアでも無宗教が多くなってきたように見受けるが
私も典型的無宗教である。
宗教の教えに従うことは
自分を抑えてでも果たさなくてはいけないこともあるだろうから
私は、ある意味、信者は強い意志のある人間だと思う。
彼らを見ているとすごく意見がはっきりしている。

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そんなこんなで多国籍多言語多宗教が混じ合う
我が収穫仲間とのブドウの収穫も一ヶ月かけて
途中アルバニア婦人のお誕生日でワールドに乾杯し
ここレオナルド・ダ・ヴィンチの生誕の地で終了した。
ただこの土地は、緑に囲まれているので
日当たりや水捌けが十分ではないことから
ブドウの成長期にやる作業がたくさんあることがわかった。
オーナーも賃貸の土地なだけに
日々学んでいる。
濃霧に覆われたヴィンチのブドウ畑はしっとりと
傾く光と朝の冷たい空気は、秋の訪れをひしひし感じる。
取り残されたブドウは森の動物たちに
地面の野草は、私が摘んで帰ろうと思う。

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農主はもうSvinaturaズヴィナトゥーラ(圧搾)が終わる頃であった。



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