DSC01306

私と少年は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島をめがけた。
私たちは荷物が多い。
ワイン&オリーブオイル会用の荷物が減っても
その隙間を縫うようにお土産が増えていく。
だから最小限の移動手段をいつも考えていた。
岡山駅から一本で行けるバスが出てる新岡山港から
小豆島行のフェリーに乗ることにした。
あれほどフェリーに乗る楽しさを覚えたことはないだろう。
少年も私もはしゃぎまくった。座っていられない。
いつか訪れてみたかった念願の瀬戸内海だ。
まさしくもイメージ通り、海も島々もブルーのグラデーションが
私の視界に広がる。
何度もシャッターを切ったがどれも同じだろう。
ブルーのグラデーションが美しくて
それをカメラに仕舞い込もうとしていたかもしれない。
しかし我に戻って、海の風に身を任せることにした。
あぁ、この景色が毎日見渡せるところに住んでみたいなぁ。

DSC01291

私は、瀬戸内芸術祭の混雑を避けて小豆島入りしたはずだった。
のんびりだろう島の本当の顔を見てみたかったからである。
しかしそれでも観光客はすでにいた。梅雨の平日でも。
観光客は、どうやら中国人のようである。
フェリーで見かけた日本人らしき人は、小豆島に帰る住人のようで
ポツンと一人で座り、居眠りをしている。
島といっても交通手段がないと移動が難しそうな大きさだ。
トスカーナのエルバ島を想像しながら計画することにした。

DSC01503

島では大浴場がある国民宿舎に宿泊することにした。
芸術祭の混雑は避けられても、サービスは芸術祭期間のみという
国民宿舎の送迎サービスでは
途中まで地元バスに早速乗らなくてはいけない。
イタリアだったら停留所のアナウンスは無い。
ん十年前、イタリアに一人で初めて到着した日
若き時代の怖いもの知らず精神 «できる!やる!»
言葉もわからないのにバスに乗っちゃって
ぜーんぜん違うところに行っちゃった痛い思い出がある。
だからバスに乗るのは慎重にそして緊張する。
しかしここは我が国ニッポン。言語が通じる。
っもうこれだけで旅はかなり余裕が出る。
時間と場所を確認しまくり、コレだろうバスに乗り込んだ。
観光客慣れしたオリーブバスは
やっぱり停留所ごとにアナウンスしてくれた。ほっ。
こういった島でネットだけで乗り切ることは不可能である。
指定された停留所で降りたら
宿舎に電話で一報しなくてはならない。
旅をするのに、通話ができる携帯電話を持ってて本当に良かった。
電話が可能なだけで客としての信頼度もぐんと増すのである。

DSC01584

どんなに想像してもブルーのグラデーションイメージしか出てこない。
不便度や便利度、本当の観光ポイントなどの詳細は
やっぱり現地に出向かないとわからないのが旅である。
ハプニングだってつきもので、そこに行けてない可能性だってある。
だから宿舎の予約は素泊まりにしてあった。
食事は、現地の様子で決めたかった。
少年の口の好みに合わなかったら食事が勿体無い
プラス、2度食事のことを考えなくてはいけない。
あぁ、私一人だったらどんなに楽だったことか・・・。(!)
しかし、島と言えども海鮮ばかりではない。
小豆島は、オリーブ牛、オリーブ豚、オリーブ麺とか・・
いろいろ工夫された特産がある。
そして、交通が不便で、夜な夜な歩き回れる所に宿舎はないし
一日の旅の疲れを癒やす大浴場の後とお食事タイムまでの間
地元ビールと地元つまみでのアペリの後、もう動けないw
結局のところ、国民宿舎の食事を毎日予約することになった。
少年もほんのちょっと我が家スタイルの時間が過ごせ
そしてお食事もご飯お代わりジュース飲み放題に大満足していた。
それと男湯一人で泳ぎ放題の大浴場からは少年の鼻歌まで聞こえたw
私が風呂上がり食事の前のビール選びに花を咲かせていることに
宿舎の受付の男性も気がついたようだ。
私に寄ってきて、自分好みのビールを説明してくれた。
翌日、ビールの感想を伝えると次のアドバイスをしてくれる!
小豆島の特産を使って小豆島で造られているまめまめビール。
とっても独特な味がした醤油のもろみを使った黒ビール
受付人オススメの柑橘系の赤いビール
こんなところにも?!米麹とお米を使った金ビール
次はこれが飲みやすいよとアドバイス付の柑橘系すっきりビール
クラフトビールの楽しいところは、バリエーションではないだろうか。
日々の楽しみが増えた。

DSC01329

DSC01506

DSC01688

それにしても私たちはツイていない。
晴れが多いと言われる瀬戸内に来ているのに雨の毎日。
梅雨だから仕方がない。
雨に濡れてもへっちゃらな格好をして
ジャブジャブ雨の中を歩いた。
そんな雨の小豆島では、蔵めぐりがよいかもしれない。
国民宿舎の無料送迎で最寄り停留所まで連れて行ってもらい
その停留所からバスに乗って行きたいゾーンの入り口で降り
私たちの探索が始まるのである。
オリーブオイルソムリエの友が小豆島へ行くなら是非ココへ!
と薦めてくれた蔵が二つある。
いっぱい軒並ぶ中、そこへどうしても行きたい。

DSC01586

DSC01607

DSC01641

DSC01625

ひしおの郷さとと呼ばれる塩を加えて発酵させた塩蔵品
醤油や佃煮工場が軒を連ねた一帯があり
建築も明治時代スタイルを残し現役に活躍している。
その一角の裏道に森國酒造がある。
小豆島の米と湧き水を使った島唯一の地酒だそうだ。
これは話を聞いてみたい。
メールでアポをとり、伺うことにした。
酒造の主は、女性であった。
今思うと、私と同じくらいかそうたいして歳の差はないように思う。
森國酒造の歴史、米と湧き水と酒造りの誇り
杜氏とうじや蔵人くらびとなど酒造職人の確保
同じ県でも島民出身ではない地元との交錯
などなど話は尽きずなんだか前から知っている人のようにも思えた。
女将は「どうそ試飲をしていってください」とバーに案内して下さった。
築80年の元佃煮工場を、そこにあった古資材を残しながら
現代風にリノベーションした島とは思えない素敵なバーで
次から次へいろんな種類のお酒を試飲させて頂いた。
どうせならどれもこれもゆっくり試飲したい。
カフェのメニューを注文し超豪華なアペリティフとなった。
このお酒に合う料理を・・と瞑想が広がる。
試飲をしていると、どうしても買いたくなる。
イタリアへ重いのに二本、小豆島の米と水で造られた純米酒と
アルコール度数8度米のモストのような生酒風吟醸酒をチョイス。
雨さえ降ってなかったら、地酒森國酒造さんの後
小豆島の百選級の棚田を見に行きたかった。
そして湧き水も掬って飲んでみたかった。

DSC01672

近くの山から湯気が立ってるような近い空の大粒の雨の中
バスを待った。小学校が終わった時間のようだ。
黄色い帽子を被った子どもたちがバス停にやってきた。
子どもたちは、観光客に警戒していた。
「お母さん、写真撮るのやめなよ。」と少年も言う。
きっと今までに何かあったのかもしれない。
バスの中は、半分は観光客であった。
子どもたちや地元民の座るところがない。
とても申し訳ない気持ちになった。
芸術祭が始まる頃は、もう夏休みだ。
それまで島の観光とは縁のない子どもたちは辛抱を強いられる。
バスを降りて、そこから歩いた。
二本あった傘の内、百均の二百円傘は壊れ
コンビニで買った超軽量の小さな折りたたみ傘で歩いていると
後ろからクラクションがなった。
あぁこんな細い道を横並びで歩いているからだ・・と
申し訳なく振り向くと、車の中から透明傘を差し出すおばちゃんと
後部座席から覗き込んでいる子どもがいる。
「ホラ、この傘使って!」
「えっ、ど、どうしてですかっ!!」
後ろから車が来ている。
「ありがとうございます!!!」
傘を受け取って、行ってしまった・・・。
私と少年は呆気にとられた。
その透明傘は次に困った人へ渡そうと旅の間大事に使うことにした。
大人の私だって急な親切に驚いたのだから
大人に近づく少年はもっと驚いたようだ。
「なんで傘くれたの?」
親切、知らない人から知らない人へ、旅の話をしながら
次へ歩いた。
つづく。


*私がセレクトした過去の関連記事Best 3 Archivi Selezionati*


Grazie di aver visitato!

最後まで拝読していただきまして、ありがとうございました。




にほんブログ村 海外生活ブログ ヨーロッパ情報へ


Instagram
 ≫≫≫ obatamakivincirealmakici