一月のある日曜日
前日まで雨が降って
この日もパッとしない白っぽい朝だった。
天気予報では晴れになる予定。
白っぽくても私たちは出発した。
Montalbanoモンタルバーノ山を跨ぐFirenzeフィレンツェ県Vinciヴィンチ市とPratoプラート県Carmignanoカルミッニャーノ市の地方自治体の観光局は、モンタルバーノ山の保護と観光を目的にした自然・遺跡保護協会AssociazioneMontalbano Domaniを率いる五つの協会と団結して、レオナルド・ダ・ヴィンチがアルノ川(Fiume
Arnoフューメ アルノ)の水路変更プロジェクトで書き残したモンタルバーノ山内の地図に載っている道を紹介するハイキングを企画した。
モンタルバーノ山は、メディチ時代、レオナルドにとって、とても重要な山である。
350Mの標高を登り続ける、往復13Kmのけっこう険しいハイキングである。
それでも老若男女、お弁当が入ったリュックサックを背中に、賑やかに歩いた。
急坂でも息を切らせながらしゃべり続けるイタリア人。
エネルギーの節約という考えもなければ、耳を欹てて自然の音を聞いてみよう!なんていう考えはさらさらない。
ハイキング中、ひたすらしゃべり続ける。
そんな中に変わった人がいた。
いや・・変わった人ではなく、偉い人がいた。
手袋とビニール袋をリュックサックからとり出し「よし、始めるか。」と道端のゴミを拾い出したのである。
おしゃべりしながら楽しそうに。
嫌味なことを言うわけでもなく、仲間を誘うわけでもなく。
土の中に入り込んだゴミも、ちょっと大きめなゴミも。
特にプラスチックなど生分解できないゴミ。
彼は、一人で参加していた。
夫の知人であった。
彼は、今だけじゃない、いつもあぁやってゴミを拾ってるんだよ。
たまにKトラで、大きなゴミも拾ってる。
モンタルバーノ山の天辺かもしれない標高まで登ってくると、森はモヤモヤと靄で覆われ、湿気が肌を伝い、木々の向うは霞、神秘的な森の世界でちょっとワクワクした。
朝、早起きして、白っぽい空気の中ハイキングを始めると、こんな空間に出会うんだ。
森は、こうやって過ごしているのか。
天辺からすぐに急降する道を歩く。
モンタルバーノ山の向こう側が見える。
Pistoiaピストイア県、プラート県が見晴らせる。
目的地のカルミッニャーノ市にあるBaccheretoバッケーレートという小さなBorgoボルゴ(昔の集落)のある村に辿り着いた。
ボルゴといっても教会(Pievedi Santa MariaAssuntaピエーヴェ ディ サンタ マリーア アッスンタ)の地下、司祭館は十二世紀頃の考古学的建築物で一部修復され見学できる。
そして、バッケーレートでは1390年頃から1550年頃に生産されたCeramica
di Maiolicaチェラミカ ディ マイオリカ(マヨリカ焼陶器)が発掘されている。
2017年の記念切手にもなったMontelupo Fiorentinoモンテルーポ フィオレンティーノ(フィレンツェ県エンポリ市隣)でマヨリカ焼は有名だが、ここバッケーレートでも良質なものが生産されていたそうだ。
その発掘された陶器も展示(Antiche Maioliche di Bacchereto)されている。
その少し向うに、レオナルド・ダ・ヴィンチの父方のNonnaノンナ(祖母)Luciaルチーア(祖母の名)が住んでいた家(La
Casa Toiaラ カーザ トイア)も、外から見学した。
今は空き家となっているが、二、三年前までレストランだったそう。
知っている人は声を揃えて、アンティークですごく素敵なところだったよー、という。
少年とドアの隙間から覗き見。
石つくりの流しが見える。
それだけでも良さそうな感じである。
中が見れなくて残念。
ランチをミュージアムを交代で見学している間に済ませ、下り坂であった急な坂道を登っていく。
私は、顔を真っ赤にさせながら息を切らせながら歩いているのに、十歳の少年は、坂道を走ってるww
手を引っぱってもらっても、速過ぎてついていけない。
もういい、先に行ってくれ。
帰りは、みんなバラバラになり、ようやく自然の音や自然の光を、自分のペースで感じることができた。
集合・解散場所であったレオナルド・ダ・ヴィンチの生家がある駐車場で、我が家の車に乗ったときの重い疲労感。
翌日、勿論、足だけ筋肉痛。
少年も少しだけ足が痛いって言ってたよw
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カテゴリー【散歩】
『レオナルド・ダ・ヴィンチの生家 CasaNatale di Leonardo』
『レオナルド・ダ・ヴィンチが工夫した堰 Psecaiadel Mulino della Doccia』
『Vinciヴィンチの山、Montalbanoモンタルバーノ』
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ありがとうございました。