オリーブにとって過酷な年であった2021年。
春、ちょうどイースターが過ぎたぐらいの頃
突然にして連夜、氷点下となり芽を凍らせた。
樹皮に近い樹液も凍り
幹だってギブアップして枯れたオリーブもいた。
それでも開花したオリーブたちは花粉まみれとなり
ハチたちが集まっていたのを覚えている。
花の数より断然少なく結実した小さな小さな実は
初夏からの猛暑で落下し始めた。
緑の小さな実がポロポロ落ちていく。
茶色い種のような姿になってくっついていたりもした。
フルーツだってたいして生まれなかったヴィンチ周辺は
カメムシやメイガだってオリーブに寄ってきたけれど
アイツらは手加減しながらオリーブの葉っぱを食べたり
実をチューっと吸って、でも苦いオリーブには居座ない。
夏の猛暑と干ばつは、オリーブの成長を抑制させ
実が膨らまなかったりした品種もあった。
でもオリーブという植物はカラカラした太陽が大好きだ。
太陽に向かって成長していく。
空間のある剪定をすると、バランスよく成長している。
ジリジリした灼熱の夏は、ヨーロッパに見られるオリーブに寄生する
オリーブミバエを退化させ、撃退させたか成長を狂わせた。
だから初秋の雨や湿気にドキドキはしたけれど
灼熱だった夏に私は賭けた。
そして、その初秋に入ってぐんと気温が下がったことも
生き残ったオリーブミバエの産卵の抑制をてつだった。
それでも少ない実をミバエなんぞに食われてたまるか!
とミバエ予防した農園はチラホラいた。
有機栽培ではミネラルな予防対策となるので
するにこしたことはない。
できることなら8月の最終週に対策したい。
初秋の雨と気温が下がったこともあって
生き残ったオリーブの実たちは
膨らみ、色づき、油分を形成させた。
実がちっともない木と
異常気象なんてなかったような平気な顔をしてフツウな態度な
ワサワサぷっくり綺麗に育ったオリーブがいる。
早朝の霧に濡れたオリーブは傾いた眩しい朝日に輝いていた。
私たちは、オリーブが乾き出す頃に出動して準備をはじめた。
ゴロゴロとブドウのように実がひしめきあっていたり
私が残した実のなる枝に、そこだけに成っていると
よしよしと撫でてやりたくなる。
そういうオリーブを収穫することは
私のある意味Benessereベネェッセレ(幸ある健やかさ)であり
収穫が楽しくて仕方がない。
私たちは、収穫はもう慣れたもんだ。
手順や要領がわかってくるとやっぱり速くなる。
私は、一日中手で持つタイプの振動機で
大きな櫛になっている先をオリーブの枝たちに差し込み
髪の毛をとかしたりほどくように動かしてあげ
地面に敷いてある目の細かい網に落としていく。
落ちたオリーブの実を踏まないようにしなければいけないから
まるでツイスターゲームみたいで自由に動けない。
だから全身運動となるオリーブの収穫である。
夫は、軍手をしない。
本当は軍手をしなければいけないのだけれど
オリーブの実を触るのが好きなのだ。
生の実に触れることでエネルギーを感じるのだそうだ。
ある意味彼のBenessereなので許す!
「いて!いてててて!」
そう日本語に聞こえてきた。
「カマキリにかまれた!」
軍手しないからだよ!
25メートルの長さのある網に落ちたオリーブを集めて
枝のついている葉っぱを取り除いたり
枝にまだくっついている実を取り外してあげる。
葉っぱがなければないほど
搾油所で計る重さはオリーブの実だけとなり
正確なResaレーザ(搾油率)が出る。
実を取り外してあげれば、葉っぱを除去する機械で
葉っぱだけが除去され実は守る。
葉っぱの除去作業が
生の手でオリーブを一気に撫でることのできる瞬間だ。
夫は几帳面だからそういうところを時間をかけてでもやる。
搾油所に持っていくとき自慢なんだそうだ。
オリーブに費やす労力の代替えが
この収穫の結果となるから
誇りあるキレイな実だけを持っていきたい。
搾油所ではそんなこともおしゃべりをする。
「みんなの今年のオリーブはどうよ?」
「全然少ないし全然人が来ないよ。実も小さいしさ。
でもキミたちのはずいぶんキレイだねー!」
そこで夫は大満足して、逐一私に報告するw
搾油時間は90分ぐらいかかるので
抽出された油を入れる容器を置いて一旦家に帰ってくる。
で、また搾油所に現れると、搾油所の人が夫に指をさして
「搾油所イチが来たぞ!」といったそうだ。
「なになに?」
現段階で「搾油率が今まででキミたちのが一番イイ!」
ということだった。15.6%。
私たちも初めてじゃない?と過去を見直した。
搾油率がイイとき必ず私が確認することは
バイオダイナミック農法のカレンダーである。
この日、Fiore(花)の日で
Luna Ascendente(1ヶ月に14日間月が黄道上の春分点側にいる)
の期間であった。この期間は地上にエネルギーが集中し
収穫には向いている期間なのである。
逆に剪定などは傷口の治りが悪くなるといわれている。
搾油率の良さで他に思い当たることは
色づきが順調で、実の膨らみ具合が油分がありそうに
見るからにもわかったこと。
毎年剪定を少しでもしているおかげで
込み合っていなく、全てのオリーブの実が
太陽に晒されていること、この理由は大きい。
太陽のチカラってスゴイのだ。
Novelloノヴェッロ(抽出されたまさに搾りたてで
48時間以内のノンフィルターオイル)を味見をした。
ものすごい濃厚で苦くて辛い。
フィルターにかけた。
不純物などの澱が取れてぐっと滑らかになる。
それでも超濃厚で苦くて辛い。
搾油率は良かったが、この濃厚さとパンチは
猛暑と干ばつのせいだろう。
【お知らせ】
2021年より、私が監修しましたヴィンチ村15㎞圏内の
トスカーナ産エキストラバージンオリーブオイルが
日本のみなさまへ数量限定で
より販売が決定いたしました。
生産過程がこのように垣間見れるオリーブオイルは珍しいことと思います。
この機会を是非ご利用ください。
☆こちらの記事もどうぞ☆
『生まれ変わったオリーブ la raccolta delle olive 2020 vol.2』
『生き返ったオリーブたち la raccolta delle olive ①』
Twitter・Instagram・Facebook・Ranking・BlogmuraをFollowすると
Blog UpdateのNotficasionが受け取れます。どうぞご利用ください。
Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
Instagram ≫≫≫ obatamakivinci ☆ realmakici