68943447_2482763461990114_2242981004581011456_n


一面フサフサでキラキラと視覚の湿気が目に飛び込んでくると

日本に帰ってきたなぁと私は風景に迎えられる。

東京都だと街と家が立ち並び

人工の街が電車を乗り継いでも果てしなく続く。

しかし、県へ行くと、県名である駅以降は

すぐ田舎っぽい風景となってくる。

田んぼや畑が一面に、遠くには蔵をもった家も見えたりする。


DSC00003


東京都、神奈川県、千葉県

岡山県、広島県、香川県、徳島県

を初夏から今年は長いと言われた梅雨の間

そして梅雨明けの待ってました夏到来まで

田舎を眺め、迷路な都会を歩いていた。


DSC00211


私が千葉県南房総市の田んぼを眺めていた六月

田んぼは、根を植えるか植えたばかりの時期であった。

山のダムから流した水はキラキラして見えた日もあったけど

どんよりの雲と水面にいくつもの穴を開けるような

雨の田んぼを見ると土地の住人になったような気になった。

田んぼを覗き込むと、おたまじゃくしがいっぱいいた。

泥の中にも隠れたりしていた。

地上には小さなそれでも成長した緑の雨蛙がそこら中にいた。

ヒンヤリとした葉っぱの生い茂っているところや

ヒンヤリとしたコンクリートや鉄などの素材にへばりついていた。

あぁそういえば、おたまじゃくしはいるけれど、それはヒキガエルで

愛嬌のある緑のアマガエルは、ヴィンチにはいない。



何年振りだろう・・・田んぼを覗き込むなんて。

折り紙のピョンピョコカエルのように

飛び跳ねるカエルを観察するなんて。

小学生の頃、それはそれはど田舎の小学校に

半年ぐらい通っていたことがある。

その田んぼの中にある小学校に

どの生徒も長い時間をかけて通っていた。

なんでこんなところにつくるんだろう。田んぼのど真ん中に。

私はそこで入学式をしているから

きっと一学期の間だけだったかもしれない。

春から夏にかけてだ。あ、今の時期だ。

学校の帰り道、友だちとそして一人でも

土手でおたまじゃくしを捕まえて遊んでいたのを思い出す。

泥の色とか硬さも思い出してきた。

たった半年の少女期の思い出が

こんなに体に染み込んでいるなんて。

記憶が五感に残されている。



約一ヶ月千葉県の住人になっていると

田んぼの成長もわずかながら伺えた。

確実に成長している。

フサフサなのに雨に打たれてもフニャッとしない。



時々女性までもが田んぼの周りを草刈り機で草を刈っている。

イタリアで草刈り機を扱う女性を見たことがない。

しかも、歯がついている鋼のディスクを使っている。

きっと草刈り機の操作がしやすいんだろうな。

根本から長く切って草が横たわる。

夫が嫌いな方法だ。夫は微塵切りにするから

草を刈ったところの見た目がイイ。

しかし、この湿気と程よい気温ではまたすぐ草は

横たわった刈られた草の間から生えてくるであろう。

日本の梅雨期は草刈りとの戦いであろうと察する。



管理の行き届いた田んぼ、継承されなかった田んぼ、見てわかる。

こんなところにも!と思うような田んぼもあれば

あそこだけ主が違うのかな、と

一部欠けたパズルが完成されなかったような田んぼの風景もあった。

経営を保つことも難しければ、風景を保つということも難しい。


DSC00042


徳島県は勝浦郡の上勝町というところの棚田を

レンタカーを徳島駅から借りて見に行くことにした。

とにかく目的地まで時間のかかる田舎の旅は

車が一番である。

公共の電車とバスを利用していたら、もしかすると

目的地に辿り着いても帰ってこれないかもしれない。

イタリアでも不便な生活をしているから

移動に時間がかかるのは慣れているが

時間の限られた旅となると、どこかで旅費を削ったり

どこかで時間を節約したりしなくてはいけない。

見知らぬ道でも不慣れなドライブでも

よかった、千葉の南房総市でミニバンを借りて過ごしていたため

感覚だけは日本の運転モードになっていた。


DSC02532


電話番語を入れるだけで目的地を案内するナビのおかげで

夜な夜なでもど田舎のそしてヒンヤリと空気が変わった山の中でも

細そうな道のちょっと上った農家の民泊に辿り着いた。

急遽決めたその民泊のおばちゃんは親切であった。

「よく来たね。アナタは運転が抜群だね。抜群てわかる?」

「あ、はい、分かります、日本人ですから。」

私、変な日本語使ったかしら?

予定よりかなり遅くに着いた私たちに

とりあえずお風呂より先に晩御飯を差し出してくれた。

あぁ、美味しい。民泊の良さはここにある。

地鶏の唐揚げを頬張らせていただいた。

そして、日本の旅の間晩酌に欠かさず飲んでいた

ビールを飲まずにはいられない。

上勝町のクラフトビールをいただいた。

上勝町に来たもう一つの目的である。

また機会をみつけてブログで紹介したいと思う。

お腹と喉を満足させた後

用意された薪で焚かれたお風呂に浸からせていただいた。

まだ真っ暗で辺りの様子はよくわからない。

音や空気で察するしかない。

なんだかこんな山奥に泊まるのはギリシャのグリキ以来だな。

グリキの石積みの民泊は、空気も乾燥していたせいか

明かりを消すと、小さなサソリが寝室にいっぱい出た。

そんな消えない思い出が脳裏をかすみ

部屋を暗くするのに緊張した。

弱い母ちゃんを見せるわけにはいかない。

クモとかゴキブリとかいっぱい出てきたらどうしよう・・・

なんて思ったけど、開き直りと疲れで真っ暗な中熟睡できた。


Kamikatsu 1


翌朝、雨戸が無いから、日の明かりとともに目が覚めた。

サマータイムがないから日の出が早い日本。

夏至の近い時期は4時半頃から明るいのではないだろうか。

その時間にうっすら目が覚め、いつも二度寝をする感じだった。

それでも早く目が覚めてしまう。だから夜も早くに眠くなる。

そういうわけで、早朝、どこでもいつまでも寝れる少年をおいて

一人で外に出て散歩することにした。


DSC02549


こ、こ、こんなところに来ていたのか。

山に囲まれ、上ってきた道の所々に民家がポツポツとあって

でもそれはちょっとイタリアの山の村々とも似ているような

移住民では決してなさそうな代々からの民家で

土地の産物を継承し続けて生きているような

長い暮らしの形跡のある民家の傾斜にある庭や畑には

私からすると珍しいものが植えてあって

観葉植物のような草花が堂々と咲いていて

虫が草花にブンブンたかってムシャムシャ食べて

土地と空気の生きた暮らしが伝わってきた。


68661074_456430471861882_252944617064890368_n


おばちゃんの手料理朝ごはんでしっかり腹ごしらえをした。

棚田に行くにはどうしたらいいか訪ねた。

この上勝町では、棚田が有名で世界から観光客が訪れるそうだ。

私もその一人。

是非我がニッポンの棚田百選級の棚田を見てみたい!

棚田ビューポイントがいくつかある。

そのためにレンタカーを借りてきたのだが

おばちゃんがサービスで案内してくれるという。

民泊では土地の産物体験をさせることが売りである。

私たちは、民泊で体験しない分

観光案内がおばちゃんのサービスであったのであろう。


68640892_362795587955172_3059647728582656000_n


断ったけど、おばちゃんが連れて行くと強く言った訳が分かった。

こんなところ私は絶対に運転できない・・・

おばちゃんが、私たちが到着したときに

運転を褒めてくれた理由がわかった・・・

すごいところだった。

かの有名な棚田は、軽自動車一台しか通れないこの細い道を

くねくね上っていく所々にある。

おばちゃんがかっこよかった。

マニュアル車で坂道を登り下り

対向車が来たらバックで凹みまで下がる。

おばちゃんは、現在も稼働している米を挽く

水車小屋にも連れて行ってくれた。

少年が「あれ何っ?!」とビビっている。

そこにはなんと、ブラジルのアマゾンとかアジアのジャングルとか

とにかくテレビでしか見られないような

それはそれはものすごい大きさのスズメバチの巣があった。

おばちゃんは「あら、よく見つけたね。おばちゃんも知らなかったよ。」

と全然驚いた様子もなく言う。

「あぁでもあれ、もう終わっちゃってるね。だから大丈夫。」


68558274_492216691579490_8287884608817594368_n


おばちゃんは用事があるようで急いで

国の重要文化的景観に認定されている

樫原の棚田に連れて行ってくた。

他のビューポイントからも眺めたかったが

欲張らない、こんなところ一人で来れないんだから

案内してくれただけでも嬉しいと思え。

四季折々の姿があり絶対にいつでも美しいであろう。

一日の時間でも畑に照らす光は違うはずだ。

この真上に月なんか現れたら最高だろうな。

何度も来なくちゃ見れないし

いろんな姿が見れるのは住人の特権だ。

私がヴィンチの家から眺める夕日を見て住人の特権と思うように。


68545477_2385200895082859_187500082956861440_n


私たちが上勝町を訪れたのは

梅雨が明けたと宣言された日であった。


69171299_382944002395772_7748228178597904384_n


あれから朝から晩まで逃げ場のない蒸し風呂のような

暑い夏が始まった。

帰伊する前に再び戻るようにして千葉県鴨川市の

大山千牧田の棚田にも行く機会を設けた。

東京から一番近い日本の棚田百選に選ばれた棚田のようだ。

こちらは、狭い恐怖感はちっともなかった。

広大に棚田が広がり山々に挟まれたところではなかった。

まるで草原の中にいるように田の穂が風に揺れていた。

そう、もう穂が出てきている。

今一面の緑が黄金になる秋の収穫はもうそう遠くはない。

日本人が毎日食べるお米。

無事に収穫できることを日本の向こう側からも祈り願う。


69376159_762568250856786_3177111643859451904_n


私のオリーブは春と初夏の異常気象に耐えている。

耐えられなかった品種もあるけれど

最後まで美味しそうに成長しているオリーブに期待しよう。



*私がセレクトした過去の関連記事Best 3 Archivi Selezionati

灼熱の光Commemorazione

もぞもぞ成長、BIOでいることScacchiatura

不自然な自然Ora diprimavera


最後まで拝読していただきありがとうございました。



にほんブログ村 海外生活ブログ ヨーロッパ情報へ