2015年のイタリアの夏は猛暑だった。

日本の梅雨期、雨降りの中を歩くと肌寒いほどの気温だっていうのに、電話の向こうにいる夫の声は「イタリアは40度近くで午後は外に出られん!」と嘆きの声を思い出す。


オリーブの実に卵を産み付ける種のハエ(Mosca dell’Olivoモスカデッロリーヴォ)は、猛暑の為産卵期を逃し、オリーブの実は順調に成長期を過ごした。

10月前半の豪雨明けには、収穫を始めているところもあった。ハエたちの心配もなく、トスカーナのオリーブの実は、無事にオイルへと絞られたことであろう。

暑さに強い植物であり、ハエの産卵期を乗り越え、2015年のトスカーナのオリーブオイルは、どの農園でも出来が良かったのではないかと私は想像する。


一般的に売られているオリーブオイルを大きく二つに分けてみると、一つは表記されていないFiltratoフィルトラート、もう一つはGrezzoグレッツォとかNon Filtratoノン フィルトラート表記されている

Filtratoフィルトラートは、一般的に市場に出回っているものだ。フィルターでオリーブオイルを漉してあるオイルで、余計な成分を取り除き長持ちする。

Grezzoグレッツォ=Non Filtratoノン フィルトラートは、その逆で、フィルターに漉されていない純なオリーブオイルということである。しかし、時間が経つと沈殿物ができ、その沈殿物を除去しなければならない。沈殿物の中にある成分は、オイルの劣化を進める成分がある。容器から容器へと移し、沈殿物を除去する作業をイタリア語でTravasareトラヴァザーレという。10リットル以上のの大量購入をした場合、年に1~2回はTravasareトラヴァザーレをすることを薦める。


イタリアの小さな農園で直売しているオリーブオイルは、たいていGrezzoグレッツォのオリーブオイルである。フィルターで漉すには手間と時間と費用がかかる。

しかし、私は、少しでも美味しさを保たせる為に、フィルターで漉したオリーブオイルを薦める。

フィルターで漉したオリーブオイルは、冷凍することもできる。11月の搾り立ての味が夏に味わうこともできるのだ。講座で、こんな目の飛び出るような話を聞き、講師オススメのFrantoioフラントイオ(搾油工場)でこだわりのオリーブオイルを購入し、早速冷凍してみた。(高価でこだわりのあるオリーブオイルは、たいていフィルターで漉されてあるものが多い。)

7月の私の誕生日に解凍し、待ちに待ったオリーブオイルを試飲。うぉぉぉぉぉ!!忘れもしない搾り立ての味。感動・感激!

これは、特許を得たAntinoriアンティノーリ社の技法だそうだ。

一度解凍したオリーブオイルは再度冷凍はできない。小分けにし冷凍してみるのもいいかもしれない。


オリーブオイルの保存は、緑の葉緑素が飛ばないように暗室で、透明ガラスの容器の場合はアルミホイルや新聞紙でも巻きつけ、とにかく遮光することは鉄則である。できれば、20度程度一定温度が保てる場所で保存し(冷蔵保存はNG)、火の近いところでは放置しない。

少しでも長くおいしいオリーブオイルを味わって欲しい。