大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

June 2016

2016年のトスカーナの初夏は、雨がよく降った。

かといって一日中降り続くわけではない。

30分ぐらいのスコールのようにやってくる。

Vinciヴィンチの丘では、西に見える雨雲がこっちに向かってくるときに雨が降ることが多い。

遠くの景色が見えなくなり、グレーがかった白っぽい一面がこちらに向かってくるのである。


この雨のおかげで大地の恵みたちは、雨を受け止めようとドンドン生い茂り、葉は吸収したものを蒸発させる。

彼らの呼吸がまた雨を呼び起こしているようだ。


こんな気候が合っている植物と合っていない植物がある。

5月に開花するオリーブは、「水」が必要だそうだ。

まずまずの結実に成功したようだ。
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ブドウの開花時には、雨はご無用・・・だそうだ。

まぁそれでも実はついている。

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ブドウ畑で今、最も追いつかないほど手を焼いている作業は、Allacciaturaアッラッチャトゥーラ。誘引と呼ばれる作業である。支え紐(架線)に巻きつけながら近づけてあげる。トラクターや今後の作業をしやすくする為と、ブドウの重みで枝が折れないようにする為である。
DSCN2722作業前
DSCN2719作業後
私より倍に伸びているのではないかというぐらい、天へ向かって伸びている枝を呼び寄せ、一番上の架線にグルグル巻きつけていく作業、Capannaturaカパンナトゥーラも同時に行う。

(農園に依っては、Cimaturaチマトゥーラという摘心作業を7月頃機械で一気にやったりするが、ブドウの質は落ちる。)
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下にダラ~ンと落ちて成長している枝も人間が持ち上げてやる。そうすると、混み合うので、ついでにSfemminellaturaスフェンミネッラトゥーラと呼ばれる副梢掻きもその場に応じてやる。

(これも農園に依っては、機械でドッとやってしまう。見事な垣根が出来上がる。当然ブドウの質は落ちる。)

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私より背のあるブドウの棚に這いつくような作業では、長ズボン、長袖シャツ、四方につばの付いた帽子、+マスクと完全防備!・・私はね。日本人は予防好き。

虫刺されを予防し、虫の糞だか虫除けに撒かれた硫黄の粉が呼吸気管に入るのを防ぐ。

陽の差す頃は汗をかくが、汗は体内の浄化!と考える私は、そんなに不快には思わない。


世代交代した85歳の農夫がブドウの棚の向こうでつぶやいていた。

「昔はよぉ、あるべき気候だったんだよなぁ。虫だっていっぱいいたんだよ。今はアッチコッチで殺虫剤なんてものを使いやがってよぉ。生態系が狂っちまったよ。化学肥料なんていらんよ。緑肥で十分。こんなに元気に育ってるじゃないか。見ろ、ブドウがこんなにぶら下がってるぞ。」

(日本語に訳すと、こんな風に聞こえてきた。)


この農園は現在Biodinamicoビオディナーミコバイオダイナミック法に従って管理されている。

この世が生み出す「光・水・空気・大地」を大いに活用することにある。

少量の銅(消毒用)と硫黄(虫除け用)を散布する。

肥料は緑肥のみ。

樹への作業はLuna Discendenteルーナディシェンデンテのみ。

自然を尊重することで次第に自然と協調できるようだ。


P.S. ブログ『ブドウの芽かきScacchiatura』を参考に。

早く実が成らないかなぁ。

もう少し実が成ってくれないかなぁ。


こうして実が成るのを待ち続ける間お花を食べる。

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お花の中央のおしべやめしべを取り除く。

我が家のトップは、おひたし。茹でずにノンオイルで(もしくは少量のオリーブオイルかごま油の手も!)ササッと炒め、塩か醤油で食べる。・・・といっても、お花はほんの数本だし、熱を通すと小さくなるので、私一人分だったりする。

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アーティチョークのオリーブオイル漬けとズッキーニのお花のおひたし。

次に、超シンプルパスタのAglioアーリオ(ニンニク) Olioオーリオ(オリーブオイル) Peperoncinoペペロンチーノ(唐辛子)などのときに加える。Acciugheアッチューゲ(アンチョビ)も加えると相性がイイ。

Frittataフリッタータ(オムレツ)に混ぜ込んで歯ごたえを楽しんだり。

お客さんが来たときには、Frittoフリット(フライの意だが、この場合は天ぷらと訳したい)にする。SalviaサルビアやタンポポもFrittoにし、カリカリとAntipastoアンティパスト(前菜)。ケラケラと会話が弾み、グイグイと冷えた白ワインがすすむ初夏。

お料理上手なMammaマンマ(ママ)がいるイタリア人の友は「お花の中にRicottaリコッタ(リコッタチーズ)を詰めるのよ~~~」と自慢する。

美味しそうだなぁ。


カボチャ科の黄色いお花は食べられる。

イタリアの各地でSagra del Fiore di Zuccaサーグラ デル フィオーレ ディ ズッカカボチャのお花祭りと題してカボチャやズッキーニのお花を使ったいくつものタイプの料理が味わえる。

Sagraサーグラとは、収穫を祝った祭りの意味がある。


ズッキーニ(カボチャも)のお花は、ビタミン(Vitamin ACB1B2B3B9)やミネラル(カリウム・マグネシウム・鉄分・カルシウム)リンがあり、免疫強化や浄化作用をするそうだ。

わぁぉ。生活習慣病予防に強い見方だ。

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朝一番、煌煌と咲いているお花をぼんやり眺めたら、ランチのお伴にもぎとる日々を過ごすVinciヴィンチ6月でありました。

イタリアの小学校は、長い長い夏休みに突入。

まだまだ学習に集中できる気候なのに。

仕方がない。

夏休みを祝って外食を開始するか。

どんよりとひんやりとしたVinciの空の、緑が放つ空気を吸う。
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今晩は、GASで購入した牛肉の煮込みパスタ。

(お肉の煮込みは、3分の1のお肉を細かく刻んでソースと一緒にプリモピアットのパスタへ。残りのコロコロかたまりのお肉はメインディッシュへ。一石二鳥な料理である。)

お肉のお伴に、Vinciの大地の我が家のサラダ。

赤のバイオダイナミックワインがすすむ。

ぼうっと景色を眺めている内に、暗闇の中にいる私たち。

少年はEuropeo(UEFA EURO 2016)を見始めていた。

梅雨模様だったり、新緑が漂う初夏模様だったり。

そんな気候には、草が喜ぶ。

Vinciヴィンチのお庭には、Finocchi Selvaticiフィノッキ セルヴァーティチ(野生のフェンネル)がふさふさと大量に茂っている。
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ふさふさが虫たちのたまり場となる。これはホタルだな。

年々広がっていき、お隣の植物の生気を吸い取る野生のフェンネル。

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イチゴの生気も吸い取ってしまった。

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生きる紫を放つラベンダーの中にまで生えている。危ない。

切っても切っても生えてくるフェンネル。減るどころか増えていく。


しかし、食べるハーブは我が家の食卓に重宝する。

野生は、体臭・・いや、香りや味が強いので、ちょっとだけ摘まんでサラダに加える。

柔らかい若芽を摘んで、トマトソースのパスタに加える。

シチリア出身の友人が作って忘れもしないPasta con le Sardeパスタ コン レ サールデ(イワシ入りパスタ)が無性に食べたくなってきた。

イワシと松の実、ふやかした干しブドウ、フェンネルのふさふさの部分などを用意する。
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サフランの代わりにトマトピューレを使い、レシピにはなかったがニンニクを一片入れたりとアレンジ。

シチリア人は、パスタなどの上に、オリーブオイルでよく炒めたMollicaモッリーカ(23日経ったパンを細かくした所謂パン粉)をかける。これがあるとないとでは食感がかなり違ってくる。お試しあれ。

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場は、Bucatiniブカティーニ(ストローのように穴のあいた長いパスタ)を使うらしいが、家にあるパスタで。
 

Finocchi Selvaticiは、消化を助け、腸の作用を整えるそうだ。
ビタミンやミネラルなどの成分がある。
 

散歩の途中、Finocchiを見つけたら家に持ち帰って、ハーブの香りを食卓に並べてみるのはどうだろう。

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