大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

juillet 2016

七月三十一日、祖母の一周忌であった。


一年前の夏、私と少年は、祖母の様態を近くで見守りたく日本へ・・・故郷へ・・・帰国した。

食事もままならない祖母は、骨と皮だけの身体で、口を開けて眠りこけていた。


帰国から一ヵ月半が発ち帰伊する出発の4日前、異変があったと連絡を受け、タクシーで駆けつけた。

祖母が目を開けて、何か言いたそうに私と少年を見る。

2015

少年が動くと祖母の目が動く。

あぁ・・覚えてる、おばぁちゃんの目。

何だ、元気そうじゃない。

私は昔を思い出す。

祖母も思い出しているかもしれない。また私の少女時代と少年がダブっているのだろう。


少年が5歳の頃、祖母は笑顔で迎えてくれた。

キレイな白髪はキレイに梳かされていた。
Nonna 99anni 

「おばぁちゃん、マキちゃんだよ。ただいま。」

一瞬、アラ、どなた様?みたいな素頓狂な顔をする。

が、祖母の記憶が甦る時代は、マキちゃんと同居していたんだから忘れもしない。・・はずだ。

祖母は、マキちゃんと面倒を見た孫の話を、白髪になった孫のマキちゃんに立て続け話をする。

チョコチョコ動くマキちゃんがそこにいた。五歳の少年がマキちゃんだった。

お別れの時「おばぁちゃん、またね。マキちゃんすぐ帰ってくるから。」

祖母「泊まるとこはあるのかい?」と私に聞く。

「この子、帰るところがないんです。」と看護士に言う。

「おばぁちゃん、大丈夫。マキちゃん一人で何とかするよ。」

「そっかい。」

話をしている時は少年がマキちゃんだったのに、お別れの時のマキちゃんは、私だった。

皆が言うほどボケてないじゃない。

親戚にその日のことを話すと驚いていた。

普段は笑わないし、話さないのにねぇ・・・と。

祖母の記憶は、娘の死で止まっていることを確信した。


翌日、息を引き取った連絡が入った。帰伊する出発の3日前である。

祖母、また口を開けて眠っている。でも、色が変わっていた。

少年は、祖母をベタベタ、ペンペン触っていた。

「死んじゃったらどうなるの?」

「丸い透明の≪たましい≫となって、私たちのことを見守ってくれるはずだよ。だからがんばって生きるの。」
JPG
とうとう彼女の長い人生は、老衰した。

享年102歳。

祖母は、夫と娘、息子のいる墓に入った。

地では減っていき、天では増えていく。

地では未来が生まれ、天では過去が生まれる。

「おばぁちゃん、またね。」

一文無しの9歳の少年は、大好きなお母さんの誕生日祝いを贈ることにした。


作品が完成した頃、誕生日は10日も過ぎていた。

誕生日の乾杯は、喜んで2回もやった。
AuguriBuon Compleanno
結局のところ2ヶ月弱かけて、大作・長編の絵本を仕上げたのだった。

Copertina Anteriore

タイトル≫ 

Le Foto della Natura di Maki』 マキの自然の写真

絵・文≫   

ナル

あらすじ≫

マキは一人で車に乗って、田舎の道を通り、自然の館で一泊する。

自然を見ると「Che Bello!!ケ ベッロ(わぁぁスゴイキレイ!!)」と喜び、写真をいっぱい撮り、大好きな野菜を食べる、マキの一泊旅行はフリーなシングルであった。

Una Pagina

なんだか笑っちゃうようで、涙も浮かぶシンプルさ。

素朴な少年が描く素朴な物語。

大好きなお母さんが見えない時、ボクの知っているお母さんを想像する。

Postfazione
だから、私が仕事以外で一人で出かけようとするとどうしても行きたがる。

この絵本は、ここにつながっている。


母子家庭だった少年と同じ歳、母が仕事で泊まりの時は不安で不安で仕方がなかった。

祖母がいたって、お母さ~ん、お母さ~んと布団の中で泣いていた。


少年・・・不安がとれるまで、お母さん以上の世界に興味を持つまで、一緒にいるよ。

一人で外出が許される中学生になる頃、きっと不安がとれ始めると予感する。

Copertina Posteriore

一文無しの少年からの贈り物は、ボクが想像した旅行だった。

ありがとう、少年。

毎日が旅行気分だよ。

自然を見て、写真を撮って、野菜を食べて。


9歳の少年は、6月にイタリアの小学3年を終了した。

終了前に、OpenDayと呼ばれる学習発表会があり、宇宙の中の地球と生物の誕生と進化について発表した。

OpenDay

ずいぶん難しいこと勉強してるんだなぁ。

きっと今行けば、興味を持って楽しくミュージアムを満喫できるかもしれない。


夏休みに入り母と少年は、Vinciヴィンチ村からバスに乗り、Empoliエンポリの駅からローカル線で電車に乗り、Firenzeフィレンツェへ向かった。

駅からは徒歩でPiazza S.Marcoピアッツァ サンマルコ(サンマルコ広場)の角にあるMuseodi Storia Naturaleムゼーオ ディ ストーリア ナトゥラーレ(自然歴史博物館)へ。

Museo di Storia naturale Depliant

大学付属のミュージアムは、Paleontologiaパレオントロジーア(古生物学科)Mineralogiaミネラロジーア(鉱物学科)Orto Botanicoオルト ボターニコ(植物園)Botanicaボターニカ(植物学科)がある。

今日は、地球と生物の誕生と進化の古生物学科Paleontologiaへ。

Paleontologia Depliant

大陸の成り立ちや川や森林ができ始めた説明から始まる。

ほぅ、昔々は大陸一つだったのか。


ガチャン。

電気が切れた。


幸いこのパートは窓がいくつかあり、気にしながらも母と少年は引き続き閲覧。
Visita Paleontologia sketchVisita Paleontologia foto

しかし、向こうのパートは窓が無く暗い。


暫くしてある青年が声をかけてきた。

「電気が切れちゃって申し訳ないから、ザッと館内の説明をしてあげます。」という。

なんと気の利く青年だ。

この青年は、この古生物学科のガイドをしている臨時スタッフだった。


パート1は、全部トスカーナで発掘された骨なんだそう。
Paleontologia 1 

胴体より歯の部分の骨がズラリと並ぶ。

下向きの大きい牙を持つトラ。

上向きの大きい牙を持つイノシシ。

骨髄のうまみのあるゼラチンを食べる為に骨を食い尽くせる程の鋭い歯を持つハイエナ。
Denti di Iena

草だけを食べる動物たち。などなど・・・・。

歯を見ればだいたい何を食べる動物かがわかるという。

そして、何を食べるかがわかると、気候もわかるという。

イタリアはアフリカと大陸続きで、トスカーナはトロピカル気候だったことがわかるのだそうだ。


トスカーナのBarberinoバルベリーノという地の、ある農家の土地で発掘された巨大なマンモスの骨は、館内のメイン展示物となっている。
Mammut di Barberino
マンモスの歯もコレクションのように並ぶ。

一頭のマンモスの歯は4つしかないそうだ。
Denti di Mammut
この一つの大きい歯の表面は、洗濯板のようになっており、草などを磨り潰して食べていたんだそうだ。

そして、人間の歯のように下から生え変わるのではなく、奥から押すように生えてきて、前方が消耗しながら生え変わるんだそう。

へぇぇぇ。


続いてイタリアのパート、インターナショナルのパート、そして化石のパートだよ、と教えてくれた。

人間のせいで全滅した鳥の話もしてくれた。
Paleontologia Internazionale 

化石もよく見るとおもしろいよ、という。

本当は全部説明したいぐらい楽しそうに話す。
Paleontologia Fossili 2
 

そうこうしている内に電気が戻った。


この5月(2016)に新しく増設した展示コーナーは、クジラを衣食住の糧としていた民族のはなし。やっぱりその地でクジラを食べることは、生きていく上での知恵でもあるし本能なんだなぁと認識する。
Storie di una Balena
 


この古生物学科だけで、ある意味学んだことは、少年がErbivoroエルビーヴォロ(草食動物)Carnivoroカルニーヴォロ(肉食動物)Onnivoroオンニーヴォロ(雑食動物)と学んだように、私たち人間は雑食動物で肉も野菜も食べなくてはいけないということ、私たちの歯はそうできている、ということを確信した。

人間の体は、食べ物をちぎり、よく噛んで食べる構造になっているのである。

Museo di Storia naturale Souvenir

少年の学習と青年の説明で大人も学んだPaleontologiaであった。

2月に蒔いた小さな小さな種から生まれたトマトたちが、7月に入りようやく熟れてきた。

トマトのグラデーションが伺えて菜園を飾る。

2016-12016-3
2016-2
2月の
Opposizione Luna-Saturnoオッポジッツィオーネ ルーナ・サトゥールノ(土星と月の「衝」)の前日、小さなポットに5粒くらいずつ蒔いた。

そしてビニールをかける。

細い双葉が出、次にトマトらしいザクザクの葉が出てきて、ある程度しっかりしてきた頃、間引きせず、ポットを増やし株分けをする。
2016-12016-22016-3
トマトは、株分けにも移植にも強い。

ビニールの中では守られている為、ヒョロヒョロに背が伸びる。外気に慣れ始めると、茎がしっかりと太くなる。

外気温や天候を見ながら、5月のまたしてやOpposizione Luna-Saturnoオッポジッツィオーネ ルーナ・サトゥールノの前日、大地に植えつけた。土星と月の「衝」が近づくと、種蒔きと移植に良いんだそうだ。

雨降りの多かった初夏。根が腐るのではないか、トマトの味が水っぽくなるのではないかと心配した。

今年はこまめにわき芽をかいた。

混み合わず、茎の太いトマトの木に成長した。


Borragineボッラージネ(ボリジ)を生え放して受粉を手伝うハチを呼んだ。
Ape su Borragine 

クモが虫を食べている。そっとしておこう。

Ragno su pomodori

夫が待ちに待ったPane e Pomodoroパーネ エ ポモドーロをようやく自家栽培トマトでこしらえることができる。

夫の絶品料理!(簡単過ぎる・・・。が!彼の右に出るものはいないっ!)
Pane e Pomodoro di Roberto-1 

スライスしたパンに、トマトをこすりつけ、塩をふり、極上自家栽培オリーブオイルをかけ、再びトマトをこすり、味を均一にする。
Pane e Pomodoro di Roberto-2

山でも海でもこしらえる我が家の夏には欠かせないPane e Pomodoroパーネ エ ポモドーロ


ちなみにトマトの成分。

緑黄色野菜なのでビタミンAになるβカロチンがある。視力・粘膜・皮膚・髪の毛の健康を維持し、呼吸器系統を守る働きがある。

そして、皮にたくさん含まれているリコピン。抗酸化作用があり、ガンや動脈硬化の予防をしてくれる。


さらに、日焼けや腫れなどに、トマトの果汁とオリーブオイルをあわせた液をマッサージすると痛みや腫れがひくそうだ。

エピソード≫

いつだかチューニア旅行のディジェルバ島の海でシュノーケリングをしていたらクラゲに顔を刺されてしまった。それでなくても大きい顔なのにドンドン赤く腫れていく。恥ずかしくってさらに赤くなる。そんな赤い私を心配して駆けつけてくれたチュージア人。何を言っているかわからなかったが、赤いトマトを一個持ってきた。目の前でスライスし始め、私にホレ、ホレと差し出す。ジェスチャーでわかった。私の赤い顔は、赤いスライストマトでうまった。

Oh!しばらくすると赤い腫れがひいたのだ!!!!!!

オリーブオイルこそその時はなかったが、トマトパックで腫れがひくのは間違いなし!!



そんな役に立つトマトにも欠点がある。

トマトには、ヒスタミン成分があるのでアレルギー持ちには要注意野菜なのである。

食べるか我慢するか。くぅぅぅぅぅ痛い選択。

2016
・・・やはり・・・イタリアの大地の恵みトマトの味はやめられない。

Convegno di VitiViniColtura Biodinamica Moderna

コンヴェーニョ ディ ヴィーティヴィーニコルトゥーラ ビオディナーミカ モデールナ

【現代バイオダイナミック法によるブドウ栽培ブドウ酒造の集会】

『パート3:バイオダイナミック農法推薦』


午後、Alchimiaアルキミーア(錬金術)の歴史から始まった。

古代エジプトに起こり、アラビアを経てヨーロッパに伝わった原始的な化学技術。卑金属を貴金属に変化させたり、万能薬の研究などを哲学・神学・医学・宗教・心理学・化学と様々な視野から考えた術。

バイオダイナミック法は、こんな時代に遡る。

とても興味深く、居眠りなんかしてられない。


Ariaアーリア()Acquaアクア()Fuocoフオーコ()Terraテッラ()

生体力であるこの4つのElementiエレメンティ(要素)は、芸術においても表現されている。

FirenzeフィレンツェPalazzo Vecchioパラッツォ ヴェッキオSala degli elementiサーラ デッリ エレメンティで伺えるそうだ。(一例)

そして、7つの金属元素を7つの太陽系惑星と関連させ、シンボルが生まれた。

そのシンボルも芸術で表現されている。

FirenzeフィレンツェGalleria degli Uffiziガッレリア デッリ ウッフィッツィStanzino delle Matematicheスタンツィーノ デッレ マテマーティケや、BotticelliボッティチェッリPrimaveraプリマヴェーラAlchimiaアルキミーアシンボルが伺える。(一例)

さらに、現在のAmbulanzaアンブランツァ(救急車)Farmaciaファルマチーア(薬局)のシンボルもAlchimiaアルキミーアからきているものだそうだ。

Alchimistaアルキミスタ(錬金術師)の発見で、塗料も生まれている。


太古から存在する錬金術は、現在の化学物質を扱う技術の基となっている。


そこで、Rudolf Steinerルドルフ スタイナーが発表した頃のバイオダイナミック農法よりさらに進歩した現代バイオダイナミック法での農業を*viticolturabiodinamica.itヴィティコルツゥーラビオディナーミカ(バイオダイナミック法ブドウ栽培協会)Agronomoアグローノモ(農学士)Leonello Anelloレオネッロ アネッロ氏は断然と推薦する。

Naturaナトゥーラ(自然)Agricolturaアグリコルトゥーラ(農作) なんだそうだ。

土地を上手に利用し、植物を守る工夫をする。

植物の病気をよく知る。

作業の時期を確実にする。

などなど掻い摘んでいうと、そんなようなことを言っていた。


そして、機械化されたブドウ園の映像を見せた。

機械でザクザクザクと剪定され、機械でバサバサバサと摘心し、機械でグオォォォォォと収穫する。

ブドウは裸で鞭を打たれているようなものである。病気になるのは当たり前だ。

草が生えれば除草剤を撒き、虫がつけば殺虫剤を撒き、病気になれば薬で治す。農薬は、呼吸をしている葉から、栄養を吸い取る根から樹内に浸透していく。樹内から抵抗させるのである。

Anello氏は、栽培についてしか言わなかったが、その後も簡単に想像できる。

発酵させる薬、透明にさせる薬、味を調整する薬、保存させる薬をごちゃまぜて、安くておいしいワインとやらが出来上がる。食卓では、鈍感な舌で化学飲料と化学食品を味わい続け、病になる。

全て個人の選択だし、個人の責任だと私は思う。

しかし、健康や自然・未来を長~い目で考えると、必然的に守りたくなってくるはずだ。


私も以前は、オーガニック食品や商品は値段が高くてなかなか手が届かなかった。・・・と思い込んでいた。

しかし、G.A.S.(ブログ『GASローカル興しのBIO商品』)のような方法で購入し始め、大地の恵みを吸い込んだ野菜や果物を食べだすと、野菜を含む産業食品の味がだんだん口に合わなくなってくる。

今や、フシギと夢のようだったオーガニック商品を購入し、知らずと他を節約しているようだ。

そして長い目で見ると、自然も体も病知らずとなり、実は経済的なことに気が付くはずだ。

そう納得した一日。


Anello氏は”文化を変えなくてはいけない!!”と熱く語る、'500年代の屋敷の窓から窓へ聴衆者の間を通り抜ける風が心地よかったVilla Medicea di Cerreto Guidiヴィッラ メディーチェア ディ チェッレート グイディの一室であった。

Convegno nella Villa Medicea


午前の部もどうぞ。↓

『パート1:農薬による危険性』



*viticolturabiodinamica.itヴィティコルツゥーラビオディナーミカ

現代バイオダイナミック法のブドウ栽培を推進する協会
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集会や講演を繰り広げ、普及させる。

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