9歳の少年は、6月にイタリアの小学3年を終了した。
終了前に、OpenDayと呼ばれる学習発表会があり、宇宙の中の地球と生物の誕生と進化について発表した。
ずいぶん難しいこと勉強してるんだなぁ。
きっと今行けば、興味を持って楽しくミュージアムを満喫できるかもしれない。
夏休みに入り母と少年は、Vinciヴィンチ村からバスに乗り、Empoliエンポリの駅からローカル線で電車に乗り、Firenzeフィレンツェへ向かった。
駅からは徒歩でPiazza S.Marcoピアッツァ サンマルコ(サンマルコ広場)の角にあるMuseodi Storia Naturaleムゼーオ ディ ストーリア ナトゥラーレ(自然歴史博物館)へ。
大学付属のミュージアムは、Paleontologiaパレオントロジーア(古生物学科)、Mineralogiaミネラロジーア(鉱物学科)、Orto Botanicoオルト ボターニコ(植物園)、Botanicaボターニカ(植物学科)がある。
今日は、地球と生物の誕生と進化の古生物学科Paleontologiaへ。
大陸の成り立ちや川や森林ができ始めた説明から始まる。
ほぅ、昔々は大陸一つだったのか。
ガチャン。
電気が切れた。
幸いこのパートは窓がいくつかあり、気にしながらも母と少年は引き続き閲覧。
しかし、向こうのパートは窓が無く暗い。
暫くしてある青年が声をかけてきた。
「電気が切れちゃって申し訳ないから、ザッと館内の説明をしてあげます。」という。
なんと気の利く青年だ。
この青年は、この古生物学科のガイドをしている臨時スタッフだった。
胴体より歯の部分の骨がズラリと並ぶ。
下向きの大きい牙を持つトラ。
上向きの大きい牙を持つイノシシ。
骨髄のうまみのあるゼラチンを食べる為に骨を食い尽くせる程の鋭い歯を持つハイエナ。
草だけを食べる動物たち。などなど・・・・。
歯を見ればだいたい何を食べる動物かがわかるという。
そして、何を食べるかがわかると、気候もわかるという。
イタリアはアフリカと大陸続きで、トスカーナはトロピカル気候だったことがわかるのだそうだ。
トスカーナのBarberinoバルベリーノという地の、ある農家の土地で発掘された巨大なマンモスの骨は、館内のメイン展示物となっている。
マンモスの歯もコレクションのように並ぶ。
一頭のマンモスの歯は4つしかないそうだ。
この一つの大きい歯の表面は、洗濯板のようになっており、草などを磨り潰して食べていたんだそうだ。
そして、人間の歯のように下から生え変わるのではなく、奥から押すように生えてきて、前方が消耗しながら生え変わるんだそう。
へぇぇぇ。
続いてイタリアのパート、インターナショナルのパート、そして化石のパートだよ、と教えてくれた。
化石もよく見るとおもしろいよ、という。
そうこうしている内に電気が戻った。
この5月(2016年)に新しく増設した展示コーナーは、クジラを衣食住の糧としていた民族のはなし。やっぱりその地でクジラを食べることは、生きていく上での知恵でもあるし本能なんだなぁと認識する。
この古生物学科だけで、ある意味学んだことは、少年がErbivoroエルビーヴォロ(草食動物)、Carnivoroカルニーヴォロ(肉食動物)、Onnivoroオンニーヴォロ(雑食動物)と学んだように、私たち人間は雑食動物で肉も野菜も食べなくてはいけないということ、私たちの歯はそうできている、ということを確信した。
人間の体は、食べ物をちぎり、よく噛んで食べる構造になっているのである。
少年の学習と青年の説明で大人も学んだPaleontologiaであった。