大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

カテゴリ: オリーブ OLIVI

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ブドウとオリーブ栽培を
ヨーロッパ基金を使ってトスカーナ州主催の
農業士養成講座の最終試験が
2014年の初夏だった。

その前からぼちぼち
近所の農園のブドウの収穫の手伝いや
自分チのオリーブでオリーブオイルを
搾りだしたりと
興味を持たずにはいられなかった。
そんなところに住んでいる。

小さな息子を連れ歩いて
講座を受けたり、農園の畑仕事を手伝った。
目の前にある資源でしか
私は働けなかった。
そのぐらいの能力しかなかった。

でも日本人で
イタリア文化のブドウやオリーブ栽培を
無料で学ばせてくれたこと
最終試験に合格できてスキル証書も
いただけたことが誇りにおもえるようになった。

経験を積めば積むほど
興味を持てば持つほど
知識や情報が増えていった。
こだわりさえもうまれた。

それと、有機栽培、バイオダイナミック農法で
造っている農園と最初から出会ったことが
作物への労わりの気持ち
自然との共存の認識が
ただ自然が好きという以上に
自分化していった。

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この十年間、気候が著しく変わった。
身にもって感じるほどだ。

2014年の9月、トルネードが
ヴィンチを襲った。
家も車もボコボコにした直径8㎝大の雹が
黒い空からいっぱい落ちてきた。
ブドウの収穫をしている最中の農園は
血だらけになる作業員もいた。
まだまだこれから収穫する農園は
あっという間にブドウが消えた。

オリーブもボトボト落ちていく上に
そういう急激な冷たい石にあたって
オリーブの木が病気になっていく畑が
ほとんどだった。

嵐のあと48時間以内に消毒液を散布しなくては
その病気を防げないが
オリーブの木にまで気に掛ける余裕は
ヴィンチ住人には少なかっただろう。

私が早速管理しはじめたオリーブ畑は
ご近所の農園が散布していたので
ついでに、お願いして散布してもらった。
オリーブの実はないのに。

そのあと、剪定で対応できるところは
剪定でゆっくりゆっくり治していった。

寒波が三月にやってきた年が
この十年で二回もあった。

寒波にやられたブドウの芽は
樹液を凍らせパリパリに枯らした様は
ミイラのようで異様だった。

寒波に耐えられなかったオリーブの木だって
私は目の当たりにした。

もしくは、10月の温暖で
オリーブミバエが大量発生というか
一気に産卵しまくった年。

毎年の猛暑。

毎年、干ばつだったり大雨だったり。

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2023年のヴィンチのオリーブは
凶作に終わった。

トルネードに襲われて
オリーブが落ちたのではない。

去年、十年間ではじめて大豊作だった
ヴィンチのオリーブ。

そこで生まれた種たちは
未来を指令した。
エネルギーの消費を控えろ。

私たちのことではない。
オリーブの木自身でコントロールしているのだ。

私が管理しはじめた畑では
化学肥料を与えない。
刈った草や落ちた葉が
彼らの肥料だ。
猛暑や干ばつで地面が割れ
そこに恵みの雨が入っていく。

木は自力で養分を探しにいく。

虫たちと共存し
生まれ食べられ
土に排出したり還っていく。

こんな方法が有機栽培だったりするとおもう。

だから、私が管理したオリーブの木々は
この十年間で、身体が洗われたはずだ。

抗体をもち、治癒力が身についたはずだ。

私ができることは、剪定をして
日の当たりや風通しをよくすることだった。

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私は、こういう実は貴重な体験を
SNSで写真を、文章でブログを
どこかの誰かが参考になるかな、とか
ヴィンチの四季の色は私の癒し
シェアしたいと想い
記録として残しはじめた。

すると、興味を持ってくださる方がいた。
世界から多言語で声援のコメントをいただいた。

私がこだわるオリーブオイルに
興味を持ってお声掛けしてくださることも
増えてきた。

はじめのうち、友たちに味わってもらっていた。

リクエストが増えることで
私の管理している畑だけでは
賄えなくなってきたこと
私がいちいち全部勉強しなくても
正式に日本へ輸出する方法は
日本行きオリーブオイルの監修を
ヴィンチの農園にかってでて
日本の輸入業者さんに依頼することだった。

ヴィンチの農園は、日本行きには嬉しいけれど
私がオリーブの栽培や収穫方法、搾油所を指定
フィルターの指示、瓶詰、キャップ、汚れ、梱包
さらにはラベルデザインまでオリジナル
それはそれはうるさくて面倒な
日本人だったとおもう。

日本の、オリーブオイルを専門に
輸入されている業者さんは
パンチが強すぎて、値段が高い
トスカーナのオリーブオイルは
日本では人気がない
と散々言われ続けた。

トスカーナ独特のオリーブの品種は
変えられない。
収獲日を遅らせることで
苦味を抑える方法を試みていた。
が、
オリーブオイル文化ではない日本人の舌に合う
後味の辛味が抑えられた
シチリア産やプーリア産のような
オリーブオイルにはいかない。
むしろそうなってはいけないし
トスカーナのオリーブオイルは
トスカーナ料理にあった
苦味と辛味が必要なのだ。

そしてさらには、ロシア戦争で
石油を筆頭に何もかも値上がりしたこと
生産側も同価格では生産できなくなってしまった
輸入側も何倍もの空輸代の高騰で元が取れない。
困った。。。

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近年の異常気象で
農作物の生産が安定しないこと

生産・送料の値上がり

今後のトスカーナオリーブオイルを
正式にご紹介していく自信がなくなってきた。

2023年のヴィンチのオリーブオイルは
オリーブの凶作で、断念することを決意した。

だいぶ日本風に慣れてきたA農園に連絡すると
多少のオリーブは生産できているということだった。
私は、日本の輸入業者が懸念していたので
オリーブオイルの監修を追っていなかったが
やっぱり監修をしていないと
自分たちの搾油所で搾油してもらう
ということだった。

そこの搾油所はヴィンチでも大きく
搾油量を重視する傾向にあるので
搾油時の温度が高い。

私にとって、搾油機はとても重要だ。
いかに成分たっぷりで濃厚なオリーブオイルを
高品質に抽出するには
ソフトに攪拌して
低温でオイルを抽出し
高性能に水分と油分を分ける
できたら、すぐにフィルターにかけ
劣化成分を即除去することなのだ。

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今年は、我が家のオリーブは
B農園と混ぜてもらうことにしたので
そのB農園のはたまた別の
丘の上にある搾油所で搾油してもらった。
が、私が指定する搾油所ではない。
何℃で搾られているかも
どんな機械かもわからない。
でも昨年その搾油所で搾油して
ローカルな範囲でのオリーブオイルコンテストで
このB農園は優勝したみたいなので
上手に絞ってくれるのだろう
そのぐらいの信用だった。

我が家に持って帰ってきたオリーブオイルを
プロがやる風に生で試飲する。

ん?
香りはまぁある。
口にふくんだときの苦味はあるけど
辛味が足りない!
後にも、のど越しの辛味が残らない。
どちらかというと、こういうのを
日本のオリーブオイル輸入業者に求められていた
日本人嗜好なのかもしれない。
でも、トスカーナらしさはちっともない。

今年のオリーブがそうなのか
私の愛用搾油所ではないからなのか
よくわからない。
けど、異常気象だったオリーブのストレス具合
だとしたら、わかる気がする。

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つきまして、繰り返しますが2023年収穫の
ヴィンチのオリーブオイルは
残念ながら、ご紹介することを断念いたしました。

以後の予定は未定ですので
引き続き、ゆるりと発信しているブログやSNSを
チェックしていただけると幸いです。



Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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2023年、オリーブは実らなかった。

我が庭のボスのようなオリーブの木の下で
内側からパラパラあるオリーブを眺めながら
今年を振り返った。

自分の2023年も振り返ったり
家族の今年も振り返ったり.....

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2023年の春
イタリアの各地で洪水となるほど
雨が降った。

ブドウの木はカビの病気になったり
そのときから不作が予想された。

春、異常気象となると
果実の芽生えや開花や結実
さらには病となり
なかなか子だくさんとはいかない。

ヴィンチの旬の果物が
全然食べれなかった年だった。
たまに手にする果物は
ローカルなものはなかった。
スペイン産だったり
南イタリア産だと安心したり。

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ヴィンチのオリーブは
昨年度が豊作だったので
今年は不作の予想はしていたはものの
こんなにひどいとは予想外だった。

今年の異常気象だけが原因ではない。
もう果実を生む指示は
そのまえのオリーブの種のチカラ
指示をしていると、とても興味深いデーターを
農業講座で習ったっけ。

だからここ数年の異常気象に
オリーブたちは制御しているようなのだ。

オリーブは、ヒトのマーケットなんて関係ない。
去年いっぱい生んだから
今年は去年の分でなんとかやって!
みたいなノリだ。

去年のオリーブオイルがまだまだあるし
オリーブオイルの保存と管理がきちんとしてれば
開けるたびに、いい香りが鼻に入ってくる。

我が家のマイオリーブオイルはこだわって
搾油後すぐフィルターに通している。

フィルターに通すことで
酸化を速めてしまう不純物が取り除かれ
安心&安定で長期保存ができるのだ。

フィルターで漉されていないと
酸化して味がどんどんかわっていくので
同じように保存しても賞味期限が全く異なる。

本当のオリーブオイルの美しい味とは
私はフィルター後だとおもっている。

そういうことを知らない
オリーブ文化の国イタリアの民だって
そういうものだと思っていたりするので
興味を持って学ぶことは大切なのである。

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私は腕を痛めた。

さらには、毎日イタリア人にもまれながら
別の形で食品業に精を出している時期だ。

そして、オリーブ不作。。。

夫にできる分だけ収穫させて
お馴染みバイオダイナミック農法の農主の
収獲されたオリーブに混ぜてもらうことにした。

オリジナルオリーブオイルではなくなるけれど
オイルになる実を放っておけない。。。

だから農主のプログラムで収穫をする。

農主は派遣労働者に数人来てもらって
わーっと収穫してその日に搾油所に持っていく。

収穫後、早ければ早い方がいいけれど
48時間以内だったら、そう変わらないと
データーが出ていると教わった。

だから農主のプログラムに合わせた日に
収獲して、次の搾油日の日に
また私たちも収穫するのである。

10月27日の段階で
オリーブオイルの搾油率
11,5%だったそうだ。...低い。

実が少ない上にオイルの抽出量も少ない...

私たちは、あともう一回ぐらいの収穫。

残った黒オリーブは、塩漬けに
あえてとっておこうとおもう。



よく読まれています。
EVOオイルとは Olio Extra Vergine di Oliva



イタリアでブドウやオリーブ栽培を
学ばせていただきました。
カテゴリーオリーブ OLIVI より
当時の気持ちや状況を盛り込んで
貴重な体験を綴りました
エッセイPhoto Blogです。
もしよかったらお時間のある時に
どうぞご覧ください。
何か参考になることがあれば
これ幸いです!

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オリーブの剪定は2月3月が最適だ。

しかし、トスカーナは
3月終わりから4月の始め頃に起こりやすい
夜の冷たい霜がオリーブ畑を覆うと
弱いオリーブは生気を失う。

ブドウも樹液の流動がはじまって
芽吹いたブドウたちは凍って枯れてしまう。
今年もハラハラした。

そういうことがあるから
大きい枝はできたら一番最後に剪定する。
小さい枝の剪定は
とっとと終わらせる。
切り口の大きさで負傷の度合いがかわる。

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一昨年の剪定は
その前のオリーブの収穫で
私は二の腕あたりを痛めていたので
剪定を覚えてくれない夫にケンカしーしー
エネルギーをすいとる枝を除去する剪定を
中心にやってもらって
本格的な剪定はしなかった。

それでも毎年剪定しているので
時にはいい。

しかし、次の年は大変だ。
枝は固くなるし太くなる。
その枝にエネルギーが集中して
実をたくさんつけてほしい枝は
元気がなくなる。

とにかく日に当たらないと
葉っぱも生まれなければ実も生まれない。

調度いい場所にある枝は維持したいじゃないか。

今年は、今まで未熟な私の
残しまくった枝たちを
整理する剪定を中心にやった。

いやいやその前の管理主の
残した枝も整理したい。

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オリーブの剪定にはいくつか法則がある。
私も経験を積んでみいだしてきたことだ。

基本中の基本は
オリーブの樹形が
幹が1Mぐらいの高さまであって
そして3本か4本の主軸に分かれていて
その主軸1本ずつが円錐状になっていること。

イタリアでは
Vaso Policonicoヴァーゾ ポリコーニコとよばれる
イタリア中心部では最もメジャーな樹形だ。

私は、この樹形を説明するプロの剪定士も
一番最適な樹形だと思っている。
きっと土地や気候に合うのだろう。

手で持つ振動機の半手摘みの収穫がしやすいし
日にも全体的に当たりやすい。

樹形の中心部は空洞で内側からも日が当たる。
個別円錐状の主軸からは
5~7本の第二の枝が生えている。

剪定の狙いは
とにかく日当たりをよくすること
収穫が速くできる形
おいしい実がたくさんつくように
エネルギーをそっちに集中させてあげること
なのだ。

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樹形は、いたってシンプルだし
分かりやすい。
剪定では、どれを剪定するかだ。

基本中の基本はわかった。
次に追っていく法則は

主軸が高くなりすぎないこと
円錐状を小さめにおさえること
第二の枝を長くさせないこと

上の方はそういうわけで
細くなっているのが円錐だ。
上の方は日がよく当たるので
良い枝やエネルギーをすいとる枝が生えやすい。
それを処理していく。

第二の枝の先になるのが実のなる枝だ。
その実のなる枝は柔らかくてクルンとしてて
垂れ下がる感じのグループの枝が
良い実がなる枝。

その実のなるグループの枝から
ちょっと長めに元気の良い
また似たようなグループ枝が生えている。
将来それを使うこともあるし
じつはその枝がエネルギーに満ちていて
長さによってはその枝も剪定する。

直立した新枝の除去はもちろん
主軸や第二の枝の付け根の周りをスッキリさせていく。

内側へ向かっている枝
上へ向かっている枝も。

私は今回
全体の樹形と円錐と円錐の空間
第二の枝の数と長さ
そのエネルギーに満ちた枝の選択
をパキパキ判断していったら
だいぶ速くできるようになった。

そう、もうひとつの法則は
新しい枝ばかり残さないということ。
オリーブの実は、ブドウと違って
1年目の枝にできるのではなく
2~3年経った残した枝に実がつく。
消耗した枝は除去した方がいいけれど
時間を気にするなら
グループの枝を数年後にバッサリの方が
速く剪定できるかもしれない。

それと、完璧は求めない。
届かないところは諦める。

完璧にできてなくても
オリーブは葉から栄養を送り込んでいる。

いっぱい剪定しちゃったけれど
10~20%の剪定で十分なのだ。

剪定をすればするほど
どんどんエネルギーに満ちた直立した新枝が生まれ
次の剪定がまた大変なことになる。
彼らの葉っぱのなければいけない量って
じつはあるのではないかとおもう。
そりゃそうだ
彼らの呼吸と栄養素、糧となる葉だ。

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今回私が使った道具は
腰に、剪定ハサミと折り畳み式小さなノコギリ
私のは調節はできないけど1M以上の長いノコギリ
少し太い枝が切れるテコバサミ
電動チェンソー
木に登るだけの二段ベットで使うような短いハシゴ
登る時に便利な枝がないときは
面倒だけど長いハシゴ
長いハシゴのときは必ず木に縛って。

皮の軍手
メガネ
帽子
先が少し固くて底がしっかり刻みのある靴
(木に登る時安全)
日焼け止め(日に向かって剪定をしている)
毎日シャワーを浴びる
(木屑をあびたり、木を抱きつきながら剪定をしている)

絶対にオリーブの剪定で
怪我をしたくない。
これでもかというぐらい慎重にやっている。
オリーブの剪定の事故を度々耳にする。

それでもやっぱり
私は、オリーブの剪定が好きみたいだ。

私より何倍も大きい樹。
剪定をはじめるときはため息つくんだけど
やりだすと止まらない。
中途半端もイヤできっちりやっちゃう。

剪定後収穫まで
芽吹いてきて成長している姿を
観察してるのが好きなのだ。

前のオリーブの収穫が豊作だったので
今年は少ないだろう。

でも、その次の豊作のために私は
空間つくりと
エネルギーを集中させるための道しるべを
つくるのである。

なんかどこか私たちの生活と似ている感が
私には親近感がある。
大変とリスク付きなんか
まさしく生活そのものなのだ。




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家人が腕に傷をつくった。

薪をこしらえていた。

駐車場の方から声がする。
私は、冗談かと思って
とりあえず、はいはい、と
サンダルを履いて外に出た。

傷口をおさえながら
「救急車を呼べ!」という。
私もポタポタ落ちてる血を見ながら
動揺して、まず何をするべきか
あたふたしながらにも考えた。
いや、あたふた考えながら
動いていたとおもう。

まずは清潔そうな薄い布だ!
タオルじゃない
手拭いとかガーゼなみの薄い布だ。
前に、野菜を洗った時にふく用の布を
用意していたのを思い出した。
長さ的にちょうどいいのはアレしかない。

そのいらない布で繕ったいわゆる布巾で
傷口をおさえ、心臓に近い腕の当りを
ぎゅっと縛った。

そして、118番をよんだ。
(イタリアの救急車を呼ぶ番号)
意外とすぐに繋がらなかった。
スマフォも暗証コードを外してからの
操作だった。

3回ぐらい試してから
ようやく繋がった。
しかし、こっちは慌てているが
向こうは落ち着いている。
あえてなのか。

住所を告げ、道端で待機していることを告げた。
対応してくれた女性は
SMSで応急措置のメッセージを
送るから、それに従えという。
え、え、え。

通話中にメッセージが送られてくるが
通話中にスマフォのメッセージを読んで
応急措置をしている時間と余裕と気分はない。

あたふたしている様子がわかったのであろう。
電話の女性は、説明しはじめた。

「どの辺を怪我しましたか」
腕でも、手の方。
「手はくっついていますか?」
へ? くっついてるよー!
「意識はありますか?」
あるある、でも、めちゃ絶望してる!
「腕を心臓から遠い位地に上げて
横にしてあげてください」

女性がアドバイスするたびに
私は声を張り上げて
そこにいる人たちにも聞こえるように繰り返した。

通りがかりの隣人も一緒にあたふたして
気持ち的に助けてくれたし
たまたまシャワーを浴びていた
我が思春期青少年も
あたふた父のために
椅子を持ってきてくれたりと
半べその母に寄り添ってくれた。

118番とそんなやりとりをしている間に
隣町の救急車が来た。
5分ぐらいだったのではないだろうか。
山奥に暮らさない理由は
バス停もそうだけど
こんな理由もあったからだ。

救急隊員の女性が応急処置をしている間
怪我した本人は
翌日の仕事のキャンセルの連絡をしとけ
と言った。

みんなが
そんなこともうちょっと後で考えよ
という顔をしあって私をみた。

後から別の車で現れたお医者さんが
様態を診て、いろいろ書きながら
最寄りの救急病院の空きを確認している。

救急のお医者さんもやたら落ち着いて、本人を慰めていた。
怪我しちまったことはもう仕方がない
少しだけ生活が変わるだけだ
と、言いながら書き終えた後、私をみた。

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あれから、一ヶ月以上時は過ぎ...
やっとリハビリがはじまった。

お医者さんが言ってた生活が変わる
という言葉が
何度も私の中でぐるぐるした。

怪我の本人は
もらったりひろったりして集めていた
丸太を、自分で長さを
調節したり割ったりして
今年の、ガスも薪も暖房の高騰に
節約をしようとしていた。

薪支度がどちらかというと
彼の趣味だった。
木を切って火を起こす
暖にすることも食にすることも
彼なりのこだわりまで生まれたほどだ。

でもここ最近仕事で忙しく
なかなか薪支度ができず
ゆっくり日曜日はゴロゴロということもなかった。
田舎生活のゴロゴロ日は
雨の日ぐらいだ。
雨の日は自由が奪われた感じで
逆にイライラする。

そんな雨の日のような生活が
怪我してからはじまったのだった。

お医者さんが言ってたように
生活が変わるをわりきればいいんじゃない?
生活を変えればいいんだ。

そう気がつくのは本人ではなく私だから
そう簡単にいろんなことが開き直れない。

私は、家族のサポーターは
ポジティブでいようとおもった。

薪がないのなら、GPLガスだけど
全室完備の床暖房をつけよう。
数日は暖炉も点けられるけど
掃除が大変だ
これから一人で動かなくてはいけない私には
これ以上やることを増やしてはいけない。
こういう時にお金を使って楽を買うのだ。
そう決めると、床暖房の快適感が異常に増した。
あったかーい!最高!

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私は、家族のドライバー化した。
普段は、息子の様々なことの送り迎えを
私がご飯作っている間に夫が行くというのが常だった。

ポンコツ車だけど
私が運転できる車があってよかった
と、そんなことだけでも嬉しくおもう。

鬱気味の家人を外に連れて行こう。
二人で水汲みに行く。
片っぽの手が使えることはなんでもやってもらいましょ。
水汲みも普段は夫ひとりの仕事だった。
たまには夫婦でいいじゃない。

それにしても、ドライバーしたり買い物に行ったりと
外出することが増え、家のこともほぼ全部私がやって
仕事に行って、畑仕事して
今まで役割を分け合っていたことが
どんなに助かっていたか...
二人三脚ってこういうことかな
と見つめ直した。

私の二回に渡った卵巣嚢腫の手術で
入院してる時や療養してる時
家人たちへの負担は大きかっただろうな
と振り返ってみたり思い出してみたり。

事故は起こしちゃいけないことだけれども
人生の中の運命のメッセージだ
と言い聞かせてみたり。

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私は、オリーブの剪定をはじめた。
今年は、管理している畑をひとつ
やめることにした。
私の生活が変わってきたこともあるし
そういうわけで、夫が枝の片づけをしてくれていた。

このタイミングで
オリーブの森とよんでいた畑とはさよならだ。

森のような畑は、大きなオリーブの木がひしめきあっていて
地面に近い方は日当たりが悪い。

良い草が生えやすいから、木の栄養や
草によっては病気の予防にもなる。

しかし、日が当たらないので
下の方に枝が生えてこない
上の方にばかり実のなる枝がなりやすい。
しかも、私の前に剪定していた方が
上ばかり残していたので、上の方の剪定がやたら多かった。

などなど、私もはしごを使って
はしごからチェンソーをつかうこともしばしあった。
枝に足をかけたり、均等を保つのが難しい。

チェンソーは、小枝だったら簡単だけど
小枝にチェンソーを使うことはあまりない。
ノコギリでゴキゴキやりたくないから
チェンソーを使う。

太い枝は下の部分に切れ目をつけてから上から切る。
チェンソーが切れ目に挟まれてしまうこともあるし
切り終えてからチェンソーや枝や体を
安全に維持する力も必要だ。

チェンソーは
農業士養成講座では習わなかった。
夫から学んだ。
夫は、庭師や植木師、材木関係者から学んだ。

マキタの電動チェンソーを使っているが
その説明書にも、作業は胴から顔の位置ぐらいまでとある。
その他いろいろ安全な方法が書いてあるが
チェンソーについてで
木の切り方、テクニックは書いていない。

長い枝は、短くしてから剪定したい部分を切る
などと書いていない。

あるとき、10㎝ぐらいの太さで1m以上の長さの枝を
剪定したかった。

本当だったら、枝を少しずつ切っていって軽くしてから
切りたい部分を切るのが正解であろう。
しかし、短くするにははしごを寄せなければいけなかった。
でもはしごをかけるちょうどいい枝がない。
そんなシチュエーションなんていくらでもある。

無理して、根元から切ってしまったら...
切れたけど危なかった。

重い枝は、私の足に落ちてきたのだ。
チェンソーを持っている
はしごの上で逃げ場がない。
重い枝が落ちたのを確認して
止まったチェンソーもわざと落として
手を自由にして
ゆっくりはしごから降りた。

靴は、安全靴ではなかったが
先が固めのトレッキングシューズだった。
その固さが守ってくれて
そのときは物凄く痛かったけど
異常なく済んだのだった。

今年も、別の畑の剪定で
チェンソーは使っている。
家人は、今はトラウマみたいで
私に使うなと言うが
やっぱりチェンソーで切った方が
速くて疲れないのである。

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家人2の思春期青少年は
家族あたふた中、誕生日だった。
16歳になった。

学校でもスポーツでもプライベートでも
いろいろあって毎日毎日忙しそうだ。
ひきこもりたいけどひきこもれない。
私はそのドライバーなのである。

現在スクーターの免許の勉強中。
車の免許は自分で取ってくれ。
ヴィンチの墓地の駐車場で母と実習中転んで
ナイキのズボンに穴があく。
やれやれ。

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今日の一曲






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同僚が「マキってこんなことができるらしいよ!」と
私より自慢げに向こうの方で話している。

その話を興味津々に耳を傾けているそのまた同僚たちは
私の方をチラチラみて、私にもよろしく!とジェスチャーをしている。

私のマネージャーを勝手にしている同僚は
「マキ、もっとアピールしなきゃ!」などという。

いやいや、場が違うだろ!とつっこんだが
イタリア人にしてみれば職場の他愛もないおしゃべりは
手を動かしていれば別にいいようだ。
私は何をしてても集中型なので二つのことを同時にするなんて
いつまでたっても身につかない。

そうこうしている内に話は広がって
おもってもいなかった注文が入ってきた。

初回ぐらいはシンプルだけど素敵に包装して
日本語が入っている袋に入れて手渡した。
そういうことをして、わーっと喜ぶ人とノーコメントな人がいる。
そんなリアクションをみるのも私は楽しんだ。

なんで日本人の私が
イタリアの古来のレシピをイタリア人につくるんだ?
自分でつくればいいのに。。。レシピ教えるよ。と言っても
そうだ、冒険を得意としない彼女たちは買う方が早い。
手作りな生活なんて仕事にかまけてして面倒くさぁ~い!

まぁいいさ、こんなことで私はひとのためになるのだったら
嬉しいじゃないか。
学んだこともためになったんだし
手作り生活を心がけてきた甲斐があったじゃないか。
むしろ存在感とか生きてる感が味わえて
こっちがありがとう!だ。
些細なことでも一生懸命やることは
無言で私をアピールすることだ。

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クリームを詰めるガラス瓶も調達しに行った。

一番小さい瓶は、30g強詰められる。
その次に大きい瓶は、100g詰められる。

初めのお試し用や携帯用は、30g瓶がいい。
これをいっぱい買うことにした。

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私はせっせとガレノスコールドクリームをつくった。

日本語名ガレノスコールドクリームとは
イタリアでは、Cold Cream di Galeno とか
Ceratum Galeni と呼ばれている。
はたまたミツロウクリームというのも日本語で聞いたことがある。

今からおよそ2千年前の古代ローマで活躍したGalenoガレーノ博士
アルケミーを基本に薬剤なども熱心だった医学者が発明した
極まってシンプルなクリームだ。

そんな時代からオリーブオイルとは
体にも肌にも良いと知られていたなんて。

そんな時代からブンブン飛んでる可愛いハチたちの
ハチミツやミツロウが体にも肌にも良いと知られていたなんて。

私が参加した地域のG.A.S.(Gruppo Acquisto Solidale)主催
ガレノスコールドクリームつくりのワークショップで
説明してくれた自家製自然派化粧品愛好家の方は
私たちがいちいち「へー!」「マジ?!」と驚くもんだから
得意げにクリームの効能を教えてくれた。

2千年前、そのクリームが発明されたとき
傷口に塗るだけではなく
骨折の骨と骨の繋ぎにもクリームを塗りこんでいたそうな。

ミツバチの凄さをそんな時代から見抜いて
そんなに大胆に使っていたなんて。
今や気候変動や空気も水も汚染され、ハチがいなくなっちゃうかも。。
と危機を騒がれているっていうのに。

ミツバチたちがこの世からいなくなったら
わたしたち人類も生きていけなくなるともいわれ
ミツバチを守ろうとする団体があちこちで活動している。

その小さな体のミツバチが全身で創り出すミツロウにも
たくさんの成分が含まれている。

私は、成分たっぷりの無精製のミツロウを使う。

オリーブオイルは、どのオイルよりも一番ヒトの肌にあうそうだ。

このコールドクリームの特徴は
ミツロウとオリーブオイルと、水分を加えてゆるくする
油分と水分の結合にある。

ガレーノ博士のオリジナルレシピでは
水分のところはバラの水を使っていたそうだ。
が、私はワークショップで教えてもらったように
アイロンなんかで使う無成分の蒸留水
(Acqua distillata)を使う。

どのサイトをみても、オリーブオイル石鹸より適当で
クリームのゆるい感覚はお好みのようだ。

例えば、そのワークショップでは
オリーブオイル(去年のでもOK) 60g
ミツロウ 20g
蒸留水 20g
と分かりやすく教えてくれた。

あとは、自分でミツロウを12gにしたり
蒸留水を減らして、ハチミツを加えたり。

ワークショップでは
オリーブオイルにミツロウをいれて、湯煎で溶かす。
別で蒸留水を湯煎で温めて、少しずつ加えていく。
けど、私は全部入れちゃう。

油分と水分で分離するので
ひたすら泡立て器でかき混ぜる。

蒸留水を入れきったら
湯煎から外して、ひたすらかき混ぜる。

冷えてくると、ミツロウがミツロウに戻ってくる。
で、出来上がり。だが、固まると容器に入れにくいので
また湯煎につけて、溶けたら瓶に詰める。
この時点では、油分と水分は混ざりあっているので
かき混ぜなくても大丈夫。

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このガレノスコールドクリームは
そういうわけで、とっても効果があって
唇、顔、手、足などの肌の荒れ
小さな傷口、乾燥肌
乾燥した日の目元のしわなんかにも効果がある。

で、肌荒れ中、毎日つけてれば
しだいに、2~3日で治ってることが多いので
私は、少しずつつくっている。

だんだん要領がわかってくれば
つくったクリームをほんのちょっとさらに小さな容器に移して
すぅすぅするユーカリのエッセンシャルオイルを垂らして
ぐるぐる混ぜれば、鼻詰まりの時なんかにも使えちゃう。

私は、突然首の回りやお腹の回りが痒くなる。
そんな時、自家製カレンデュラオイルを加えて
ぐるぐる混ぜて、炎症のあるところに使っている。
効く、効く。

。。と用途が広がり、万能なのだ。

DSC08362

同僚は、車椅子のお父様にプレゼントしたそうだ。
お父様は足の乾燥肌で痛かったり痒かったりで
苦しんでいたそうだ。

同僚は、その100gの大きい瓶をあれからすぐに注文してきた。
なぜなら、お母様が旦那様の足にクリームを塗ってあげるんだそうだが
あのクリームを塗り出したら、苦情を言わなくなった!と
喜んでくださったそうだ。

そのまた同僚のお子さんは鼻のかみすぎで
鼻の回りが赤くなってて
クリームをつけて寝たら翌日赤いのがひいていた!と
喜んでいたそうだ。

そういえば、思春期青少年もニキビに塗って文句は言わないw

嬉しいな。
みんな綺麗な健康なプリンプリンの肌でいたいよね。

遠くの友たち
私はすぐにつくってあげられないけど
機会があったらつくってみてください。
みなさんの参考となりますように。



日本のみなさまへ特別にobatamakiが監修した
2022年11月収穫EVオリーブオイルのご注文は
こちらのサイトよりどうぞ





Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
今週も素敵な一週間をお過ごしください。




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