9月に入り、夏の名残な初秋、ヴェン友が集まる農園の
ブドウの収穫Vendemmiaヴェンデンミアがはじまった。
前回のブログに
現在のイタリアで主な収穫就労の一部をレポったように
個人を雇ってくれる農園てこの辺では少なくなってきた中
ここの農園は、そういうわけで個人の雇用を支えてくれている。
しかし、農園が私たち個人の就労を応援してくれても
スタートする日にちがはじまる1週間前まで発表できない
そんな中、フリーでやる気があって気が利いて作業の速い人材て
そうなかなか見つからない。
女性は見つかりやすいが、なにしろ男性が見つからない。
そりゃそうだろう。タイミングよくこの時期にフリーなヤツ
もしいたら、イタリア社会事情だ。
逆に若者がいないこともイタリア社会事情だけど。
女性はブドウを収穫してればいいだけだけど
男性は、収穫されたブドウが入った重たいバケツを
列から列へ移動させたり(Passa Secchi)
トラクターの収穫用カートにブドウを放り込む(Svota Secchi)
ができる機転の利いた力持ちが最低3~4人
9人グループの内半分は男性がいると
女性は楽に速やかに収穫ができる。
でも機転の利いた力持ち男性がいないと
女性だってPassa Secchiをやらなきゃいけない。
それがいつも大地を歩き回っている私
だったりすることもあるのである。
いつもお日様の下で作業をしている
ここ数年毎年欠かさずブドウの収穫をしている
もっと力を要するオリーブの剪定と収穫をしている
そんなわたしとブドウの収穫だけやる人
今年はじめてという人では、体力や持久力
やはり差がでるのである。
炎天下に汗だくになってフラフラしている仲間がいる。
私は、あの日よりも今日はまだ涼しい方だとおもっていたし
水筒を持ち歩いてしょっちゅう水を飲んでいるし
直射日光とならないよう、長袖もしくはアームカバー、長ズボン
首に手ぬぐい、通気性のある帽子、と全身覆っている。
「今年はマキの真似してみたわ!」と
タイツを切って作ったというアームカバーをしてきた人がいるw
「でもさ、冬用のタイツだと暑くない?」
そうなんだよ、とすぐ外していたw
今年はマキの真似しよう!と
オーナーが小型の水筒をみんなに配給していた。
エコ的にコップ代わりでもあって、作業中の水分補給に使って
とオーナーも炎天下のVendemmiaに申し訳なさそうだ。
だから時間帯も一日ではなく
朝の7時から10時ごろ休憩おやつタイムをがっつりとって
昼過ぎの13時に終了という時間割だった。
でもそれが習慣化した頃
逆に毎日6時間は生活リズムが壊れ、私は不満だった。
気温が下がった頃、自分の体調を言ったら
オーナーは受け付けてくれて、翌日は見直してくれた。
だって、13時に終わらなかったら30分越すこともある。
間食をしない私としては結構辛いものがあった。
仲間は、ランチ並みのボリューム満点おやつだw
それができないんだよなぁ、ランチが待っているとおもうと。
去年のメンバーの半分は職が見つかり収穫はパス。
いつものメンバーは、やぁやぁやぁとハグった。
コメスタ~イ?(元気だった?)
ベーネ..マ..インソンマ..(元気だよ、けどいろいろあってね..)
ケスチェッソ..?(なんかあったの?)
と、話がはじまるわけだ。
今ままでの出来事を語ることによって
それがテーマとなって議論が展開していく。
ブドウ棚の向こうの列からだって大声で自分の意見を主張
大討論になることもあれば
ウチの場合はね、と解決策を報告しあって
なるほど!と合点することだってある。
よーく見渡してみると、女性陣はみんなママだ。
5・7歳の子どもがいるママ
思春期真っ只中14歳息子のママ=わたし
ちょい落ち着きはじめた17歳息子のママ
親に感謝しはじめた20歳息子のママ
娘が21歳でママとなった超若ババママ
だから子ども相談&コンサルトがブドウ畑に広がる。
ママが一人で悩むより、様々な職種や生活スタイルのママたち
できたら先輩ママたちの意見は、核心をついている。
彼女たちが悩んだこと、見たこと聞いたこと
乗り越えてきたこと、きっとこれに関しては
イタリア社会事情ではない、国境など無い
ヒトのホルモンの成長であることがうかがえる。
Vendemmia中のある日、イタリア全国の学校が
長い長い夏休みに終止符をつけて、ようやく始業した。
「今日から学校はじまるね!」
「たぁしかに、早朝からたくさんの家庭の電気が点いてたわ。」
「出発する前に、写真撮ってきたよ。」
「ずいぶんママ心だねぇ。」
5年制専門高校初日の思春期青少年に親バカ振り
気になって仕方ないことが仲間にバレてしまった。
だから毎日「どうだった?」と聞いてくれる。
口数少ない思春期青少年の一言や様子を言うだけで
ママたちは、あーだこーだと解説してくれたw
仲間は多国籍で、あんまりイタリア語が話せないモロッコ人
超超フリーダムなアルゼンチン人
イタリアより断然アモーレ文化、キューバ人ママが三人!
あれ?よくみるとイタリア人アナタとアナタ?
そして、カメラ好きニッポン人ワタシ
このキューバちゃんたち、とってもキュート。
ブドウ畑で歌うの。
一人が歌いはじめると三人あっちこっちで歌ってる。
どちらかというと調子がゆっくりでロマンティックな歌。
聴いてる方は微笑むしかない。暑いのに心が温まる。
私たちはね、いっつも家族と一緒なの。いっつも。
日曜日には親戚もみーんなでご飯食べるの。
近所の人もみんな仲良し。
みんなで助け合って生きてるの。
海が近くにあってさ。自然がいっぱいあってさ。
いつでも太陽が輝いてるの。
自然が好きでカメラが好きなマキは
絶対にキューバが好きだと思うよ。私もそうおもう!
仕事さえあったら、私たちはキューバにいたい。
ママやパパの近くにいたい。
キューバに帰りたい。私の国キューバ。
Mi corazonミコラソン(私のハート)
ナショナリズムなんていう社会的な言葉が似合わない
ただただ本能的に愛の国なんだということが伝わる。
家族愛、親子愛、友達愛、男女愛、母国愛...
イタリア語でアモーレ、スペイン語はアモールだ。
なるべくオリジナルを選んだが
2021年夏、こちらのremixが流行っていた
2021年夏、こちらのremixが流行っていた
私たちは、きっとお腹が空きはじまる頃
食べ物の話で盛り上がる。
イタリアは現在、Sushi屋がいっぱいあるから
たっくさんの人がSushiを食べたことがある。
しかし、アレンジされたSushiだからロール系のSushiの話題は
返答できないが、Sushiコピーに負けないヒュージョン系
ベジタリアン対応野菜寿司をアピールする。 なるほどー!
野菜の美味しいイタリアは、夏の野菜寿司と白ワインで
アペリティフなんか最高だよ、と。
醤油やワサビはいらない、辛口オリーブオイルと塩があれば
イタリアの食材で十分さ! なるほどー!
アルゼンチンがキューバ料理にバナナフライがあると言い出した!
すると、バナナフライは1週間に1回は食べたいと
キューバちゃんたちが口々に言う。
私は黄色いバナナを想像したがそうではなく
フライ用の緑色のバナナがあって
フライにするとポテトみたいなんだという。 へぇ、食べてみたい!
今度さ、みんなで各国の料理を持ち寄ろう!マジで。
そうだ、そうだ!楽しそう。
こちらのブドウ畑は、ヴィンチのどこの畑と同様に
Sangiovese(早熟品種で赤ワイン用の黒いブドウ)が
春のたった二日の夜の氷点下で芽が焼けてしまった。
しかし、それ以外の品種はがんばって実っていたが
こちらの農園も芽掻き作業Scacchiaturaをやらなかったので
実が小さかったり、病気になってたり
干ばつで果肉が干されていたり、なんか今一だった。
Merlot(赤ワイン用の黒いブドウ)と
TrebbianoやMalvasia Biancaなどの
白ワイン用の白いブドウ(そう呼ぶ)は
とっても健康にたわわに育っていた。
全体的に量は少ない。
ロックダウンで景気は良くなかった。
私たちに支払う資金や経費のためにキャッシュが欲しい。
今年のブドウはほとんど農協(みたいな。
Cantinaと呼ばれるところで、フレッシュ果実か発酵後のワインを
各農園から買って、ミックスさせて
大量にワインを生産させるところ。
ブドウの質は気にしない。でも一応カテゴリー的に
ビオ(有機栽培)かどうかは分かれるそうだ。)に売るという。
そっか。
雨が降った。
あともうちょいだったけど終わらなかった。
6時間労働だったからだ。
30度以下の日は8時間労働にしないと
なかなか終わらない。
みんなの1日2時間の差は大きいのだ。
我が家の周りの農園は、収穫していた。
Vendemmiatriceという収穫マシーンも遅くまで稼働させていた。
しかし、雨が降ったことで果肉は膨らみ
水分が増えるがアルコール度数となる糖値が下がる。
農園のボトル用ワインだったら何日か乾かしてから
また収穫するだろう、しかし
出来はどうでも果汁を売るなら量が多い方がいい。
芽が出てから収穫までずっとハラハラして
ずっと気候に影響されながら成長していくのである。
生産者はいろんなことを見極めて
決断していかなかくてはならない。
気候変動もそうだけど、ロックダウンも痛かった。
EUのどの国からも一番強制化しているといわれるイタリアは
コロナ免疫済み&ワクチン接種済み&コロナ陰性証明である
グリーンパスでどこまで経済を左右できるのか
コンサートなどのエンタメに出演しているアーティストたちは
グリーンパスに感謝しまくっている。
我らが収穫仲間もワクチンに関しては二極に分かれる。
いろんな説があって、どれもどっちも信じたいし
どれもどっちもあっているとおもう。
マッタレッラ大頭領が辛そうな表情でおっしゃっていたように
Solidalieta'(連帯意識)とかCivile(市民的)なことなんだ、と。
Solidalieta'という言葉が出てくるとキリスト教という
イタリア文化の概念が作用していると思った。
どんどん秋になっていく。
光は弱くなって、真夏の猛暑が懐かしい。
☆こちらの記事もどうぞ☆
『晩夏に摘む果実と友情 Vendemmia 2020 vol.2 e più』
『ブドウ畑のエスパニョール Vendemmia 2019 vol.3』
『ヴェン友 Vendemmia 2019 vol.1』
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