4月のLuna Discendenteルーナ ディシェンデンテ(約28日間のサイクルをする回帰運動中、天体の赤道から見て月が秋分点(下降)側の約14日間:Metodo Biodinamicoメートド ビオディナーミコ(バイオダイナミック農法))にブドウの接木Innestoインネストが行われた。
このVignaヴィーニャ(ブドウ畑)は、4~5年前にブドウの苗木が植えられた若い畑だ。(ブログ『ブドウの苗木Barbatella』参照)
元気なブドウの木は、前年には実をつけ収穫もできた。そして、Forma di Allevamentoフォールマ ディ アッレヴァメント(育樹の形)ができるまでに成長した。(ここでは、トスカーナで一番適しているのではないかと思われるGuyotグヨーという名のFormaフォールマ(樹形)が使われていた。)
しかし、植えつけられた既に接木されたブドウの苗木から生まれてこなかった木もあった。台木(根がある部分)からSelvaticoセルヴァーティコと言われる接木された品種ではない野生のブドウが育っている。葉や茎ですぐわかる。
成功しなかった4~5年前に接木された苗木を、今回、再度、接木してみようという試みである。
しかし、どの農主もInnestoインネスト(接木)ができるわけではない。
Innestatoreインネスタトーレと呼ばれる接木師を雇うのである。
Innestatoreは、話によると・・・・・・・・とても儲かる職業だそうだ。(!)
Innestoインネスト(接木)が行われるぞ!と声を聞きつけて見物しにくる人もいる。
私もお手伝いの合間に、ちょっと見物。そう滅多に見れることではない。
Innestatoreインネスタトーレ(接木師)が来る数日前に、元気にSelvaticoセルヴァーティコ(野生)から芽が出ているブドウの木の周りの土を、上から一番目のNodoノード(節・こぶ)が見えるところまで、傷をつけないように掘る。今回これが一番大変な作業ではなかっただろうか・・・。
それをしておくよう、Innestatoreは要求する。InnestatoreはInnestoしかする気はない。コストにも関係する。
農主は、今年度の冬の剪定(Potatura Seccaポタトゥーラ セッカ)で、農主自ら選んだ枝の品種を保存していた。黒いビニール袋に入れ、冷蔵庫に入れたり温度管理をしていたそうだ。
芽をつけた20cmくらいに用意された接穂(接木の上になる品種の部分)が持ち運びやすいよう木箱に入れられ、Innestoインネスト・・ブドウの接木作業が始まった。
木箱の接穂の品種はSangioveseサンジョヴェーゼ。
よく見ると、2タイプの接木方法が使われていた。
台木に差し込むタイプ。
丘の上りに向かって作業をし、上まで着くと下まで歩いて戻ってくる。そして、隣の列でまた上りに向かって作業をしていく。ブドウの木からブドウの木へ移動してはしゃがんで作業をし、Innestoインネスト(接木)作業も容易ではない。
土の中のブドウの木を接木のために切った時、Piantoピアント(樹液の雫)が溢れてきた。(ブログ『ブドウの木の剪定Potatura delle Viti』)
Innestatoreインネスタトーレ(接木師)は言う。
苗木を植えたり、土の中での接木作業は、冬のなごりの2月3月より春真盛りの4月を勧めるそうだ。なぜなら、土の中はまだ冷たいからなのだそうだ。
あのPiantoピアント(樹液の雫)が地上で起こるのは2月の終わり頃から3月。
この接木作業が行われた日の地上は、4月も半ばを過ぎた雨が一ヶ月降らない乾燥した陽の差す20~23℃。土の中は、ひんやりした3月だったんだろう。
土の中が冷たいことくらい誰もが知っていることだが、無言な植物のしくみを調べていくと、こんなことがまた新たな学びの一つとなっていた。
きっと、あの樹液が”接ぎ”を良くするのではないかと期待する。
Calendario Lunareカレンダーリオ ルナーレ(月のカレンダー:Metodo Biodinamicoメートド ビオディナーミコ(バイオダイナミック農法)用)を見ると、Giorno di Radiceジョルノ ディ ラディーチェ(根の日。地球の周りで恒星運動をしている12の星座中、Toroトーロ(牡牛座)・Vergineヴェルジネ(乙女座)・Capricornoカプリコールノ(山羊座)がRadiceラディーチェ(根)に影響を与えるそうだ。地上の生体力では、Terraテッラ(大地)に値する。)の日であった。
Innestatoreインネスタトーレ(接木師)が作業した後を追って、農園を手伝う者たちが、まず、支え木をブドウの木の横になるよう押しながら置き、粉々にされた土を接木された木の頭が隠れるまで山のようにかける。
風で舞い上がった応援に駆けつけた近所の農夫の帽子。
服も軍手もボロボロな仕事着を身に着けているのに
こんなオシャレな帽子をまとって仕事をしている。ニクイ。
畑で見つけた鳥の羽なんだろう。
本当は、すぐに水をかけた方が良いらしいが、3日後の雨予報を信じ、農主は自然の力に任せた。
天気予報は当たり、雨が降った。
自然のスケジュールに合わせて、うまいこと日程が組めたことに感心する。
これも増殖法の一つである。ああやって土で覆うと根が出てくるそうだ。根が十分に出てきた頃にカット。
またどこかで柿の木が植えられる。