大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

タグ:Biodinamica

大量の雨は、涸れていた大地に浸透した。

Vieni vieni Sole!

オリーブの実が膨らんだような気がする。

オリーブ畑を歩いてみると、オリーブの実の存在が把握できるようになってきた。

Sono gonfiati dopo piovuto

まだまだ続くブドウの収穫は、日の当たりの良い丘の上方から手をつけた。

ブドウの収穫その2ノ2は、手間のかかるセレクトの日。美味しいSangioveseサンジョヴェーゼ(ブドウの一種)を収穫する。

Uva Femminella

Femminellaフェンミネッラ(副梢枝)の実は摘まない。

痛んでいない大粒の実を選ぶ。

少しでも痛んでいたら取り除く。

Uva Sangiovese

こだわりの主は「ブドウの木ごとに粒を食べてごらん。」と横で静かに勧める。

「昨日一つ一つ食べながら畑中を歩き回ったんだ。美味しかった木に印を付けていけばよかったよ。想像してごらん。美味しいブドウが大集合したら相当美味しいワインができるよね。」

こだわりの主は、自然を尊重するバイオダイナミック農法に従うだけではない。農主自身がブドウに情熱を燃やしている。

あっ、コレ、おいしい。

おっ、コレは酸味がある。

お~、コレは甘味があるねぇ。
 

gnocchi al Sugo

ブドウの収穫その2ノ2のランチは、農主のパートナーお手製のニョッキに農主のMammaマンマ(88歳のお母さん)の牛ひき肉入りトマトソースのコラボ。

Schiacciata con l'Uva

メインディッシュの後は、農主の叔父の妻作Schiacciata con l'Uvaスキアッチャータ コン ルーヴァ(フレッシュブドウ入りスキアッチャータ)やマンマ作の卵パンケーキとパートナーの梨のタルト。農園のMoscato-Vinsantoモスカート-ヴィンサントがグイグイすすんだデザートでございました。

Moscato Vinsanto


ブドウの収穫は、立秋の土用の頃。

雨が降り、風が吹き、また日が出る。

そうやって少しづつ季節が変わっていくんだそう。

Cielo da Piovere

たましいとなった長老の訃報から始まったブドウの収穫その2。


こだわりの主は、ある一種のUva Neraウーヴァ ネーラ(黒ブドウ=赤ワイン用のブドウ)と、ある二種のUva Biancaウーヴァ ビアンカ(白ブドウ=白ワイン用のブドウ)を雨で濡らしたくない。

朝日と共にVendemmiaヴェンデンミア(ブドウの収穫)を開始。

希望のUva Neraは収穫終了。若い樹たちは健康に育っていた。

Uva Biancaの収穫の前に、赤く染まったバケツ(=実を入れるカゴ)と実を運ぶトラクターの牽引車を洗う。

Uva Biancaあと10分で予定の列が終了だったのに、とうとう大粒の雨が降ってきた。

大量の雨だった。

涸れていた大地がすっかり潤ってしまった。

大地の表面が乾くまでVendemmiaお休み。

Torta con Marmellata di Fichi

ブドウの収穫その2ノ1のランチに登場したイチジクジャムのタルト。農主のパートナー作。

Uva San Colombano

家に持ち帰った超甘くて美味しかったVermentinoヴェルメンティーノSan Colombanoサンコロンバーノを食べながらVendemmiaの待機。

Convegno di VitiViniColtura Biodinamica Moderna

コンヴェーニョ ディ ヴィーティヴィーニコルトゥーラ ビオディナーミカ モデールナ

【現代バイオダイナミック法によるブドウ栽培ブドウ酒造の集会】

『パート3:バイオダイナミック農法推薦』


午後、Alchimiaアルキミーア(錬金術)の歴史から始まった。

古代エジプトに起こり、アラビアを経てヨーロッパに伝わった原始的な化学技術。卑金属を貴金属に変化させたり、万能薬の研究などを哲学・神学・医学・宗教・心理学・化学と様々な視野から考えた術。

バイオダイナミック法は、こんな時代に遡る。

とても興味深く、居眠りなんかしてられない。


Ariaアーリア()Acquaアクア()Fuocoフオーコ()Terraテッラ()

生体力であるこの4つのElementiエレメンティ(要素)は、芸術においても表現されている。

FirenzeフィレンツェPalazzo Vecchioパラッツォ ヴェッキオSala degli elementiサーラ デッリ エレメンティで伺えるそうだ。(一例)

そして、7つの金属元素を7つの太陽系惑星と関連させ、シンボルが生まれた。

そのシンボルも芸術で表現されている。

FirenzeフィレンツェGalleria degli Uffiziガッレリア デッリ ウッフィッツィStanzino delle Matematicheスタンツィーノ デッレ マテマーティケや、BotticelliボッティチェッリPrimaveraプリマヴェーラAlchimiaアルキミーアシンボルが伺える。(一例)

さらに、現在のAmbulanzaアンブランツァ(救急車)Farmaciaファルマチーア(薬局)のシンボルもAlchimiaアルキミーアからきているものだそうだ。

Alchimistaアルキミスタ(錬金術師)の発見で、塗料も生まれている。


太古から存在する錬金術は、現在の化学物質を扱う技術の基となっている。


そこで、Rudolf Steinerルドルフ スタイナーが発表した頃のバイオダイナミック農法よりさらに進歩した現代バイオダイナミック法での農業を*viticolturabiodinamica.itヴィティコルツゥーラビオディナーミカ(バイオダイナミック法ブドウ栽培協会)Agronomoアグローノモ(農学士)Leonello Anelloレオネッロ アネッロ氏は断然と推薦する。

Naturaナトゥーラ(自然)Agricolturaアグリコルトゥーラ(農作) なんだそうだ。

土地を上手に利用し、植物を守る工夫をする。

植物の病気をよく知る。

作業の時期を確実にする。

などなど掻い摘んでいうと、そんなようなことを言っていた。


そして、機械化されたブドウ園の映像を見せた。

機械でザクザクザクと剪定され、機械でバサバサバサと摘心し、機械でグオォォォォォと収穫する。

ブドウは裸で鞭を打たれているようなものである。病気になるのは当たり前だ。

草が生えれば除草剤を撒き、虫がつけば殺虫剤を撒き、病気になれば薬で治す。農薬は、呼吸をしている葉から、栄養を吸い取る根から樹内に浸透していく。樹内から抵抗させるのである。

Anello氏は、栽培についてしか言わなかったが、その後も簡単に想像できる。

発酵させる薬、透明にさせる薬、味を調整する薬、保存させる薬をごちゃまぜて、安くておいしいワインとやらが出来上がる。食卓では、鈍感な舌で化学飲料と化学食品を味わい続け、病になる。

全て個人の選択だし、個人の責任だと私は思う。

しかし、健康や自然・未来を長~い目で考えると、必然的に守りたくなってくるはずだ。


私も以前は、オーガニック食品や商品は値段が高くてなかなか手が届かなかった。・・・と思い込んでいた。

しかし、G.A.S.(ブログ『GASローカル興しのBIO商品』)のような方法で購入し始め、大地の恵みを吸い込んだ野菜や果物を食べだすと、野菜を含む産業食品の味がだんだん口に合わなくなってくる。

今や、フシギと夢のようだったオーガニック商品を購入し、知らずと他を節約しているようだ。

そして長い目で見ると、自然も体も病知らずとなり、実は経済的なことに気が付くはずだ。

そう納得した一日。


Anello氏は”文化を変えなくてはいけない!!”と熱く語る、'500年代の屋敷の窓から窓へ聴衆者の間を通り抜ける風が心地よかったVilla Medicea di Cerreto Guidiヴィッラ メディーチェア ディ チェッレート グイディの一室であった。

Convegno nella Villa Medicea


午前の部もどうぞ。↓

『パート1:農薬による危険性』



*viticolturabiodinamica.itヴィティコルツゥーラビオディナーミカ

現代バイオダイナミック法のブドウ栽培を推進する協会
DSCN2714

集会や講演を繰り広げ、普及させる。

*Vinciヴィンチ7月に入り日照りが続く*Luna Discendenteルーナ ディシェンデンテ*Giorno di Fioreジョルノ ディ フィオーレの日、Vino Biodinamicoヴィーノ ビオディナーミコ(バイオダイナミックワイン)を手掛ける2社が、12,000本のボトルにワインを詰めた(Imbottigliamentoインボッティリィアメント)
 

Metodo Biodinamico Modernoメートド ビオディナーミコ モデールノ(現代バイオダイナミック法)は、*Maria Thunマリア チューンの月と天体のカレンダーに沿って作業が行われる。
 

移動式ボトル詰め業者は、機械がセッティングされたビッグなトラックで来る。

機械は、ワインをボトルに詰め、栓をし、栓のカバーをし、ラベルを張る。*Chianti DOCGの印紙も張る。

ワインの種類によって、瓶も栓もカバーの色もラベルも印紙の有無もかわる。
imbottigliamento 1  imbottigliamento 2
imbottigliamento 3imbottigliamento 4
次々と出てくるボトルの箱詰め作業・箱のセッティングは農園スタッフがやる。

12,000本が次々出てくるのだから、スタッフの阿吽の呼吸でちゃっちゃかやらないと一日で終わらない。

が、今回も無事終了。
 

大量のオーダーが入った時を目安に、樽内貯蔵期間や9月の収穫に向け樽の空き調整を、月と天体のカレンダーを見ながら計画を立てる。

今回はUSAへ輸出される。化学薬品+食品が多いアメリカで、地球と体に優しいワインが広がることは私も嬉しい。
 

ボトルは、Metodo Biodinamico Modernoの法則に従ってSiliceシリチェ(シリカ/二酸化珪素)素材のボトルを使う。このボトルを使うことによって、さらに長期保存が可能となり、ワインの味がさらに成長し形成されていくそうだ。
 

ボトルやワイン詰めの日までも法則に従うバイオダイナミックワイン。

ただのマニアではない。

無言の自然を尊重しているだけだと思う。

簡単に化学の力で調整してはいけない。

厳しい自然の法則に私たちも厳しく向かい合わなければいけないと思う。

バイオダイナミックワインだけでなく、オーガニックやバイオダイナミック農法を適用している農園に注目し消費者を増やすことが、地球を守る第一歩のような気がしてならない。




*Vinciヴィンチ 
(レオナルド・ダ・ヴィンチの故郷。トスカーナ州フィレンツェ県)


*Luna Discendenteルーナ ディシェンデンテ
(28日間のサイクルをする回帰運動中、天体の赤道から見て月が秋分点(下降)側の約14日間:Metodo Biodinamicoメートド ビオディナーミコ(バイオダイナミック農法))


*Giorno di Fioreジョルノ ディ フィオーレ
(の日。地球の周りで恒星運動をしている12の星座中、Acquarioアクアーリオ(水瓶座)Gemelliジェメッリ(双子座)Bilanciaビランチャ(天秤座)Fioreフィオーレ ()に影響を与えるそうだ。地上の生体力では、Ariaアーリア(空気)に値する。)


*Maria Thunマリア チューン
(Rudolf Steinerルドルフ シュタイナーの教えに従い、'50年代、カブ(Ravanelloラヴァネッロ(ハツカダイコン))の成長を月と関係させて研究し、シュタイナーの研究結果の月と天体のカレンダーをさらに確実化させた人物。)


*Chianti DOCGキアンティ ドックジ(キアンティ地区ワイン)
Denominazione Origine Controllata Garantitaデノミナッツィオーネ オリージネ コントロッラータ ガランティータ(統制保証原産地呼称 必要条件・検査に合格した上級ワイン)


2016年のトスカーナの初夏は、雨がよく降った。

かといって一日中降り続くわけではない。

30分ぐらいのスコールのようにやってくる。

Vinciヴィンチの丘では、西に見える雨雲がこっちに向かってくるときに雨が降ることが多い。

遠くの景色が見えなくなり、グレーがかった白っぽい一面がこちらに向かってくるのである。


この雨のおかげで大地の恵みたちは、雨を受け止めようとドンドン生い茂り、葉は吸収したものを蒸発させる。

彼らの呼吸がまた雨を呼び起こしているようだ。


こんな気候が合っている植物と合っていない植物がある。

5月に開花するオリーブは、「水」が必要だそうだ。

まずまずの結実に成功したようだ。
DSCN2637
ブドウの開花時には、雨はご無用・・・だそうだ。

まぁそれでも実はついている。

DSCN2728

ブドウ畑で今、最も追いつかないほど手を焼いている作業は、Allacciaturaアッラッチャトゥーラ。誘引と呼ばれる作業である。支え紐(架線)に巻きつけながら近づけてあげる。トラクターや今後の作業をしやすくする為と、ブドウの重みで枝が折れないようにする為である。
DSCN2722作業前
DSCN2719作業後
私より倍に伸びているのではないかというぐらい、天へ向かって伸びている枝を呼び寄せ、一番上の架線にグルグル巻きつけていく作業、Capannaturaカパンナトゥーラも同時に行う。

(農園に依っては、Cimaturaチマトゥーラという摘心作業を7月頃機械で一気にやったりするが、ブドウの質は落ちる。)
DSCN2724
 
下にダラ~ンと落ちて成長している枝も人間が持ち上げてやる。そうすると、混み合うので、ついでにSfemminellaturaスフェンミネッラトゥーラと呼ばれる副梢掻きもその場に応じてやる。

(これも農園に依っては、機械でドッとやってしまう。見事な垣根が出来上がる。当然ブドウの質は落ちる。)

DSCN2733

私より背のあるブドウの棚に這いつくような作業では、長ズボン、長袖シャツ、四方につばの付いた帽子、+マスクと完全防備!・・私はね。日本人は予防好き。

虫刺されを予防し、虫の糞だか虫除けに撒かれた硫黄の粉が呼吸気管に入るのを防ぐ。

陽の差す頃は汗をかくが、汗は体内の浄化!と考える私は、そんなに不快には思わない。


世代交代した85歳の農夫がブドウの棚の向こうでつぶやいていた。

「昔はよぉ、あるべき気候だったんだよなぁ。虫だっていっぱいいたんだよ。今はアッチコッチで殺虫剤なんてものを使いやがってよぉ。生態系が狂っちまったよ。化学肥料なんていらんよ。緑肥で十分。こんなに元気に育ってるじゃないか。見ろ、ブドウがこんなにぶら下がってるぞ。」

(日本語に訳すと、こんな風に聞こえてきた。)


この農園は現在Biodinamicoビオディナーミコバイオダイナミック法に従って管理されている。

この世が生み出す「光・水・空気・大地」を大いに活用することにある。

少量の銅(消毒用)と硫黄(虫除け用)を散布する。

肥料は緑肥のみ。

樹への作業はLuna Discendenteルーナディシェンデンテのみ。

自然を尊重することで次第に自然と協調できるようだ。


P.S. ブログ『ブドウの芽かきScacchiatura』を参考に。

↑このページのトップヘ