現在の勤務先は、ヴィンチの丘を3つぐらい超えたところにある。
毎日、毎朝、同じ丘だけど違う空気と光がある。
いちいち止まって写真を撮りたいぐらいだ。
ある日、霧のある日、モヤモヤした中に丘の上のヴィンチ村や
オリーブ畑やブドウ畑が、なんとなく色なく静かに佇んでいた。
ある日、重そうな靄が地面に近いところだけ覆っている。
ある日、ちょっと軽くなった靄が教会の塔より低く村々を覆っていた。
その上の空は快晴で、朝日が煌々と丘の下から靄の中から照らしていた。
ある日、サマータイムが終わる頃、木々の陰の長さと弱くなった光に
長かった夏をなんとなく思い出した。
ある日、サマータイムが終わって、朝がまた明るくなった。
9月、まだまだブドウの収穫が長引いていたヴィンチの丘は
晩夏を超えて一気に秋を迎えたように涼しかった。
だから、ブドウのアルコール度数や果実や果汁を増すために
収獲を伸ばしていたのだ。
10月、天気はまぁまぁいいけれど、気温だってまぁまぁいいけれど
オリーブミバエの産卵に適した湿度と気温に
オドオドさせるような天気が続き、場所によっては
ミバエが飛び回っていた地域もあったそうだ。
そんなこんなんで、ものすごく早くから
オリーブの収穫をはじめている人がチラホラいた。
私は、夏の状態でミバエの被害は決まると思っている。
2022年の夏は長かったし暑かったし水不足であった。
ミバエは40℃の気温だと死んじゃうと学んだ。
生き残っても、産卵させるエネルギーてそう残ってないとおもう。
それでも10月のようなあいまいな生暖かい天気が11月も続いたら
遅咲き品種のオリーブはもしかしてもしかすると
調子を取り戻してきたミバエに卵を産み付けられてしまうだろうと
ミバエを近寄らせないオーガニックの方法で手を打っていた農園もいた。
もしくは、オーガニックなんかに耳もかさない農園は
予防なのに殺虫剤を巻き散らしていて
ヒトまで息苦しくなるほどだった。通るだけですぐわかる。
その殺虫剤は、木自体に浸透させて樹液が毒混じりとなって
それを食べるミバエの幼虫たちは這い出て死んでいくという方法なので
オリーブオイルにその殺虫剤が検出されているという事実を
以前の講習会で知って驚いたものだ。
オーガニックの予防は、ブドウでもそうだけど
浸透させる方法ではなく
表面に吹き付ける方法なので
雨などで落ちがちだけれども
搾油の前にきっちり実を洗うときに完璧に落ちるので問題がないのだ。
農薬もオーガニックも、散布は収穫の一か月前まで。
ちなみに、オリーブミバエの天敵は、害鳥呼ばわりされているムクドリ。
大群で踊りながらオリーブ畑からオリーブ畑へ。
私は、そういうわけでミバエの心配はしていなかったけれども
あの日陰が多くて虫がたむろう
それでも野草や土はいつもフサフサで
隔年性のないオリーブ畑を、観察しに行った。
なにしろ日陰がちなこのオリーブ畑のオリーブは
実が小さく、成熟が遅かった。
全体的に緑のまんまなオリーブだらけだったけど
こいつらが成熟しきるまでにあと一ヶ月はかかりそうだ。
通常だったら雨振りの多い11月に
ぬかる地面での収穫は避けたい。
というわけで、とっとと収穫しちまうことにした!
毎年毎年実をつける。
ただ日当たりが悪いだけだ。
でも日当たりが良かったら、こんなに土はフサフサしていないだろう。
カラッとしてないから土の中で微生物がたくさん生まれるのだ。
微生物のサイクルがオリーブの肥やしになっているのだ。
あ、ミバエの形跡がある。
中をあけると、3週間は経っているものだ。もう幼虫はいない。
きっと10月の頭頃に産卵したものだろう。
幼虫はいないけれどもフレッシュ感は残っている。
数個ミバエの形跡のあるオリーブを見つけたけれど
パーセンテージで出すほどの数ではない。
さぁ、どんどんいこう。
あぁ。このオリーブの木は、大きく下の方から剪定して
うまいこと生えてきた新枝を主幹にしようと大切に育てていた木だ。
嬉しいじゃないか、実をようやくつけはじめた。
もう4年ぐらいは経ったのではないか。
この枝もあの枝も、意図して残した枝に実が成っている。
いろいろ研究しながら樹形を整えてきた。
私は肩を痛めていたから、前回の冬の剪定はしなかったんだ。
あ、こんなところから主幹として残せそうな立派な新枝が生まれている。
そうすれば、日の当たる上しか実のなる枝が生まれなかった木を丸ごと
バッサリ剪定してしまうことができる。
きっとこの幹の寿命だったのではないかとおもうよ。
私は、この日陰のオリーブ畑を手放そうとおもう。
亡くなられた奥様が大切にされていたオリーブ畑で
ご主人様が依頼してきたのだ。
そのご主人も亡くなられ、いい歳の娘と娘の夫に
お返ししようとおもう。
スピリチュアルな畑だった。
コロンコロンと妖精のような魂が飛んでいるような
オリーブの森だった。
☆
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詳細が発表され次第
ブログやSNSでお知らせしますので、お楽しみに!
日本の料理文化に合うだろう落ち着いた味つくりには
11月のオリーブの収穫を計画しています。
もうしばらくお待ちください。
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お時間があるときにどうぞごゆっくりご覧ください。
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最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
今週も素敵な一週間をお過ごしください。
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