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11月に入って、天候を心配したオリーブの収穫も一段落し

気を緩ませていた連日、ポカポカの秋日和が続いた。

秋の弱く傾いた光にあわせて、ブドウの葉や木々たちが

黄色く透けて輝くように、でも弱々しくしがみついていた。

その弱々しさが大集合すると、全部が輝き出す。

なんだか一丸となって。


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家から眺める風景にうっとりしていると

あの光ってる大地の中の燃えるような赤いところに

行ってみたいと思った。一人で行った。

オリーブ畑が視界の縁を囲み

中央に黄色と赤とちょっと緑と黒い大地がみえる。

ここからの位置がポイントで、時間は午後3時。

あの赤い列のあるところに行ってみよう。

赤い列はこの時間、燃えるようにメラメラするのだ。

しかし近くに寄ると、燃えるような赤ではなく薄い赤だった。

そこを離れまた違う角度から赤い列をみると、燃える赤だった。


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この日、思春期少年を散歩に誘った。

日曜日だった。そして午後3時を狙った。

「写真撮影をしようよ!」

いつも一緒に出かけるのを嫌がるのに、素直にくっついてきた。

お気に入りの服に着替えてやってきたw

「久しぶりだね。」

手を差し出すと、つないでくれた。

手が大きくなった。

当たり前だ。私より背が高いんですもの。

「こうやって小さい頃はいっつも手をつないでたんだよ、覚えてる?」

すると手を離して走り出した!

照れたな。言わなきゃよかったw

ここで写真を撮りたいと私を呼ぶ。

私がしゃがんで空をバックに下からの角度で撮ってあげた。

「足もいれて」と注文をつけてきた。


私たちは、ブドウ畑を歩いた。

天気がしばらく続いてたはずなのに

日当たりが悪いところと、傾斜の下の方は

グチャグチャで歩くところを選ばなくてはいけなかった。

草の植えを歩けって小さい頃から何度も教えたのに

思春期少年は上を向いて歩いている。

下を向いて歩るくとイノシシの足跡がいっぱいあった。

思春期少年の足跡はまるでイノシシのようであった。


私に遠くから土の塊を投げてきた。

遠くにも投げていた。

大地のもりあがった土の塊を蹴って踏んで蹴って投げた。

見えない空気に向かって投げた。

私も投げた。

私も投げてやった。


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その数日後、トスカーナはオレンジゾーンに指定された。

コロナ感染者数と重症者数と病院施設の空き状況などで

危険度をレッド・オレンジ・イエローと決めていくそうだ。

オレンジとなると町から町への移動が禁止になる。

ヴィンチ村だけで必要最低限のものは用は足りるが

大きい隣町に専門店や専門屋がある。

そういうときすごく困ってしまう。

仕事や重要な用事では

自己宣誓書を携帯して移動することになる。

不急でない限り計画を立てないことに限るが

時間ばかりがどんどん過ぎて何も先に進まない。

会って話さないとわからないこともいっぱいある。

と私がぼやいたところでみんなも同じく辛抱してるから

ぜんぶのみこんで腹にためておくことにする。


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ひとつ間に合ったことは、オリーブオイルが出来上がってて

身内のような友たちに届けることができただけでもよしとしよう。

食卓が新鮮味にあふれるじゃないか。

香りといい味といい色といい。


そのオリーブオイルの特注の瓶を求め

夫と二人で遠出することになった日がある。

「久しぶりだね。」

ドライブだから手をつなぐことはなかったがw

ゆっくり走ってもらってドライブを楽しみたかった。

夕暮れ間際、Padule di Fucecchioパドゥーレディフチェッキオという

フチェッキオ市の外れにあるヴィンチ村よりの湿地帯には

カモの群れがシルエットに水面と空が夕日に焼けていた。

あぁそうか。レオナルドダヴィンチがここで

ザリガニでも捕まえて遊んでいたのがわかる。

きっとこの水面に浮かぶ夕焼けを見るために来てたんだ。

車を停めてもらって、しばらくその景色を眺めた。

誰もいないんだけど鳥やザリガニぐらいしかいないんだけど

セミロックダウンでもここには来れない。


家に近づく頃にはもう暗くなっていた。

この時間帯の暗さはあっという間に覆われる。

農主のブドウ畑を通りかかっていると

イノシシファミリーぐらいの群れが突然現れ

のこのこ道を横断しはじめた。

車のライトに照らされても、急いで逃げるわけでもなければ

突進してくるでもなかった。小走りぎみに横断していた。

かわいいじゃないか。

不意にでくわすという状況はなかなかない。

私と夫は大人気もなくきっと子ども以上に興奮した。

一頭かもしれないと目をこらえて見ていた。

2頭、3頭、4頭 おぉ5頭!

一瞬もいっときも見逃せない。

だからカメラなんかさささと用意できなかった。


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オレンジゾーンが実施される前日

週末自転車グループと隣町まで走ってきたように

移動できる最後の日だからどっか行ってきたら?と

親が心配に思春期少年に提案したが

平日だったこともあり、返事は

「宿題しなきゃいけない。マリオと電話で待ち合わせをしている。」

という。ふーん、外に行ってきてもいいのに。

先生の説明より数学に強いマリオくんの説明の方がわかるんだそう。

イタリアの数学は答え合わせではなく、答えはもう書いてあって

その答えの説明をするのである。

考え方、理屈、解決法...とにかく文にすることなのである。

日本の、答えがあっていればどう解決しても問題ナシ

だった昭和の教育とはちょいと違うのである。

だからイタリア人は抗議や意志の主張に強いのである。と私は思う。

先生と対面授業で説明がよくわからないのだから

これがリモート授業に戻って、落ちこぼれちゃいそうで心配である。

オレンジゾーンは、全中学生までは登校できるが

レッドゾーンは、中学2年生以上はリモート授業となる。

現在、リモート授業になるかもしれないと

自治体も学校も動きだした。

きっとトスカーナも近々レッドゾーンに入ることを

予期しているのであろう。


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Raiの国営放送だけどコロナレポート番組では

第一波の感染拡大はサッカー観戦が原因で拡がったと伝えてて

第二波は、夏休みの浮かれと野外パーティー(ディスコ)などの集合

が原因とレポートされていた。

若者たちの夜ふかしMovidaモヴィーダが注意の的となった。

だから夜間外出禁止令Coprifuocoをメインに

セミロックダウンが実施されたそうだ。

現在の感染拡大の原因は、家族内感染なんだそう。

政治家も専門家も「みんな次第なんだ」と口を揃えて言う。

救急車が列をつくっている映像をみると

救急車の音だけでビクッとする。

だんだんコロナが接近しているようで緊張する。

また気晴らしに細い秋の光でも浴びてこようとおもう。


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そう書いているそばからトスカーナも1115日の日曜日から

レッドゾーン入りし、ロックダウンに突入してしまった。

月曜日から中学三年生の思春期少年は

リモート授業となるのである...

前は家に居られると喜んだけど、今回は

友だちといるほうがいい、リモート授業だとわかんないと言い始めた。

私は、人の温かみはリモートではなんか伝わらないのは

よくわかる。画面に映る自分が嫌だからよくわかる。

ロックダウン前に、少年たちは自転車で町内を走ってきたそうだ。

公園の階段を自転車で降りた友だちがいるんだ

と珍しく撮影したビデオをみせてくれた。


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ヴィンチの保護者グループにメッセージが転送の転送で回ってきた。

クリスマス間近になってきて、本当だったら

イルミネーションが華やかな街にでてショッピングをしながら

初冬を楽しむのだがそれができない。

ナポリのロックダウン前日は通常の大晦日のようだったと

ニュースで伝えてて、これにはかなり驚いたけど。

行くだけでも楽しかったクリスマスマーケットも禁止になっちゃった。

オンラインショッピングはアマゾンばかりにならず

私たちだったらメイドイントスカーナ、メイドインイタリー

地域の..国産の手芸品工芸品農産物を応援しようね!

そしてこれ以上ゴミが溢れ出ないようなお買い物をしようね!

というメッセージだった。

フェイスブックで私はトスカーナ産を買うよ!というグループに

入っているが、いろんな商品があること

たくさんの工房や農園があること、マーケットができないこと

それでも諦めずに一生懸命さが伝わってくる。

いろんな形で応援し合いたいと想う。

そしてこんな形(ロックダウン)で弱い人たちを労りたいと想う。



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Grazie di aver visitato!

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。




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