スーパーのトマトは、ボクらが摘んだトマト。
ボクらの手で摘んだトマト。
ボクらは、トマトを摘みに来たんだ。
大地と風と雨と太陽のあるイタリアのトマトを。
イタリアは、真っ赤に熟れたトマトの収穫期。
遅く移植した我が家のトマトも、次から次へと熟れ
食べるたびに収穫する。
トマト畑はトマトの香りで充満するのか
カメムシもそろそろやってきた。
カメムシが先か私たちが先か。
カメムシを見ると、トマトのピークを察する。
そんなカメムシを寄せつけな大農園は
木陰なんぞなく太陽をいっぱいに浴びた
暑いからこそ熟れるトマトたちを
そう、今この暑いときに、一気に収穫する。
私はトマトに詳しくないが
トマトは、支え棒のない低く育つトマトはソース用と
支え棒の必要な上へ育つサラダ用があるようだ。
そのソース用のトマトを大量に収穫している南イタリア。
南イタリアのイメージだと
麦わら帽子を被ったイタリアの農民が収穫してそう。
そんな絵や写真がイメージとして使われているし。
現実は、アフリカ大陸から仕事を求めて移民してきた
黒い若者たちなんだ。
一日に12時間、暑いイタリアの
木陰のない大地に張り付いたトマトたちを
長い手と長い足を持つ腰をくの字曲げて
彼らのまだ短い将来の夢見るその手で摘むんだ。
若いボクらだって、疲労は積もる。
ここ数日立て続けに、トマトの収穫車の事故が相次いだ。
近頃のイタリアは、グループで作業をする
労働者を送り込む派遣会社
(Cooperativaコーペラティーヴァ辞書では協同組合とあるが
有限会社的に存在する)が流行っている。
企業は、一時的必要な作業に人を雇わず
そういったなんでもします派遣会社に依頼するのである。
私が知っているだけでも
イメージにあるイタリア人は、農業をやりたがらない。
特に、大量になってくると。
そこで、そういったグループ労働者を送り込む派遣会社に
必要なときだけ依頼するのである。
派遣会社だって、複数の企業や農園たちとの関係をキープして
常に仕事がある状態でいなきゃならないんだから
彼らの要望に答えるよう低姿勢で承る。
派遣会社のボスは、それでいいさ。
しかし、やるのは送り込まれた労働者である。
その送り込まれた労働者は、移民してきた外国人が多い。
企業や農園としては好都合の派遣会社は
本来ならば、送り込む労働者を保障していなければいけない。
しかし・・・
不法で労働させていることが多々あるのである。
事故があると、こうやって取り上げられるが
事故がないと、沈黙のまま
労働者は疲労を積んで労働しているのである。
なんにつけても、犠牲者が出ないと気づかない
・・・ふりをする。
トマトの収穫グループ労働者
夢を持ってイタリアに来た移民たちの
後部に窓ガラスもない荷台に乗せられたワゴン車が
まんまと収穫したトマトのカートに突っ込み12人が亡くなった。
辛い思いをして幼少期を過ごし
辛い思いをして海を渡り
それでも夢を持って
辛い思いをしながらトマトを摘んでいた青年たち。
生き残った青年が、涙をこぼしてインタビューに答えていた。
「それでもイタリアにいたいですか?」
「はい。母国に戻っても食べるものが無いから。」
ヴィンチの丘だって
ブドウ畑にインド人がいっぱいいることがある。
オリーブ畑にトルコ人がいっぱいいることがある。
ここはいったいどこなの?
・・・・・。
Made
in Italyは
Handmade by immigrants
になりつつある。
それでもいいさ。
グローバルな世界は、グローバルに補おう。
外国人の手作業でコストを抑えようとする考え方はおかしい。
そもそも消費者が手にする市場が低すぎるのも
犠牲者を増やす原因かもしれない。
同等な人権と労働基準はみんな平等であることを願う。
一人も犠牲者のない労働を。
一人も犠牲者のない生産を。
虹色に熟れていく。
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『暑い夏に赤いトマト pomodori come arcobaleno』
『日本人女剪定士の生み親 Corsodi Agriformazione』
『天国という名の大地 Terra si chiama Paradiso』
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