大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

カテゴリ:ブドウ UVA > 冬の作業 Potatura Secca

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「ボンジョルノ!」
は?ビックリ。誰

通りすがりの人かな、よくあることだ。
な、なぬ!近寄ってきた!
「君は、いつもこんな仕事をしているの?」
あ、はい、まぁ、そうですけど。

私は、農主のブドウ畑で、ブドウの枝縛りをしていた。
腰には、生分解可能な紐とゴム製の紐を袋に入れて
ハサミと生分解可能紐を縛る道具をセットでベルトにぶら下げている。
さらに、お茶の入った水筒もプラスした
貴重品入れウエストポーチを体に巻いて

っもう体にはジャラジャラいっぱいぶら下がっているが
列の長いブドウ畑では、体に巻き付けていないと気が気でない。

田舎での通りすがりのおしゃべりなんて日常茶飯事だ。
散歩する人、同じく畑で働いてる人、近所の人…
おしゃべり下手にはちと面倒なシチュエーションであるが
慣れれば、天気のことと世間的に話題のことなんかを話しておけば
全然大丈夫。今はワクチン打つか打たないかの話かしら。

僕、これこれこんな畑を持っててね…と、自己紹介が始まった。
ようは、2年目のブドウの枝を真っ直ぐ支え棒に縛り付ける作業を
やってほしいというのだ。…はぁ。
一番辛い作業じゃない?というと、遠くを見つめてニヤニヤしていた。

農主のとこが終わって、試験が終わって
それから手伝ってあげますよ。ということにおさまった。
どの辺に住んでるかとか電話番号を交換した。
約束の日の前日に電話ください。

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約束の日の午前中に電話をもらったみたいだが
枝縛りに夢中ででれなかった。
私はガラケで通話、ネットものはタブレットと分けている。
お昼に、タブレットの中のメールやチャット連絡を確認をすると
男のメッセージも紛れ込んでいた。
「さっき電話したんだけど。17時頃また電話するね。」
スミマセン、18時にしてくれると確実に電話でます。と返信。

18時ちょい過ぎにかかってきた。
あ、ボナセーラ、さっきはスミマセン、今帰ってきました。
「うん、知ってる。見てたよ。」
えーーーーーーーなんで???ドキドキドキ。
え、え、見られてるって気になるぅ……
そんな反応できないから、待ち合わせ場所と時間をさっさと決めた。

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翌日、私はちょっと早めに着いて、男を待つことになった。
ピッタリに着こうと思えば着ける距離だ。
スクーターで1分とかからない場所。
約束の3分前に彼は現れた。

男は自転車で、私はスクーターで後ろを追った。
こんな道知らない。でも近所なのである。

「ここにスクーター駐車して。」あ、はい。
地面て平らかどうかって問題にしてはじめてわかる。
自転車だと走ってみて坂道かどうかわかるように。
慣れないスクーターの向きを変えてたら
「手伝ってあげる。」と、スクーターが倒れないように彼はおさえていた。
けど、おさえてたら前に進めねーじゃねーかよ!
すんません、一人でやるんで、手を放してください…。よっこらしょ。

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うわー、ここに辿り着くのか!
わー、ウチ、丸見え!
こっから見てたのかー!
あぁ、でもヴィンチが見える。
あ、あの木は夕焼けを撮るときの丘の木だ!
あら、ウチからみえる向こうの丘の天辺にいるんだ。
ヴィンチはトスカーナでも早々レッドゾーンだけど
我がことな青少年はリモート授業ちゃんとやってんのかなー
そんなことを思いながら泥棒の監視もしつつ我が家を眺めた。

男は、自分が買ってきたゴム紐を私に見せて
「これでいいかな?」と聞く。
いいけど、何個買ったの?「2個。」
え、すぐ終わっちゃうじゃん。大丈夫かなぁ。
ついでにさ、生分解できる(biodegradabile)紐も買ってきて。

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将来幹となる枝を支え棒に近づけ真っ直ぐに保つよう
導くために縛る作業である。
重要であるが、すでに真っ直ぐに生まれた枝には
そう手をかけることも時間をかけることもない。

しかし!男は、ご丁寧に3か所しばりつけている。大丈夫かなぁ。
オリーブの剪定もそうだけど、時間をかけてきっちりやるところと
そこはパスしても大丈夫な場合がある。
そこを見極めることができるのは、知識と経験しかない。

男は、ブドウ畑のオーナーとなるが、経験はゼロであった。
相続した土地にブドウを植え
ブドウを売ることを副業にしたいそうだ。


男はものすごくノロい…
この仕事は好きでなきゃ続かないよ。パッションのみ。
というと、男は「そうだよなぁ。キミの言う通りだ。」
大丈夫かなぁ。


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立って移動して、しゃがんで縛り付ける。
それを1Mごとにやっていく。何本も何本も。
ブドウ畑を1,2分ごとにうさぎ跳びする感じ?
腰より太ももの筋肉痛。

これ、去年もやった。

オーナーはやりたがらないから作業員がやる。
そういう辛い作業のとき私は
誰かがやってる作業なんだからがんばろう
て何度も何度も自分に言い聞かせる。

一日目は調子いいんだけど、二日目から筋肉痛がはじまり
三日目は家の中でも早く歩けない状態。
でも不思議なんだよね、作業中は気にならなくなってくる。
リラックスした家で大変。
寝てても体中が痛くて目が覚めちゃう。

この男、ノロいけど一緒に付き合ってやってくれている。
ときどき社交的に話しかけてくれたりもする。
90%私がやった。きっと喜んでくれてるはずだ。

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あと数日で満月にもなる。それもあるのかなんなのか
この日やたらとブドウは涙を流していた。

リンパは、溢れ出し幹を白くさせ地面に円を描くように濡らした。

気が付くと、時差が嫌いなサマータイムに突入し一日が終わらない
ロックダウンのパスクワ(復活祭)休暇がはじまる。
四季はなんとなくわかるけど
行事やカレンダーがこのコロナ禍でボケはじめている。



☆ 関連過去記事 ☆
拳をもった新緑を導く L'allacciatura
ロックダウンスプリング Pasquarentena
三月の風物詩 Pianto delle viti



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もうすぐで93歳になるの農主のお母様が
第一発目ののコロナ対応ワクチンを打ちに行くという。
イタリアは、第一線の医療従事者や教師などの他に
80歳以上のお年寄りが優先的にアンチコロナワクチンが開始して
田舎のおばあちゃんまで届いた。
よかった。

ど田舎のヴィンチ村にもコロナ変異種ってのがやってきて
ことな青少年のクラスにもコロナ陽性の生徒が出現して
それはそれは父兄で慌てふためいて、不安に襲われて
10日間ことな青少年を隔離、その10日後にPCR検査して
といっても元気すぎてなんの変化もない隔離されたことなは
当然のごとく陰性で、私たちは安心したけれど
マスクのおかげだね~とこれからも徹底させた。

1ヶ月ごとなのかな、学校から束になったマスクが手渡される。
私は使い捨てにできない性分で、数回洗ってリサイクルする。
ゴミより新品マスクのほうが多くなっていくけれど
家族で使わせていただいてる。
現在、変異種コロナが狂暴すぎて
学校は布製よりサージカルマスクを義務化している。

農主のお母様は、「93歳になるんだけどさ
ワクチンする必要あるかしらねぇ」という。
コロナで死んじゃうの悔しいじゃん!
ってことをアナタのお母さん言ったよって農主に言ったら
渋顔で、「ボクの友だちで55歳の体格のいいヤツがいるんだけど
コロナに罹って死に際までいったそうだよ。」と語り始める。
酸素が足りなくなるから呼吸困難になって一旦眠らされるそうだ。
その間生命維持装置みたいなので生命が維持されて
そこで生還したら、コロナに勝った!ということだそう。
そのお友だちのホームドクターは、タバコ吸ってなくってよかったね
と言ったそうだ。タバコ吸ってたらマジやばかったよ、と。

コロナで陽性だったクラスメートのママは、未だに入院している。
ときどきクラスのママたちが心配して
安否の確認をクラスチャットで送る。
すると、チャット好きコロナ陽性ママは
Grazieとハートマークで返事する。体重減っちゃったけどね!と。

ヴィンチ村までやってきたけど、まだコロナに罹ってない我が家族。
ヴィンチ村の隣の町はピストイア県なのでレッドゾーンだ。
コロナ陽性ママも言ってたけど
レッドゾーンからオレンジゾーンの病院に
患者が運ばれてきているそう。
何年も何年もインフルエンザに罹ったことのない私たちでも
コロナに罹っちゃうのか。
おばあちゃん(農主のお母様)、がんばろ!

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芽生え寸前時期は忙しい。
畑もそうだけどなんかいろんなことが。

アネキのような友が、2月が誕生日のことな青少年に
祝いのメッセージを送ってくれた。
「とても良い季節に生まれたね。この季節は
人間も植物も土も水も力が緩む時期だものね。」と。
いわれてみると、ホントいい時期かもしれない。
元旦とかよりも、芽生えの«今»かもしれない。

私も自分が動いてるからそう流れているのか今はわからないけど
私の中でも芽生えがたくさんあって押さえつけられない。
6つも7つもやらなきゃいけないことが同時にあって
あたふたウロウロしてるのが現状で。
そういうときに限ってPCが固まったりとか
余計な問題がよりによって起きる。
集中型の私には、同時進行より時間を配分させて動くほうがいい。
おちつけ。

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私の気持ちはザワザワしてるのに、頭はパンパンなのに
ブドウの枝からは、しっとりしたたかに涙を浮かべている。
上を向いていれば、まるで涙をグッとのみ込んでいるよう。
下を向いていれば、ポタ、ポタ、とゆっくり滴る。
悲しいのか嬉しいのか芽生えなのか防御なのか
それはブドウにしかわからない。

そのブドウの涙=樹液の流動は、空気=外気に触れると
ゼラチン質と化する。
涙は、体内に戻ることはない。
ゼラチン質と化した涙は、菌をも寄せつけない。

あえて涙は今溢れ出る。
私はブドウの涙に触れた。
案外、冷たかった。
でも、ドキッとした。
冷たいのに生きてる温もりを触れた感触だった。
本当に、ヒヤリとドキドキした。

この樹液の流動は、ブドウの涙(Pianto)、三月の風物詩である。
ブドウの枝はしなやかになる。
きっと私たちもしなやかに
芽生えの準備をしているのではないだろうか。
3月8日女性の日、芽生え寸前にいい日じゃないか。

このしなやかの時期にブドウの枝縛りをするのである。


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ブドウの枝からポタポタと涙が溢れていた。

こみあげるように、ふるいおこすように。

向こうではミモザが色を変えている。

菜の花は場所によっては種になりかけていた。

半袖になりたくなるほど体がほてる日もあった。



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春が近づくと、ブドウの木の樹液が流動しはじめ

剪定した切り口から樹液がこぼれる。

その現象をイタリア語でPiantoピアントという。

このピアントがはじまる頃、Legaturaレガトウーラという

一番下の架線や柱棒に縛り付ける作業をする。

これをきちっとすることで、芽が出て成長するときに

まっすぐ上へ上へと伸びることができる。

ピアントがまだ全部にはじまる間、新しいブドウ畑の

小さなブドウたちのレガトゥーラをすることにした。

彼女たちはまだまだ体を曲げることはない。

姿勢正しく生きるよう道標を私たちがつくってあげるのである。

その後、まっすぐ生きる者もいれば、クネクネとすねる者もいる。

まったく人間と同じだ。



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小さなブドウの木を相手にすると、しゃがみこまなくてはいけない。

張り切って一日目はなんてこともなかったが

二日目は、筋肉痛がはじまった・・。うぅ、辛い。

しかもマウンテンバイク風シティバイクの、ギアがきかない

自転車をこいでみるとわかる若干坂道を

体が熱くなるほどにこぎきった後のうさぎ跳びは厳しい。

「私、坂道に動悸を覚えるよ。」

「マキ、日々の筋トレが必要だ!」 まぁね。

「毎日走ったり歩いたりさ、自転車乗りまくったりして

体を鍛えるんだ!」 そうは言うけど・・。

農主と、年を取れば取るほど体を鍛えなくてはいけない

そう納得させるエピソードを話し合った。不吉だねぇ。

「農業なんてちっとも運動のうちに入ってない!」 あら。

確かに動かすところが違うし、持久力を鍛えるにはまたちょっと違う。

デスクワークの人よりは無意識にでも動かなくてはいけないが

あくまでも作業であって運動ではない。

井戸端会議にならぬよう、自転車通勤にかけてみようと思う。

少年がサッカーの練習に日々掛けているように

農民も農作業期のために、日々体を鍛えなくてはならない!



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あーだこーだ体調を心配している割には水を飲まない農主。

私は、水を飲むことは大切だと病気になるたびに思うから

IKEAでテルモスの水筒を買って

日本からのお土産、殺菌効果のある緑茶をぬるめに

ブドウの木の柱にぶら下げておく。

しかし、列を往復しないと口にすることができないので

ウエストポーチにも小さな水を持ち歩く。

この水は、飲む用と緊急時用。

腰にはベルトに2種類の紐と縛り付ける道具と剪定用はさみ

プラス、携帯電話や身分証明書、小型カメラにそのミニ水筒

ティッシュや絆創膏などがごちゃごちゃ詰まったウエストポーチを巻く。

重いけど、どれも必要な道具なのである。



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「今日のお昼のニュース見た?」

「まだ見てないけど。」 畑にいたし・・。 

農主はミラノのワイン見本市イベントに参加するそうだ。

参加するか悩んでる、という。

はじめて娘をミラノのイベントに連れて行く予定だったそうで

嬉しさと残念さがまだ半々だった頃。

こういったイベントは、口にするものもあれば

はじめましてやありがとうの握手は必須だ。

イタリア文化はスキンシップが現在天敵となってしまう。

少年のヴィンチの国立中学校も指令が出た。

3月15日まで遠足等の遠出を禁止されてしまったのだ。

まさしくも遠足シーズン、交換学習シーズン、コンテストシーズンで

子どもたちは踏んだり蹴ったりである。

少年に 「遠足だった日は何するの?」

悔しそうに 「いっぱいテスト・・・。」 あぁ、可哀想に。

カーニバル最終日は友たち恒例の村集合には参加して

時間を思春期らしく無駄に過ごしていた。無駄が思い出なんだ!

農主もワイン見本市イベントは中止されたそうだ。

なんてこった。

しかし、警戒は必要だし、こうなったら全員で警戒するべきだ。

だって全アジア人だけ差別にあうのはどうかと

思っていた矢先であった。

少年の隣のクラスの中国人のウーちゃんは

中国のお正月に里帰りした様子で、そういうわけであれから

中国で足止めをくらってヴィンチに戻ってきていないという。

そっか、いつ帰ってこれるんだろうね。

なんだか、こんな田舎の村にも話題のウィルスは近いのだ。

しかし、イタリアの厳重な即決判断は、正しいかもしれない。

このキリスト教特有のSolidarietàソリダリエタ(団結)は

他国との関係を薄くしてもイタリアにはある。

国がキリスト教を本にあるから、弱いものを放っておかない。

お年寄りだってこれ以上被害者はだせないと首相は伝えていた。



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風がヒューヒューと唸っている。

まるで、コロナー、コロナーといっているようで空が怖い。

今イタリアはコロナウィルスで機能がストップしている。

10km離れた大きなスーパーの棚には買い占めが出現し

小麦粉とパスタ(特にペンネ)とトマトソースが消えているという。

私も小麦粉が欲しいと思っていたところだったのに

トスカーナの住人は考えることが同じようだ。

キュッキュとブドウの枝は曲がる。

しっとりとした気流はブドウの肌を潤わせているようだ。

足元にはビーツがわんさか生えている。

人工の畑なんかより生き生きしている。

テントウムシは、コロナウィルスを他所に交尾をせっせとしている。

コロナウィルスで隔離されたイタリア北部の村では

日々の習慣スキンシップができずに

遠くを眺めるように家族を見つめている。

早春の涙は、なにを伝えたいのであろう。



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女のブドウの涙 Pianto

ブドウの枝を縛る Legare le viti

大気の音、次世の声 Friday For Future



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この頃、ブドウは涙を流す。

春の喜びであろうか。

生きる幸せであろうか。

子を産む漲る力であろうか。

なんと情緒のある呼び方であろう。

私は、この涙と呼ばれるPiantoピアントという症状を

喜びの涙のように見えて仕方がない。

ブドウはUvaウーヴァ、ブドウの木をViteヴィーテと女性名詞で表す。

そう、ブドウの木は私と同じ女なのである。


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ピアントは、春の陽気を察して

リンパが流動し始める樹液のことである。

剪定した口から、ポタポタと涙のように樹液が垂れることから

ピアントと呼ばれるそうだ。Piantoの直訳は、涙、泣くこととある。

近くで見ないとわからなし、いつでも見られるわけではない。

そこがいじらしく、女のさり気なさが感じとれる。



そのピアントが出始める頃

枝をキュッキュッと優しく補助しながら曲げて

一番下の架線に縛り付ける作業をする。

樹液が流れ始めると、枝が柔らかくなるからだ。

それでも、早い品種と遅い品種がある。

赤ワイン用のサンジョベーゼなんかは早い方で

白ワイン用のトレッビアーノは遅い方。枝の曲がり方が全然違う。

さらに、晴れの日、風の日、雨の日、霧の日でも違う。

ここ最近、ちっとも雨が降らないから、大地までもが乾いている。

早朝だけ、野草や緑肥たちの寝息が残っている。


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農主が、こーして欲しいあーして欲しいと注文する。

芽が隠れないように確認して、縛ってあげてね

あ、でもさ、これボクぐらいしか言わないよね

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そうそう、アナタぐらいよ、そんなこと気にしながらやってるの!

でも私は賛成である。

農主が気が付いたことを教えてくれると

農主の性格や意図することが伝わる。

たかが枝を縛るだけかもしれないが、全てが繋がっているのである。

剪定をするためには、芽掻き作業で残された枝を使い

枝を縛るには、新しく生まれる枝たちの

成長の空間バランスを考えなくてはいけない。

芽掻き作業では、縛られた枝の形で

冬の剪定のことを考えなくてはいけない。

農主の考えや性格がわかればわかるほど

農主が創造するブドウ畑ができあがり

農主が想像するブドウが生まれてくるのである。


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おじいちゃんが手伝ってくれる。

おじいちゃん、今日は枝縛りだね。終わるかなー。

終わるさ、まだ早いくらいだからな。二人でやれば速いもんだ。

おじいちゃんは、昔流のヤナギの枝(Saliceサーリチェ)

で慣れているから、現代流の生分解する紐と

それ用の道具を使ってやることは困難である。

紐でヤナギ風に縛り付けている。

おじいちゃん、畑に来るとタイムスリップして手先はよく動く。

体力だって仕事欲は旺盛だ。

ただ、私がジョバンニになっちゃうだけ。


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この小春日和をいいことに、私は畑でお弁当を広げる。

まだ熱い麦茶とまだ温かいスープと梅干入りおにぎり。

スープは具沢山、昨晩の残り。

夫はこぼれそうな液体では嫌がるだろうと

片栗粉を入れてトロトロに。

家族で同じお弁当、バラバラなところでお弁当。

温かいもの食べると、体が一休みする。

作業中は、汗をかいたりすることもあるけれど

逆に汗が引いたほっと一息ついたお昼には

体温と同じくらいの温かさがまた、体に無理が無い。

週七日で畑仕事をしている今日この頃に

このランチタイムは、広大な空の下と大地の上で

家とは違う呼吸ができる時間である。

菜の花を摘んで今晩のお供にしよう。

向こうに満開のミモザがボンボンで埋め尽くされている。

写真でも撮りに行こう、今日は女の日ではないか。

疲れているけどこういうことは勝手に体が動く。フシギ。


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我が家の男子たちに、今日は女の日よ(38)というと

お母さんオトコだからいらないって言われちゃった。

そうね。なんで男の仕事やってるんだろう・・・

明日はオリーブの剪定。

その次の日はブドウ、オリーブ、ブドウ・・・

雨が降らないから、ずーっと畑仕事。

春を喜びながら力が漲るオトコ女のお母さん、ガンバル。

いろんなことができて、いろんな気配りができて

防衛しなくてはいけない身だけれど、こんな構造は女だけ。

私はオトコの仕事を選んじゃうけど

女に生まれて良かったとやっぱり思う!



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ブドウの枝を縛る Legarele Viti

ブドウの木の剪定 Potaturadelle Viti

ブドウの枝を外す~畑の中の人生~Stralciatura



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「ボンジョールノー!今日はいい天気ですね!」

「あぁ、ずっとジョバンニだと思ってたよ。」

???

「今日はいい天気だ。でも朝は寒かったなぁ。」

「早朝だけね。草が霜で濡れてたからゴム靴履いてきたわよ。」

「そうだなぁ。昨日までは土がくっついて重たかったけど

今日はそれでも乾いてきたよなぁ。」



ちょうどすれ違うように作業をしている時おじいちゃんに挨拶をした。

おじいちゃんは85歳ぐらいだろうか。何度も聞いたが覚えてない。

秋頃入院したとかで、顔色が悪かったのを覚えている。

農主は、おじいちゃん(=農主の叔父さんZioツィーオ)には

頼れなくなってきたと言い

私はオリーブの剪定の合間に手伝うことにした。


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農主は電動のハサミで固い枝の剪定をし

私とおじいちゃんは、不要な枝を紐から外す作業をしている。

おじいちゃんは、枝をさらに短くして横並びにし

トラクターが刻みやすいようにしている。

私は、長いまま縦に置き、時間と労力を省いている。

おじいちゃん、ゆっくりでも丁寧に作業をしている。

私は男の作業員のように、ワサワサ作業をした。

こんなに時間がかかるのか、Stralciaturaストラルチャトゥーラて。

時間がない、私はやることがいっぱいある。

オリーブの剪定もしなきゃいけないし

トマトの種も蒔かなくてはいけない。

夕飯も作らなきゃいけないし、お皿も洗わなきゃいけない。

洗濯物もやらなきゃいけないし干したり畳んだりしなくちゃいけない。

少年にやいのやいの言わなきゃいけないし

夫に外でやってきて欲しいことも言わなきゃいけない。

メール作業やブログ作業もしたい。あれもこれも考えたい。

焦れば焦るほどワサワサした。

こんな時に怪我をしてられない。

作業用の・・私の顔になんて合わないのだろうサイズの

透明のメガネをしている。オリーブの剪定でも着装している。

色が薄めのどのサングラスが壊れたから、合わない作業用を買った。


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日焼け止めクリームはまだ塗っていなかった。

ここ最近すごく快晴で穏やかな小春日和が続いている。

腰を曲げる作業ではなく、どちらかというと上を見上げる作業。

日が眩しい。全てのブドウの枝がシルエットに見える。

ブドウのツルが硬くなり黒っぽい色となり、すごくイイ味出している。

どれもこれも同じ形はない。見ていて飽きない。

彼らの掴む手であり、体を支える腕だ。

ぎゅっと巻きついてて取れやしない。

距離に合わせて巻く強さを変えたり

自分で自分に巻きついたりもしている。

隣と隣で抱きついていたりもする。

そしてその瞬間を凍らせたかのように、巻いた状態で硬くなっている。

まるで時間が停止したかのようだ。

その先は無かったように。

農主のブドウの木たちは、夏伸び伸びの枝を切ることはせず

ブドウの枝が自然に伸びてきたエネルギーのまま

一番上の架線に巻きつける。日本語では誘引作業というそうだ。

その作業をイタリア語でCapannaturaカパンナトゥーラという。

こうすることによって、葉はお日様のエネルギーと呼吸することで

子である実に栄養を十分に送り込むことができるのである。

農薬ブドウは、後の作業も楽なように最上架線で切ってしまう。

これをCimaturaチマトゥーラといい

栄養摂取には8~10枚の葉で十分という考えだ。

もちろん。たっぷりの化学肥料で肥やしてあるからね。

だから、グルグル最上架線に巻きつけた枝を取り除く作業は

巻き付けにも時間が掛かるし、外すのにも時間が掛かるのである。


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農主が、向こうの畑に行く途中

おじいちゃんがやってないところやっといてねと言い残していく。

「ねぇ、あなたのお父さんなんていう名前?」

「ジョバンニだよ。」

あぁ・・・

「叔父さん、私のことあなたのお父さんだと思ってるみたいよ」

「叔父さんは、畑でいつもジョバンニを探しているんだ。」

涙が出てきてしまった。

おじいちゃんはずーっと何年も何十年もこの畑で同じ作業をして

同じ空気を吸って、同じお日様に当たり

同じ大地を歩いているのだ。

四季折々の同じ景色を眺め、毎日このブドウ畑にやってくるのだ。

あの頃、ジョバンニという兄とずーっと同じ作業をして

他愛も無い会話を交わしていたのだ。

向こうにおじいちゃんがいるように、向こうにジョバンニがいたのだ。

このブドウ畑には三世代続いた人生が刻まれており

それは各々に物語れているようだ。

私も彼らの畑の人生の一部にいる。

私はジョバンニか・・・。

あの頃と同じように感じるのだね。

私はジョバンニで嬉しかった。



もし私がおじいちゃんぐらいの歳になって

時代を置き換えるとしたら、いつの時代だろう・・・。

私のおばあちゃんもかなり前の記憶を蘇らせていた。

義母も実家でご両親と過ごしていた家族の話をよくしていた。

私はどの時代も大切だし、今なんか歳をとって面白いぐらいだ。

しかし、どの老人も子育てのことは口にしない。

それもなんか今わかる。

子供の成長は楽しいが、やはりどこかで抑えながら生きている。

ちょっと葛藤しながら生きている。

子供の小さい頃は思い出したいけど

自分を思い出したいとは思わないかもしれない。

しかもどんな風に接していたかも覚えていない。

成長度が速すぎて、行き当たりばったり生活なのかもしれない。

このブドウの木の手のようにぎゅっとしがみついて

また伸びて手が出てしがみついて

ある時硬くなってしまうように思い出は静止するのであろう。


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「私、列が終わっちゃったから少し早いけど先帰るね。」

「おぉ、いいぞ、帰れ。女はやることいっぱいあるもんな。」

「そうなのー、やることいっぱいあるのよ!」

「今度君の旦那に言ってあげるよ。

こんなによくやる嫁さんもらって幸せ者だな、とな。」

「わー、言って言ってww」

そうだ、そうだ!おじいちゃんよくわかってる。

帰ってきて鏡を見たら、私はその顔に合わないメガネの後を残し

スキー帰りの人のようにメガネ焼けをしていたのである。

剪定焼け・・日焼け止めクリーム塗っておけばよかった。油断した。




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ブドウの木の剪定 Potaturadelle Viti

ブドウの枝の誘引 Allacciatura

ブドウの枝を縛る Legarele Viti


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