カテゴリ:ブドウ UVA > 収穫 Vendemmia
晩夏に摘む果実と友情 Vendemmia 2020 vol.2 e più
行く夏未熟なブドウの収穫 Vendemmia 2020 vol.1
雨が降るぞ。
Malvasia Biancaマルヴァジーアビアンカは摘んじゃいたい。
Vermentinoヴェルメンティーノもだ!
おしゃべりばっかりしてないで動け!動け!
汗ダクダク、口モクモク、手チョキチョキ。
マジ、暑かった...。
どこかで雨が降っている。
そんな湿気混じりの夏も終りのトスカーナだった。
Veronaヴェローナ(ヴェベト州のある県)では
大雨、嵐、雹、洪水の被害を被った。
被害の映像をみるだけで身震いがする。
恵みの雨などといってられない。
嵐後の映像をみると
あの2014年のヴィンチの竜巻被害を思い出す。
ヴィンチの住人はトラウマなのだ。
2014年の9月19日
tromba d'ariaトロンバダァーリア(=tornado竜巻)がヴィンチを襲った。
竜巻の通ったところだけ大地の恵みは
渦に巻き呑み込まれていったようだった。
収穫前のブドウもオリーブもフルーツも野菜も。
6cm...いやもっとあったかもしれない大きい雹は
住宅を叩きつけ、車を叩きつけ
木々を叩きつけ、大地を叩きつけ、収穫中の人をも叩きつけた。
ブドウの実どころか葉まで呑み込み
一気に冬がやってきたような風景だった。
家の周りはめちゃめちゃに
小学生の少年は荒れた庭をみて大泣きした。
私もこの先のことを考えると少年と一緒に大泣きしたかった。
車のフロントガラスが割れた。
窓だらけの現代風な家は、幸い現代的な分厚いガラスだったので
割れなかった。しかし、風圧で浮き上がる隙間から
まるで悪魔やオバケが忍び込むように
小さな雹までも入り込んできた。
たった15~30分の出来事だった。
私は農主のブドウの収穫でランチタイムであった。
夫は近所のブドウの収穫でランチタイムに入るところであった。
少年は、小学校で仲間と肩を寄せ合っていた。
いつものVendemmiaヴェンデンミア(ブドウの収穫)の
グループチャットにメッセージが7月頃入った。
収穫を体験したい人は
このぐらいの時期に応募しておくといいかもしれない。
主たちがそわそわ収穫の計画を立てはじめる時期だ。
「今年できる人、手を挙げて~!」はい、はい、はい~
みんな家族な家族愛が強いキューバチームがいっぱい名乗り出た
でもあとでわかったことは、キューバチームは二人だけ選抜された。
が、8月はまだまだヴァカンス中で来なかった。
一人男子抜け、二人新規男子が加わった。ほっ。
女子でもできる仕事だけど
やっぱり男の力や体力には敵わないことがある。
Svuota-secchiズヴォタセッキとは、摘んだブドウが入ったバケツを
トラクターのブドウの収穫用の破砕トレーラーに
ブドウの実を放り投げる超肉体労働と
女子にもできちゃうけどこれやってたら疲労が早くきちゃうなという
Passa-secchiパッサセッキとは、ブドウを摘む作業をしながら
外側の列にいる人のバケツをトラクター側に運んであげる人
1台のトラクターにつき4列、1列に二人ずつだと
二人パッサセッキ、一人ズヴォタセッキ
トラクターの列はできたら男子で交代でズヴォタセッキとなると
男子は五人いて女子四人が理想な組み合わせなのである。
もちろん全員若い男子だと、みんなが文句言わずに交代で
めちゃめちゃ頼もしいからそれはそれでいいんだけど
老若男女国籍問わず雇ってくれる主には感謝である。
近頃そういうわけでボス付き協同組合的グループがわーっときて
わーっと収穫していく方法をとる農園が増えてきた。
しかしこのコロナ禍で、そのわーっとグループが
移民や外国人だったことから、イタリア人にもこの肉体労働が
回ってきたんだけど、職難にもかかわらず
やっぱり収穫の仕事は、疲労にみあわない賃金と
肉体労働ということで、勉強をいっぱいしてきた者たちは
オフィスワークに希望を抱いているようなのである。
だからコロナ禍でも在住外国人のわーっとグループに頼るようだ。
彼らわーっとグループは畑面積や収穫量で見積もるので
わーっと大人数でやってきてわーっと短期間でやってしまった方が
儲かるという仕組みなのである。
しかし彼らを雇う欠点は、忙しないので作業が雑ってところと
外国人ばっかりなのでコミュニケーションが主ととれないところにある。
主とのコミュニケーションは、作業をしないボスとのみ...。
本業アンド只今失業中のグループは、マイペースに時給制である。
利点は、コミュニケーションがとりやすい
主がダイレクトに支持できる、その分作業が丁寧
欠点は、イタリア人のおしゃべりw
だから遅いのなんのって!
でもさ、本人たちは喋ってても手を動かしてる!って主張してるw
ワタシニッポンジン、前に一度農主に注意されたことがある。
マキって静かだよねって。えw
もっとさ力を抜いて喋っていいよって!
喋り過ぎはもちろんNGだけど
一年に一度の収穫で集まるんだから楽しくやろーよって!
そう言われてから、農業のチームワークの心得みたいなことを
学んびはじめた気がするし、そう覚えがある。
作業中におしゃべりを試してみたら
私手が止まっちゃうということがわかった。
なぜなら、話すときは話すときで集中して一生懸命なのだ。
二つ同時にできない。
そういう理由でイタリア人を褒めてやった!
アナタタチは同時にいろんなことができてスバラシイw
だから本題は話の尽きないイタリア人に任せて
私は耳をそばだてツッコミとチャチャを入れるとき
どうしても議論しなければいけないとき
自分がやってることや趣味のアプローチのときなんか
楽しく参加して作業をしているのである。
一度ヴェン友(Vendemmia友だちの略にする)になると
家族構成から人生史、好きなことや好きなもの
嫌いなタイプや面倒なこと、考え方や思考や理想
様々な意見が聞けて、やっぱり一人で悶々と考えるよりは
視野や世界観が広がり、むしろ生きる勇気が出てきちゃうのである。
長年農業を本職としてやってきた新規男子は
どの時代もどのメンバーが集まっても騒々しいのはおんなじだし
あっちもこっちも鼠径そけいヘルニアになっちゃったから
これが最後の収穫だ!と気が抜けるようなことを騒いでも
私はやっぱりブドウの収穫が楽しくて好きだっていうことがわかった。
ウエストポーチに小型カメラ、ティッシュ、身分証明書、携帯電話
それから小さな水筒、ハサミを腰につけて
帽子を被って、長袖かアームカバー、首に手ぬぐい、長ズボン
足首も守るトレッキングシューズを履いて
あ!UVサングラスもつけて、もちろん軍手して
完全防備状態で挑むのである。
近頃、マグネシウム・リン・ビタミンCのサプリをのんでドーピングw
毎朝、農園の主がコロナ熱測って
マスクは携帯して必要な時つけて
作業用メガネも安全のために配ってくれた。
未熟なブドウをMostoモスト(果実)で欲しい人用と
アルコール度数が低い未熟なブドウで造る
Vino Frizzanteヴィーノフリッザンテ(微発泡ワイン)用のブドウを収穫した。
そして雨が降る前に、実がギュッと引き締まっててカビやすい品種の
Malvasia Bianca100%用も収穫することにした。
日中、暑くて汗が垂れてくる。
水ばかり飲んでいる。
一日八時間。帰ってバタンキュウ。一寝入りしちゃうこともある。
夜、映像のような向こうの雷空をみて怯えながら夕食をとった。
夏は終わった。...そうみえた。
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『まだ夏のブドウの収穫Vendemmia2018 vol.1』
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ブドウの収穫はヴィンチの丘で Vendemmia 2019 vol.4
「今日はどこの畑を収穫するの?」
こんな歴史あるところで、そして巨匠のふるさとの土地で
二人モロッコ人がいる。
彼らはイスラム教徒である。
最終日、人手不足のため、アルバニア婦人の友が手伝いに来た。
最近、イタリアでも無宗教が多くなってきたように見受けるが
そんなこんなで多国籍多言語多宗教が混じ合う
農主はもうSvinaturaズヴィナトゥーラ(圧搾)が終わる頃であった。
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ブドウ畑のエスパニョール Vendemmia 2019 vol.3
オーナーと栽培や作業の話をしていた。
「もっと芽掻き作業をした方がいいと思う。」
「ある程度はさせるがA(農主)ほど金は使えない。」
それを言われたら何も言えない。
「でもさ、Aにはないことがうちにはある。」
それは興味ある!「何、何?」
「うちのブドウ畑は彩色豊かだ。」
「え?どういう意味?」
「見てごらんよ。」
と、オーナーは収穫チームを指しながら両手を広げる。
「そうだね!Aのところにはないや!Aのところは老人ばっかりだw」
オーナーがしつこくテキパキグループを呼ばない理由がそこにある。
オーナーは、特に職に困ってる人を
地元民問わず移民も受け入れる。
このブドウの収穫に来ている仲間は
まさしくも彩色豊かで多国籍である。
モロッコ人、アルゼンチン人、キューバ人
アルバニア人、日本人、イタリア人。
イタリア人が黙ってしまうほど、多国言語が飛び交う。
その中でも共通言語を持つアルゼンチン人とキューバ人は
スペイン語で何やら会話をしている。
イタリア語となかなか似てるから、一瞬わかったようなときもある。
聞いていて嫌にならないアクセントや発音で
習ってみたいなーと思う言語である。
夫もスペイン語が一番好きといつも言っている。
少年にも習って欲しい言語の一つであるが
現在少年が通う中学では義務的にフランス語を学んでいる。
私たち日本人がLとRやBとVの発音が困難なのと同じで
イタリア語を母国語としない彼らも
母国語流に勝手に発音しているw
スペイン語を母国語とする彼らはどうやら
イタリア語のCチとSス(単語に混ざってる時は
アルファベットをこのように読む)を勝手に変形させているw
例えば、Capiscoカピースコのところが、カピーッコ
Finiscoフィニースコのところが、フィニーッコ
Qestoクエストのところが、クエット
などなどいっぱい!っもうカワイイったらない。
まるで言葉を覚えだしたイタリア人の子どもみたいなの。
少年もおんなじだった!
たまにメンバーが欠けると
飛び入りでキューバ人のお友だちやら姉妹が手伝いに来る。
みんながどんなやつか知らないより、知人の方が良かったりする。
私が抜けてた間もキューバ人の友が来ていたそうだ。
で、学校が始まったから講師助手を本業とする仲間の代わりに
またそのキューバ人の友が来てくれた。
「あなたもキューバ人なの?」
陸上選手のようなスタイルでスポーツ用品が素敵に似合う
浅黒い彼女。こっちがうっとりしちゃうぐらい。
いつものキューバ人は、肌が白く目がはっきりしてるので
どちらかというと南イタリアっぽい女将さんタイプ。
この二人はどちらも日本が大好きで
行ってみたい国ナンバーワンだそうだ。
「是非行ってみて!文化や人の違いに驚くと思う!」
日本の次に行ってみたい国は、Dubaiだそうだ。
私も灼熱の砂漠にテクノロジー的近代建築は是非見てみたい。
ランチ中、みんなでシートを敷いてゴロゴロ食べる。
休憩が1時間半もあるから軽く昼寝までもしてしまう。
その間、昼寝してる人もいれば、SNSを見てる人もいる。
「ねぇねぇメキ(マキといえない)、これ知ってる?」
離れたところでスマフォを指しながら「オチン」などと言っている。
ななな、何を見てるんだ、この人たちは・・・
私はそそくさに起き上がった。
なんとオチンの正体は
「オチンじゃないよー、おしん!」
どの言語もちょっと間違えると大変なことになる。
「えぇぇぇぇ、おしんがキューバに!」
みんな見てたという。
だから日本人のイメージはおしんから始まるのである。
「メキはどうしてイタリアで農業してるんだ?
私が日本で暮らしたいぐらいだよ!」
「あなたたちには日本で暮らすことは無理だと思う。
だってこの陽気さは日本人にはないの。
仕事中、おしゃべりもしちゃいけないし歌を歌うなんてなおさら。」
仕事はいっぱいあるし、もちろん日本人だって超親切。
だけど、時間厳守を徹底することと
陽気さを四六時中表現することはできない。
彼らラテン人からこの二つをとったら
彼らの首を締めているようなものである。と私は思う。
アルゼンチン人が音楽やカルチャー好きで仕事中にも音楽を聴く。
この日、ワイヤレススピーカーを持ってきて
スペイン語の曲を選曲し、ブドウ畑に響き渡っていた。
その中に、懐かしのManu Chaoもあった。
収穫チーム最年少のアルバニア人に
この曲は20年ほど前世界で大ヒットしたことを教えた。
そうだ、前から知りたかったスペイン語があった。
「さっきの歌にもよく出てきたけど、ミコラソンてどういう意味?」
Mi corazonとはイタリア語だと
Il mio cuoreイルミオクオーレ(私のハート)という意味になるが
もう一つの意味があって
この場合はTesoro mioテゾーロミーオ(私の大切な人よ)となるそうだ。
なんと素敵な言葉。だからよく耳にするのか。
「私たちスペイン語圏は、情熱だらけの人種なのよ。
私たちは、家族も親戚も隣人も友だちもみんな仲良し。
心配し合って助け合って笑い合って歌っい合って。
海にも近かった。本当だったら家に帰りたい。
仕事さえあったらね・・・。」
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『まだ夏のブドウの収穫Vendemmia2018 vol.1』
『ボクらは赤いトマトを摘みにItalianTomatoes』
Grazie di aver visitato!
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