去年2019年に収穫したというワインもご馳走になった。
今年は、大豊作だったけど搾油率が少なかったそうだ。ウチも。
共同組合の搾油所で出てきた地域のオリーブオイルがIGPと
しかしホンモノは、スーパーのブランドオイルの3~5倍はする。
地域限定の独特な品種をもつ農主のオリーブオイルも
地球と体に優しいコト ~イタリアから~
オリーブオイルの搾油率とか抽出率のことを
イタリア語でResaレーザという。
収穫量に対して搾られて抽出された油の量との比率のことだ。
オリーブオイルだけでなく農作物など全般に使われることが多い。
収穫日によって違ってくる。
タイミングによっても違ってくる。
品種によっても違ってくるだろう。
果実の状態にもよるであろう。
そして天候にも大いによる。
搾油所で比べると、機械でも相当異なる。
私が信用しているいきつけのFrantoioフラントイオ(搾油所)は
搾油時21℃ときている。
Estrazione (Spremitura) a freddo
エストラツィオーネ (スプレミトゥーラ) ア フレッド
といわれるコールドプレス(低温圧搾法)は、みなさんもご存知
一番自然なままに成分を壊さずに搾り出される方法だ。
ソフトにオリーブの果実を撹拌し
我がFrantoioは最新の超最新で縦に練っていく。
その間に上昇する熱を低温にコントロールする技術である。
Estratto a freddoと記せる温度はMax27℃であるが
低温であればなおさらいい。
Frantoioの最新技術の自慢どころでもあるだろう。
熱を加えて抽出するEstarazione a caldoカールドは
オリーブの果肉を練って上昇する気温を29〜30℃に調整し
熱を加えることで発揮するEnzimiエンジーミ(酵素)の力で
油分水分を抽出しまくるのである。
質より量の産業的目的で使われている。
搾られた後、そういうわけで産業的にもろもろと添加しちゃえば
たいしてあれもこれも変わらなくなる。
そんなところが危険だし、そういうものが安く出回っているのである。
印象悪いのでw 表記していない。
そして、油分と水分を分けるデカンター(遠心分離機の部)の
この確実性も物をいう。
ここで油分をより多く抽出させ、水分をどこまで除去できるか。
この辺の技術もマシーンによっては全っ然効果が違ってくる。
水分混じりのオイルの抽出量が多そうにみえて
オリーブオイルの品質にまで大いに関係してくるので
重要な部分である。
この技術は、Frantoianoフラントイアーノ(搾油所の長)も
よく説明できないだろう。マシーンの技術だから。
そうそうFrantoioもころころ投資はできない。
あるもので続行するため、搾油してもらう客が
あちこち試すしかない。
オリーブの品種はざっと2つに分かれる。
Precoceプレコーチェ(早熟性)かTardivoタルディーヴォ(晩熟性)
ひとつひとつの品種がわからなかくても
せめてこのどっちかがわかると、適切な収穫時期がわかるだろうし
植える時も収穫しやすいように植えられるだろう。
これが混ざっていると、仕方ない
早か晩の割合で一気に収穫してしまう。
どちらも油が形成される時期になってから収穫をするのが最適。
早すぎると、キンキンクロロフィル(葉緑素)の成分が強いまま
体にイイといわれるポリフェノールなんかは強力に抽出できるが
肝心な油分が未熟でオイルの量が抽出できないのである。
Invaiaturaインヴァイアトゥーラ(果実の色づき)が目安にもなるが
毎年違ってたりするので、やっぱり一年を通しての判断になる。
この収穫期の見分けと判断は、栽培者の知識と経験による。
その一年を通して、何を記憶に残して置かなければいけないか
芽生えの時期、開花の時期、結実の時期、そして成長期
この4つの期間の天候と気温である。
雨ばっかりもダメだし、晴ればっかりもダメで
できたら結実期にピッタリ雨が降ると結実しやすい。
成長期は地中海性気候のカンカンで身が締まり
時に雨が降ってくれると油分の形成に役立つ。
油分の形成をイタリア語でInolizioneイノリツィオーネという。
9月いっぱいまでじわじわ形成されているそうだ。
夏はカンカンで、近頃異常気象の晩夏にどーっと雨が降り
プックリ果実が膨らんでキレイな姿となって豊満に重くなっても
あぶらがのってないこともあるのである。
果実の豊富さは、不思議と
前年の種子が翌年の果実となる芽を操作しているのだそう!
これは私たちには説明しきれない果樹のメカニズムなんだそう。
そういうミステリアスなところも魅力的なオリーブ。
さあ、いざ今収穫したオリーブの実をFrantoioに持っていき
ワクワクしながら、300kg用のかごに入れ替え、計る。
小さい搾油所はたいてい300kgをベースにマシーンを動かす。
では例えば実が300kgだったとしよう。
大かごの重さを抜いて教えてくれる。
そして出来上がったオリーブオイルの重さを計る。
40kgのオリーブオイルが出来上がってきたとしたら
40kg(オリーブオイル)÷300kg(オリーブ)=0.13333x100(%)
=13.33%となるのである。
この抽出率は搾油所が出してくれるので
自分で計算することはない。
この抽出率をみんなで言い合って自慢しあって反省しあって
収穫の時期、一番交換し合う情報である。
そういうわけで、毎回搾油するごとに違う数字がでてくる。
同じ畑でも違うのは、収穫日にもよるだろう
天候や湿度にもよるであろう、品種の割合にもよるであろう
土地の部分の地質が違うのであろう
星座や月が操作しているかもしれない。
油の抽出量と今日持ってきたオリーブの重さは
オリーブの油分はすでに決まっているところを
今日のオリーブの状態の重さってことも十分にあるのである。
葉っぱがいっぱい入っちゃってても一緒に計られてしまう。
だから夫はきれーいに取り除く。
そして、40kgのオリーブオイルをわかりやすいリッターで考えたい時
1Little=0.916kgなので、1kg=1.0917Littleで
40kg x 1.0917Little=43.668Littleとなるのである。
2020年10月19日10.1%、22日13%、29日11.7%
どれも早熟性のオリーブを早めに摘んだ。
きっとそれが理由であろう。期待の搾油率より少ない。
2019年10月24日11.4%、28日14%、30日14%
1番が早熟性品種で2・3番目が晩熟性の品種
2018年10月22日13.1%、24日14.5%
11月5日16.9%などと出ている。2019年と順番は同じ。
ある年9%のときもあった。
平均は12~13%ぐらいのように思う。
搾油所の搾油作業の値段は
持ってきたときに計ったオリーブの実の重さで計算される。
たいてい100kg単位で、この辺のトスカーナでは15~25ユーロ
300kg分だったら平均60ユーロの搾油費はかかるのである。
だからResa=搾油率がとーっても関係し
オリーブオイルがたくさん抽出できれば
事実上の費用の重みが薄れていくのである。
そして最後にフィルターがけをした場合
オイルはフィルターに残ってしまう。
人には渡せないフィルターに残ったオイルは
自分で再度濾して、生食用ではなく調理用に利用したりする。
農園としては、使い物にならない部分である。
それを引くと、れっきとしたオリーブオイルの抽出率って
とっても低く、とっても高価なものなのであるのである。
オリーブオイル文化のイタリアでも、オリーブ栽培に関わっていないと
なんのこっちゃわからない人が大半であるが
生産させている人は、味や出来の他に、こんな搾油率で
喜んだり残念がったりしているドラマがあるのである。
例年のオリーブの量からたっくさんのオイルが抽出されれば
それだけ商品となる。売れればの話だけど。
どのくらい生産できるか搾ってみないとわからないところも
オリーブの魅惑的な一つでもある。
商品棚に並んでいるオリーブオイルから
こういったドラマはみえないが
味だけで物を判断されてしまう純な生産物には
大地の恵みの他、育てている者の努力と祈りが
込められているのである。
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『オリーブオイルを美味しくさせる Consiglio di Frantoio』
『オリーブオイルを選ぶとしたら Ecco L'Olio Nuovo』
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新オリーブオイルOlio Nuovoオリオヌオーヴォをゲットしたら
『オリーブオイルを選ぶとしたら Ecco L'Olio Nuovo』
オリーブオイルを含味して『生オリーブオイルの魔法 Olio Crudo』
料理のコクと旨味を引き出すキラキラオリーブオイルで
一品を仕上げようと提案した。
その次は『オリーブオイルの保存』である。
オリーブオイル・・
特に今ゲットした今年のエキストラヴァージンオリーブオイルは
とってもデリケートで風味が一変しやすい。
そうならないよう生産者も『オリーブオイルを美味しくさせる 』よう
情熱を込めて、美味なオリーブオイルを産み出し
消費者の手に渡るまで細心を払う。
その生産者の元から離れ消費者に手渡るまでの間も
保管・運送・陳列など気を配る必要がある。
運送もワイン同様オリーブオイル相応の対応をしなくてはいけない。
あるイタリアのサイトでも紹介されているように
日本語でオリーブオイルの保存と管理の仕方を紹介するとしたら
☆徹底的に遮光する。
遮光瓶の場合、瓶にも依るが最近の結果だと
30%の遮光ぐらいしかされていないこともあるそうなので
遮光瓶の上からでもアルミホイルで巻いてガッチリ遮光する。
最近では瓶の表面に完全遮光加工された瓶が登場している。
きっと熟学の細心派であろう。
しかしコストが。オリーブオイルの10%が瓶で占めるのはどうだろう。
農家直売の5Lの透明瓶もすぐにアルミホイルで遮光する。
缶のメリットは遮光だが、使い勝手の悪さと見た目の悪さ
(素材的に缶の匂いが移るのではないかと個人的に好まない)
500ml以上で購入した場合、瓶に移し替えなくてはならない。
運送時軽量というメリットがあり、簡単に凹むというデメリットがある。
プラスティック容器は論外。
プラスティックの原料が溶け出す場合もあるから絶対に選ばない。
イタリアのオリーブオイル文化で3L以上は
Bag in boxという真空バックも最近では選択の一つだが
オリーブオイルに触れている素材はプラスチックで
その上にアルミニウムが覆ってある状態なので
オリーブオイル対応のBag in boxかどうかチェックする必要がある。
ワインもBag in boxでテーブルワインなんかよく利用されるが
ワインとオリーブオイルでは素材が違うそうだ。
昔むかしTerracotta(素焼き陶器)での保存が一般的であったが
呼吸する素材のようで
オリーブオイルの保存には不向きという結果が出ている。
保存というよりお持て成し感覚で使うのはいかが。
☆空気の流れがある暗室に置く。
頻繁に使う小瓶も棚にしまう。アルミホイルで覆われててもしまう。
☆15℃前後の室温が適度。
一年間あまり温度差(±5℃)が激しくならないところで管理。
キッチンのガスコンロの近くに出しっ放しはしない。
冷蔵庫にしまうのもNG。
☆空気に触れないよう心がける。
キャップの開けっ放しや
容器から容器への移し替え作業を少なくする。
細心派のオリーブ農園でのオリーブオイルは瓶詰めしやすいように
蛇口付きの大きなステンレスタンクで
酸素を抜く真空機を装着して保存されている。
ということは、瓶の中のオリーブオイルも消費中の空き空間には
酸素が入り混じって酸化していくのである。
小瓶で購入して早めに使い切るのがベスト。
個人でマイオリーブオイルを造ってる人は、フィルター後(!)
いくつもの小さな瓶(最高5L瓶)にいっぱいに詰める。
真空機の無い50L ステンレスタンクでの保存はあまり勧めない。
☆イタリアのサイトで賞味期限も書いてあるので日本語にすると
例えば、大量に5リットルを入手して小瓶に分けたら5ヶ月以内
一度開けたら6ヶ月以内
新エキストラヴァージンオリーブオイルとしては18ヶ月以内、とある。
あくまでも味が保つだろう賞味期間で、消費期限ではない。
18ヶ月以降も生のフレッシュ感を期待しなければ全然食べれる。
イタリアのマイオリーブ産出家は、豊作な年のオリーブオイルなんか
いつまでも消費しきれなかったりする。
幸いなのか翌年は不作の年だからそれはそれでよかったりする。
その不作の年に去年のオリーブオイルを分け合ったりするんだから
自然もうまくできている。
イタリアのオリーブオイル文化の国で暮らす我が家は
250ml瓶で食べる直前の仕上げに使っても
2週間以内に使い切ってしまう。
我が家の消費量は一年間35リットル以上。
それ以上に生産しないと、フライにも使えないしコスメにも使えない。
一度、家族の消費量を知っておくと
新オリーブオイル時に予約したり購入したりする量がわかる。
最後に、搾油後すぐにフィルターで濾してない場合
Travasareトラヴァザーレ(容器を移し替える作業)をする。
伝統的農民は、Psquaパスクア(イースター/復活祭)頃
第一回目のトラヴァザーレをする。
年に二回はトラヴァザーレすると農民はいう。
底に残る茶色いニュルっとする沈殿物(Morchiaモルキア
酵素成分含む)は、不純物で劣化を急ぐだけである。
フィルターにくっついている不純物は数日には異臭を放つ。
使用後のフィルターをさらにフィルターにかけて
さらに絞り出したオリーブオイルをOlio Sansaという。
そのオリーブオイルも加熱料理やコスメに使える。
せっかくだからマイオリーブオイルをフィルターで濾して
長期保存と余計な作業を減らすメリットを
加味するのはいかがであろう。
暗~いところでじっと待つオリーブオイル。
美味しさを保つということは
生産者の努力を長引かせていることと同じである。
少しでも長く美しい味のオリーブオイルを玩味してほしい。
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『我がオリーブオイルのヒミツFrantoiod'Oro di Vinci』
『オリーブオイルの美しい味laRaccolta delle Olive 2017 ②』
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『オリーブオイルを選ぶとしたら Ecco L'Olio Nuovo』読後
良質なエキストラヴァージンオリーブオイルと出会ったら
まず試飲してみる。
『オリーブオイルを試飲する』をどうぞ。
プア~と鼻に飛び込んでくるだろうから
香りが合格だったら次に進んで
一杯の小さじに並々注いで、口の中に含んでみる。
様々な角度で刺激が異なる舌の構造を利用して
最後にイの口の形にして左右からほんの少し空気を吸い
オリーブオイルを喉の方へ送ると
喉の方まで辛味という味を感じることができる。
加減しないとむせることもある。
プロたちはグラスに入れて手のひらで温めてから香りをかいだりする
が、全部ペロリと一滴も残さず舐められる方法は
素人だったらスプーンだっていいと思う。
もちろん小さなグラスだと香りという嗅覚も体験できる。
できたら異なるオリーブオイルを複数同時に
試飲してみるとおもいろいかもしれない。
口に含むとマイルド感が広がり後で辛味がくるタイプが早摘み
それと、すぐに苦味感が伝わり
それが今度は辛味に変換されてパンチのあるタイプが遅摘み
と、私のオリーブオイルは品種や畑の違いで
今年はこのような結果となったのだが
毎年同じわけではない。
例えば去年なんかは
早摘みの方がマイルド感のあとの辛味がほどよく効いていて
遅摘みの方は特徴であるパンチが抑えられてしまったのだ。
それは何を隠そう気候が原因でそういう結果が出たのである。
毎年気候が違うと成長も異なれば出来も違う。
同じオリーブオイルというわけにはいかないところが
自然の賜物なのである。
だから同じ生産者のものを毎年買い続けるのも違いがわかって
生産者の一年の想いまでもが
伝わってくるのではないかと想像する。
オリーブオイルを生で含味すると
苦味とか辛味があるのがオリーブオイルである。
これを美味しいと思うか、ぅわっマズッと思うか
それはどんなオリーブオイルを試しているのかに相当寄るけれど
オリーブオイルが美味に感じれば
良質なオリーブオイルに出会えたことになるであろう。
オリーブオイルの鑑定士やソムリエさんたちは
複雑な表現で細かい味を分析していき
彼らの、青リンゴの・・とか、ナッツのような・・とか
アーティチョークの・・とか、青いトマトのよう・・とか
これはもう経験が積み重なって味を認識していくしかない。
好みの範囲を超えて判断していく熟練の彼らには
これまたパッションとしかいいようがない。
しかし素人は、料理のマッチングが
想像できればよいのではないかと思う。
結局のところ、オリーブオイルは食事で使うのだけど
味の試しは生で、せめてマイルドか苦味辛味の効いたストロングか
舌で感知しておいてから
食材に合わせていくとよいのではないだろうか。
イタリアでは、シンプルなパンと食べる。
もうパンという食材が入っただけで
オリーブオイルの味はさらなるマイルドが広がっていく。
スープに入れるとコクがでるだけでなく隠し味まで演出する。
サラダにかけるとオリーブオイルのスパイシー感が引き立ち
お肉やお魚にダイレクトにかけると柔らかみが増す。
料理はまるでオリーブオイルに魔法をかけられたかのように
さらに魅力のある一品に変化する。
このオリーブオイルの魔法を知ってしまうと
どれもこれもかけてみたくなる。
できたらお塩だけをお供に。
私はわざわざドレッシングをつくらなくても
料理に調味料やハーブが使われていれば
新オリーブオイルは常に新鮮の生の状態で一番最後の
食べる直前にかけることをオススメしたい。
食べ終わったら、お皿に残ってるオリーブオイルと
食材から出てきた旨味液をパンに吸い込ませて食べるのが
最高のドレッシングなのだと私は言い切る!
これを正しくも完食というw
洗い終わったようなきれいに拭き取られたお皿をみると
料理人は大満足なことこの上ない。
Buon Appetito Piatto Pulito !
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『ハーブうどんにオリーブオイル Udon con Dashi, Erba e Olio di Oliva』
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