大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

カテゴリ:散歩 Passeggiata > Toscana

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八月前半の灼熱期間が過ぎ、ちょっと一息ついたころ
あまりにも思春期青少年の夏休み引きこもりをみるにみかねて
鬱憤晴らしに、海へ行くことにした。
いつもの無計画家族、前日の夜に決定。。。

私は灼熱期間に海に行くより
少し落ち着いた気温の日がいい。
すぐ焼けちゃうし、日差しが痛いし
暑くてゆっくりゴロゴロできないからだ。

私たちは、毎年同じビーチに行くので
去年と変わらない海に、もう何日も通っている気分だった。
思春期青少年もそう感じてくれればいいのになぁ。

全く稼働しないお盆を挟んだ2週間でも
きっと人も少ないんじゃないかと
ロングビーチのいっちばん町から離れた端っこへ向かった。
ここだ、ここだ、去年もここの入り口から入った。
半壊した古民家の周りにFicoフィーコ(植・イチジク)が生えてて
田舎者の私たちはパクパク食べた思い出から
フィーコの入り口と呼んでいる。

端っこでも、道路沿いの駐車は青線の有料だ。
ときどき白線のところは無料駐車できるけど
なかなかにタイミングとか運を要する。
有料にしたせいか(数年前は全部無料)一日中いるというより
動きがあるようにおもう。
なんせ1時間1ユーロ。
長期バカンスには痛い金額だ。

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左側は、旗がなびいててとってもシステマチックで
なんだか人が結構いる。
有料ビーチなのかなぁ。

右側は、私たちがよく知っている
まばらに人がいるけれど許せる程度だ。
家族連れがいたり、ワンコがいたり
若くも老いてもカップルがいちゃついている
いたってフツーのイタリアのビーチだ。

夫は人混みのビーチに全く興味ナシ。
わたし用のパラソルを設置して、海をしばらく眺めると
ハーバーの町へランチ調達しに行ってしまった。
それはそれで楽しそうだなぁ。

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ひとまずひと泳ぎすっか。
ちょっと波があった。
イタリアの天気予報用語で mare poco mosso といい
波がないと mare calmo という。

初めてイタリアの海沿いを旅していた時('90年代)
あれはナポリのイスキア島のビーチだった。
私と友、ギャル(当時)二人で手ぶらでゴロゴロしていた。

すると、地元クンっぽい青年が身軽にひと泳ぎしにきた。
しかし、彼はまずビーチに座り
カバンの中からエアービート板を取り出し
膨らましはじめた。

そして、水際で足にピンをつけエアービート板をもって
けっこうな速さで遠くの方まで泳ぎ
ちゃぷちゃぷ浮いてる様子で
またけっこうな速さで移動したり浮いたりして
戻ってきて、帰っていったのである。

私たちは、ずーっとそれを眺めてて
えっ、アレ、いいね!ということで意見が一致し
その日に、イスキア島だったかナポリだったかで
速攻、エアービート板とピンと
ついでにシュノーケルキットも購入した。

それからというもの、ビーチでゴロゴロしてるヒマはない!
エアービート板とピンで人魚のように速く泳ぎちゃぷついたり
ピンさえあれば怖くない!エアービート板ナシで
シュノーケリングしまくり、しまいには潜ってウニ獲りだw
お寿司にのっかてるような巨大なウニではない。
野生のウニだから、中身は小さい。
だから何個も何個も獲っては食べ
潜り獲っては食べるの繰り返しw

体中真っ黒に焼けたギャルたちは
もう愛おしい日本人には見えない。
あれからというもの、ブラジルギャルとよばれていた。

ギャル二人は、ティッレーニア海を南下しシチリアを周り
アドリア海沿いにちょい北上しプーリア州を回って
ブリンディシからギリシャのザキントス島へ渡ったのである。

で、ザキントス島から本島へ渡り、ギリシャの田舎も満喫して
アテネへ到着し、そこから島々へバックパーカーしたのである。

当時、携帯電話もなければSNSもブログもない
カメラだってフィルム時代さ。
その時リアルに興奮と共に書き綴るのもおもしろいだろうが
振り返って、今と重ねて時代を比べるのもまたおもしろい。
この忘れてはいけない貴重な旅ブログも、いつか書き残したい。

ギリシャではついにブラジル風ギャルは
海釣り(港沿い)まで挑戦し
それでも釣れて大はしゃぎした魚を
原始人のように火を起こして焼いて食べたのでありましたw

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そういうわけで、在住することとなり車でビーチに行ける生活
エアービート板から固いビート版にバージョンアップ。

私は浮くこともできるし、多少は平泳ぎで前に進めるけど
泳ぎに自信はない。だから海をなめてはいけない。

そのビート板はライフジャケットのように命の綱だ。
スイスイ泳げない私はあれを持ってるだけで安心する。

そして、波の怖さもなめてはいけない。
夫が波にのまれて溺れかけた記憶はトラウマ化して
思春期青少年にことごとく忠告している。

というわけで、わたし用とボク用、一つずつ持てるよう
キオスクみたいな新聞を売ることがメインの
海沿いのGiornaraioは海遊具がいっぱい売ってるので
車からでも一目で発見できるようにわざとごちゃごちゃ置かれてて
あ!あのビート板ウチのとおんなじだ!
ということで、青少年に行かせると
二色あった内、色まで同じのを選んで買ってきたw

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夫が食糧を抱えて戻ってきた!
パニーニとフルーツを食べて
ようやく夫がビーチでゴロゴロしている間
私は、ビーチを散歩することにした。
これもイタリアではフツーな光景。
思春期青少年はカリカリに日焼けしたいそうだし
こんなとこで母にはもうくっついてこない。ちっ。

ちょっと人混みっぽかった左側は
有料ビーチなのか確認しに行った。
旗は、イタリアの旗、EUの青い旗
そして黄色地にANIMAと書かれた旗。
(anima = soul 肉体的魂と訳すのかしら?この場合)
なんだろう。

わざわざ近くまで行っちゃって、っもう赤裸々に赤面よ!
そこの一角は、公認のヌードビーチだったw
真っ裸の男女がいっぱい。
(ちなみにところはLivorno県のSan Vincenzoを南下した
Parco di Rimiglianoも終わりの辺り。ワオ

イタリアは、全裸を公衆の目に晒すことは禁止されている。
だから、公認の場を設けて密集し露出するのだ。

あぁ、ビックリした。
思春期青少年もばつ悪気に驚いたそうだ。そりゃそうだw

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私たちは、何度もいうけど無計画な家族だ。
悪く言えば、もっとオーガナイズしろよ、ともおもうし
良く言えば、臨機応変とかフレキシブルとかフリーダム
Che sarà sarà!(なるようになれ)

ビーチ沿いのキャンプ場でテント張ってBBQして
静かな朝のビーチを散歩した後、BARでColazioneして...
コロナ禍の前は何度もしたけど
早々にデルタ株の蔓延で今年は控えることに。
思春期青少年ガクーン。

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それならば!
海にちっとも興味のない夫が昼寝の後
再びハーバーの町へ繰り出し
AperiCena(夕飯兼アペリ)の調達を!

PizzaピッツァとFritto Mistoフリット ミスト(魚系フライミックス)を
夫のとびっきり社交性のある性格を発揮して
オススメ店を地元民に聞きまくってw 買ってきてくれた。

思春期青少年には大判振る舞いだ!コカコーラをw
大人は、海辺にはビール。
少しでも野菜を持っていこうと主婦の愛
茹でてある冷凍枝豆と塩を持ってきていた。
暑さでほどよく自然解凍され、よいつまみに。

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タイミングよく夫も調達から戻ってきて
親子三人は、静かで素敵な日暮れの中
ビーチで乾杯することができたのであった。

めでたし、めでたしw

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幸せの種 il mare d'autunno
浴びる 日と水と土と風 sulla Spiaggia
この日はアドリア海で verso le Marche vol.3



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つづき


熟女三人は、Pienzaピエンツァへ向かった。

ここには、6年前に家族と来た。

あの時もこの町を急いで観光したような記憶がある。

その日、マーケットがあったからか

そしてバカンスをやっとはじめた我が家のような

もしくはバカンスから帰ってきたこんがり焼けた人々で

賑わっていたことをよく覚えている。


小さな町は、入口が違っても辿り着くところは同じだ。

あの時もDuomoドゥオーモ(大聖堂)の中を拝観した。

そして、ピエンツァ特産のPecorinoペコリーノ(羊乳のチーズ)屋さんが

軒を並べていたのをよく覚えている。

今年はコロナのせいか人は少なめに感じたけど

それでも店は日曜日なのにだいたい開いていたようにおもう。

観光地なだけに嬉しい。

マスクを道端でもしている人が多かった。

お盆を過ぎて、感染者が増えたニュースをやってたばかりだ。


私たちは、今晩のつまみにトリュフ入りペコリーノチーズを

ちょっとだけ買うことにした。

さすがに丸ごと買うことはできないが

小分けに真空パックで保存されているそれを買った。

真空パックだとかなりの期間もつ。

日本に帰国するときなんか、真空パックで注文する。

独特の香りもしまい込めてとっても便利。


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6年前は、Bagno di San Filippoバーニョディサンフィリッポという

森の白いクジラともいわれるそんな形に石灰が固まった

温泉が湧き出る無料の自然温泉へ行って

家族三人がぬるい滝の下で打たれ座っていた。


夜は、Monte Amiataモンテアミアータという山の

キャンプ場のキャラヴァンを借りて

初の内装にドキドキしながら寝たことは忘れられない。

その頃まだグーグルマップが我が家にはなく

真っ暗に辿り着いちゃったけど、突如キツネ一家が出現し

きゃぁきゃぁ七歳の少年とはしゃいだ記憶は鮮明だ。

私たちは強行に予定通りBBQをして

暗闇の中を動く動物のようでおかしな家族だった。


翌日、Bagno Vignoniバーニョヴィニョーニという小さな温泉地へ行って

でもこちらは、自然を人工的に昔の人が工夫して

もしかするとまるでテルマエ・ロマエ風の温泉に浸かった。

プールのようで日本の温泉風なこじんまりさがあって

静かに波を立てずにそーっと入る。熱くはない。


その家族旅行はVal d'Orciaヴァルドォルチャ(オルチャ渓谷)

周遊旅行だったなぁ、思い起こしてみると。

そのあとピエンツァに駆け足で行って

それから今日と同じコース、シエナの友宅に泊まらせてもらったんだ。


友と友の子どもちゃんの写真もでてきた。懐かしい。

大人はちっとも風貌は変わらないけど、子どもたちが...。

我が少年もこんなにかわいかったんだ...。

あんなにぴったりくっついて。

今や距離を喜ぶ思春期少年になっちゃった。


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今、こうやって、家族をおいて

熟女たちだけで旅行しているのが、なんだかおかしかった。

きっとこれからこういう機会が増えていきそうな気がした。

家族に終わりはないけれど、出産してから今まで

自分を家族に80%ぐらい注いできたところを

もっともっと減らして、独りの時間だって各々にもって

ちょっと成長した共同生活が送れたらいいな

なんて思うようになった。去年からw


私は、人がいう「子育て」を感じながら生きてきたことはない。

同居人が小さいから時々世話をしているみたいな感じだった。

この小さい同居人のことを誰も面倒みてくれなくって

私が引き取ったような感覚なのだ。

出産したときの痛みなんかとっくに忘れちゃったし

プワ~とあくびしながら出てきた4㎏近い赤ちゃんは
お腹の中でちょっと成長しちゃってて赤ちゃんぽくなかったw

だから動物的母性ってのをなんだか感じないまま過ごした気がするし

本能とか気持ちはあるけれど、子育てというより
環境に応じて生活している感がつよいのである。

人生や生活の中で常に優先順位ってのがあって
時に一番がその小さい家人だったり
時に一番が仕事だったり、時に一番がお金であったり
時に一番が勉強することだったり
時に一番が食べることであったり
時に一番がカラダのことであったり
時に一番が家族団欒だったり
時に一番が独り時間だったりする。
そして時に一番が、それがしょっちゅう自分だったりするのであるw


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熟女たちは、シエナの友宅のお庭でまた乾杯した。

友たちはコンタクトを外してメガネをつけた。

メガネの向こうにある目が少し小さくなるのが可愛らしかった。

その小さな目でケタケタおしゃべりしてる姿をみるのが私はすき。

進化したコンタクトより道具のようなメガネの方が

私は親近感を覚える。だって私コンタクト装着怖いんだもん。


ご近所はもう寝ちゃったのかな、静かだった。

私たちの笑い声がときにサイレンのように響いたw

笑うたびに肩をすぼめた。


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翌日、シエナの友はB&Bのような朝食を用意してくれた。

一度食べるために座るとまた話が始まっちゃって

なかなか次に進まない。きっと容易に想像つくであろう。

それでもシエナの友は、Castellina in Chiantiカステッリーナインキアンティ

村へ行かない?と提案してくれた。

もうお昼も近い、軽くランチをしに行こうということになった。


とても近くにその村はあった。

ちょっと標高が高く、気持ち良い風も吹いていた。

村の一本の道を歩けば城もあれば教会もあった。

シエナの友はこの村で働いていたこともあって

あちこちチャオ~と住人に声をかけていた。


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もういくところは決まっていた。

そこは、お肉屋さんなんだけど

ちょっと軽く一杯とかランチができるのよ~と友オススメのようだ。

私たちはふむふむとついていく。すすめられるともっと楽しみになる。


ここよ~。

へ~。確かに人気店ぽい。

外は満席だ。中が空いてるみたい。

しかし、予約されていた...。

でも予約までだったらいいよ!と友の顔がきいたw


ここでもサラミとペコリーノチーズの盛り合わせ。

熟女には野菜必須でナスのマリネやトマトサラダもつけた。

そして地元のテーブルワインで小さなテーブルを囲んだ。

ここもプロシュットやサラミ類が美味しい。

美味しいプロシュットは脂が美味しい。

チーズとかもそうだけど、食べる数時間前

常温に近い温度に戻すといわれている。それかもしれない。

だからこの溶け具合は味覚が増すようなきがする。

ペロペロ食べれちゃうし、塩味でワインもグイグイ呑めちゃう。


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最後の最後まで熟女たちは話が尽きなかった。

私は非現実的な旅行のようにも感じたけど

シングル時代を思い出した気分で懐かしく楽しかった。

いいきっかけとなって誘ってくれた友たちにありがとう!


エンポリの駅にヤツラが揃って迎えにきてくれた。

土産話をしたいのに、ヤツラはサッカーの話をして

興味無さそうだった。私はサッカーに興味が無かった。

家に着いて、お土産のプロシュットを食べながら

土産話をすることになった。それでいいのかもしれない。

そのときはヴィンチのワインをグイグイ呑みながら。



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友とブドウ酒を舐めた una connazionale a Montalcino

友たちよ un tocco di giappone

フィレンツェシスターズ Amica come Sorella vol.2



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私には近い友と見守る友がいる。

その中でも、イタリアにいて田舎暮らしだから

見守る友の方が圧倒的に多い。


ヴィンチに行きたいと会いに来てくれる行動派もいるし

心を想いで繋げるそっと派もいる。

毎日ふと元気かなと友たちを思い出し

一人自分に心を友に向けながら一日がんばっちゃうときもある。


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ある日、友からメッセージがあった。

「モンタルチーノのワイナリーに一泊で行かない?」

本心、先月家族バカンスをしてきたばっかりだから

私は満たされていた。

そして、ブドウの収穫やオリーブのミバエ対策で

頭がいっぱいだった。

なのに、思春期少年にヤキモキしている最中だった。


そう、コロナのせい(!)で”家族”はさらにもっと引き寄せられ

家族との三密にもがきはじめた頃だった。

そして、一步下がって眺めてみよう。

私は常に独りの時間が欲しくて欲しくて

若いときなんか、独り時間を優先して

平日4日出勤を実行していたぐらいである。イタリアで。

仕事で独りになるのではなく

同じ屋根の下でバラバラに独りになるのではなく

独りポッキリ空間と時間を望んだのである。

だから、思春期少年の独り行動欲も十分理解できる。

夫の独りポッキリタイムはたいてい

メディテーション(?!)に費やされるw


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「行こうかな。」

私は、それでもヤツラに旅行先のお土産を考えながら

保冷剤と保温バックとカメラをカバンに詰めて、出発した。

エンポリの駅まで、ヤツラが揃って送ってくれた。

ホームには、友が私を探していた。


きゃぁきゃぁいいながら、熟女二人は電車に乗り込み

大笑いしたり深刻に眉を寄せたり

電車の旅はあっという間におわり、シエナに着いた。


シエナって...電車で来たのははじめてだ。

フィレンツェからはバスだったし、ヴィンチからは車だった。

それだけでも初体験で盛り上がった。

シエナの駅のちょっと近代的な新しそうなショッピングモールを見て

あぁここもかとちょっと残念におもえた自分がいた。

不便とか質素ぐらいがちょうどよかったりイタリアっぽいのにな。

むかしイタリアをグルグル歩いた頃を懐かしんだ。


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シエナのホームの出口にお世話になる友が待っていた。

きゃぁきゃぁと熟女たちは、再会を喜んだ。

この再会ムードは

日本の友やまだまだ会えない友へも想いを重ねた。


シエナの友がよく行く素敵なワイナリーに行くことが

今回の旅の目的である。

早速、彼女のハイブリッド車を静かに発進させた。


シエナから小一時間はかかったんじゃないだろうか。

そして、ワイナリーって田舎にあるから道に迷いやすい。

迷ってもわからないほど、どの道もどのパノラマも新鮮だった。

丘から丘へ、ハゲたような丘は麦畑らしくもう刈り込まれていた。


そろそろ近づいてきたようだ。

成長が止まって熟れていくブドウがぶら下がった畑が見えてきた。

こっちはまだ2~3年目の若いブドウ畑だ。

こっちはトスカーナの伝統的な樹形だ。それでも若い。

綺麗に丁寧に作業をされていることがわかる。

丸太で架線が引っ張られている。

ここは手摘みを愛する農園だ。

この丸太をみるだけでホッとする。


ブドウ畑の真ん中にセラーも家も食堂も居座っていた。

車が入ってくるやいなや、奥様らしき方が迎えてくれた。

ママの後を追うように、妖精のような子どもたちは

じっとこちらをみている。

ワイナリーの奥様はこんがり日焼けした日本人であった。

はじめまして~の挨拶はイタリア人であった。ほっ。

小さくて可愛らしい奥様の笑顔は接客慣れもあるだろうけど

きゅんきゅんはねた私といくつも離れた若々しさが眩しかった。本音。

なんだかはじめましてではないような

心を繋げる想いのそっと派友のように、遠くにいるっていうだけの

久々の再会のようにきゃぁきゃぁ出会った。

この日3回目のきゃぁきゃぁ。


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奥様は、セラーを案内してくれた。

中はヒンヤリ。こんなに外気温と違うのか。

セラーは建物もタンクもなにもかもが新しかった。

そして高級そうだった。

ステンレスタンクは二重層になっていて温度を調節できる。

温度調整のためにその層の間を水が流れるのだそうだ。

床冷房のしくみである。

木製タンクはみるからに高級そうだ。

発酵も熟成もできるから便利だとおっしゃっていた。


現在ビオ(無農薬)の申請中だそう。

モンタルチーノ規制ブルネッロ登録でのビオ申請は

その何年間というブルネッロ独特の熟成方法を達した期間後に

ビオ標章がもらえるのだそうだ。はがゆい。

あの緑マークがあるだけで全然違うんだよね。

本当に無農薬で予防して造り上げている農園の

一番わかってほしい部分。味はともかく。


お隣の部屋は、ブルネッロの隠れ家のようなオークの樽が

格式高く静かに佇んでいた。

Merlot100%の樽、Rosso di Montalcinoの樽

Brunelloの樽、Vinsantoの樽

どうしてこの樽なのか、こだわり理由も教えてくれた。

樽の丁寧な管理の仕方も教えてくれた。

樽とブドウから生まれる菌を継承させることも教えてくれた。

ふと、樽で造る小豆島の醤油セラーを思い出した。


こちらの農園は三代に渡って継がれているそうだ。

その三代分の歴史と技法を継承していくことが

決定的なブドウの造酒となるようだ。

バイオダイナミック農法とはまた違う月の力を利用していること

ニ世帯家族と家族のような作業員で細々と

しかし投資は惜しまず堂々と

天から降りてきたようななんでもできちゃう凄腕ニッポン人妻と

生活も仕事も元気でこれまた凄腕義母さんのフェミニンパワーで

この農園を切り盛りしていることに圧倒される。

ヴィンチにはなかなかないゴージャスさを感じちゃったのである。


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この別棟はプロシュットやサラミをねかす部屋。わー、ゴックン

先代、養豚農家だったそうだ。

その伝統的な技法をここでも継承させ

この丁寧に揉まれ吊られたプロシュットは

ワインのテイスティングのつけあわせでドーンと

オリーブの木のまな板プレートにのってやってくる。ワオ

常夏の八月のイタリアの空気に脂肪の白いところが溶けてきた!

口の中でとろける前に、とろけたプロシュットを口にすると

どうしてこんなに美味しいの?! ジュワ~

どんどんいけちゃうw やだ、食いしん坊にみられちゃうわ!

口の中で永遠に続くジュワをお土産用に無理いって

数日分譲ってもらうことにした。あぁ、おばちゃん丸出しw


ジュワジュワプロシュットは溶けるわ

樽の味やら歳を追ったブドウ酒やら

そして出会い&熟女再会やらで、テイスティングは宴と化した。

凄腕ニッポン人妻=奥様と妖精のような子たち

子の世話と接待で大忙しでも時々顔を出しにきてくれたファミリー

一つになっててとっても素敵だった。

コロナ禍で大変な思いをしているのはどこの農園も同じなんだけど

他にない贅沢さとこだわりがあるこのファミリー農園

ささやかに応援したく訪問し

ささやかに紹介したくここに残したいと想う。

いつの日か観光業の復帰を祈り

またきゃぁきゃぁ再会したい見守るそっと派友となりますように。


Santa Giulia diMontalcinoさま

長い時間ありがとうございました。


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農園を出てすぐ、なんだかZabriskie Pointの映画のような

裸の丘が一面に広がった。

そう思うと、頭の中でBGMが流れ出しちゃう。



まるで幻想のようだった。

日の傾いた丘はコントラストが薄く長く、丘は白黒のようだった。


シエナの友が、ここはオルチャ渓谷だよ、と教えてくれた。

あぁ、また走ることができた。

数年前も家族でアミアータ山をめがけて走ったっけ。

今日はアミアータ山を横目にシエナに向かった。

行けども行けども丘だらけであった。

道に迷ったという友の心配を他所に

日が暮れ周りは青くなった裸の丘は静かに光り

私は真っ暗になるまでZabriskie Pointを聴いていた。



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峡谷で極上サラミを食べるの巻versole Marche vol.4

バイオダイナミックワインの瓶詰めImbottigliamento

前は今は後はversoil cielo



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Fiabaフィアーバ : ファンタジーの世界でヒーローと敵が存在し

困難に立ち向かい、最後には幸福を得る。

グリム童話が代表的

Favolaファーヴォラ : 背景を描き、擬人化した動物などが愉快に語る

魔法を使わず諷刺的に道徳的に表現。古代から存在する。

イソップ寓話が代表的


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フィアーバとファーヴォラの違いを明確にし

フィアーバとされる本を読み(DVDでも可w)

本の内容をまとめ感想を添える

中一少年の冬休みの宿題の一つであった。

少年は、グリム童話の白雪姫を選択し

読み聞かせCDのついている絵本を

久々に引っ張り出して聞いていた。

そして、ごちゃごちゃと紙に書いていた。


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「じゃぁ、不思議の国のアリスはどっちなの?」

「あれは、フィアーバでもファーヴォラでもなく小説なんだって。」

児童文学、幻想小説。

Romanzoロマンゾ(小説)か・・・

このクリスマス、≪不思議の国のアリス≫の本をプレゼントした。

私も高校時代にインスピレーションを受けた本だ。

「内容忘れちゃったから、本読んだら教えてね」

ゆっくり過ぎるほどの読書だが、一章ずつ教えてくれる。

時々挿絵があるから想像しやすいようだしおもしろいと言う。

世界で爆発的に話題になった本は、図書館で借りるより保持したい。

そして世の中の思想に影響を与えた本は尚更代々読むべきだと思う。

なかなか読書好きになれない子には、おもしろい選択かもしれない。

「不思議の国のアリスて、シュルレアリスムだよね。」


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シュルレアリスムとは超現実主義といわれる芸術運動だそうだ。

超現実、非現実、無意識、偶然性、幻想、夢遊、神話、疎外・・

私と少年はPisaPalazzoBLUで開催されていた

da MAGRITTE a DUCHAMP “

dal Centre POMPIDOU

il Grande Surrealismo1929展に出向いた。

(往復の電車のチケットを見せるだけで大人ちょっと割引。11歳は子供料金。合計16ユーロ)

どちらにしろ現実に暮らす人間が描写したことで

どの絵からもスピリトのような感覚が伝わってきた。

ゾクゾクするほどに。マジマジと見るほどに。



現実を超えた新しい真実

超現実を無私無欲に表現

夢の全能、理性の無規制

イヴタンギー、アンドレブルトン、デュシャン、エルンスト、デキリコ

マグリット、マンレイ、ピカソ、ダリ、ミロ、クレー、アレクサンダーカルダー

などなど、このコレクションを一通り見れば

少年でもなんとなく理解し始めるシュルレアリスム。


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しかし、衝撃的だったと思う。

いろんな見方や考え方で表現していること

発想が重なり合っていること

日常の中でもさまざまにありえること

体を使って表現すること、ひとコマに表現を収めること

ボクの体がシュルレアリスム体だったら・・・

顔がおしりにあって、足が腕にあって、ほっぺはおしりで

鼻が☆☆ポコにあって、口はおへそにあるwww

そんな自由な発想や見方のフィロゾフィーは

実は11歳の少年に教えやすかったように思う。

シュルレアリスムをもう一つ言い換えれば

遊び心≫ともいえるのではないだろうか。

マンネリ化した生活の中で、便利という刺激に頼るだけでなく

遊び心があれば、ただ見るだけ考えるだけだって

もっともっと楽しく生きられるのではないかと思う。


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展覧会後、ピサの斜塔がある広場まで散歩した。

途中、空気の冷たい青い空の下で

前日から楽しみにしていたパニーニを頬張った。

ハトが容赦なく寄って来る。

人間の食べかすを糧にしている都会のハトたちは

私たちが食べ終わるまで待っていられない。

今にも食べてる傍から突かれそうな恐怖は

少年とある夏に野外シネマで見たヒッチコックの「鳥」を思い出す。

少年もあの映画以来、ちょっとしたトラウマを覚えたようだ。

頭の中はシュルレアリスム。もう描き始めていた。

「ハトってオレンジ色の目をしているね。」


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ピサの斜塔には、少年の8歳の誕生日お父さんと上ったから

今日は、Camposantoカンポサント(納骨堂ww)というお墓へ。

(11歳は無料!大人一箇所のみ入館は5ユーロでした。)

どうして引きつけられるように入館したか。

広場からちらっと見えるカンポサントの花形アーチと

どうやらアーケードに囲まれた中の吹き抜ける光が見えたからである。


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あらー、なんと素敵なお墓ww

ちょうど日の溜まった花形アーチを映し出したシルエットのスクリーンは

回廊のフレスコ画の壁で、なんともいえない趣のあるお墓だった。

私たちの思考はまだ新鮮なシュルレアリスム。

影を見て、マンレイの影遊び風に、墓へフィオーレ()を送った。

夏も冬も涼しげな南側のフレスコ画は壁で日が溜まることはない

こちらの≪死の凱旋≫は、影遊びなく見れるであろう。

回廊を静かに歩き、中庭を覗く。

まるで僧侶の服装でも纏って歩いているかのようであった。

中庭を向こう側から眺めると

奥行きの深い3Dのまま吸い込まれそうになる。

シュルレアリスム余韻たっぷりの私の頭は

向こう側に私が小さく立っているようにも思えた。

そして、真ん中にも。


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帰り道、駅近くの広場に、ミカンの木が広場に沿って植えてあった。

もしや、あのフレスコ画≪死の凱旋≫の舞台のオレンジ畑からか?

一つ頂戴と眺めてみると、おもしろい

下の方はどの木ももぎ取られている。

これは正しくも欲の現実。

上の方だけ、旬のミカンが鈴なりだ。

仕方ない、持ってきたミカンを食べようww




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年が明けてしまった。

緊張感のなかった年越し。

それでも友と友たちと、友の友たちと集まって

同じ料理をつつき合い、頬張り、ほころんだ顔が印象的な

グラスが弾けそうなくらい念のこもった乾杯をし合った。

何はともあれ、おめでとうございます。


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世の中の一年と、私の一年を持つ一年。

冬の節目と夏の節目。

半年ほど離れていて調度良く刺激される。

今年の私の一大イベントは祖国に帰国する年であることである。

頻繁に帰国する人からからすれば

私の動揺は理解できないであろう。

ただ祖国に帰るだけじゃないか。

しかしそれが、ほぼ4年ごとの帰国では

帰るというより、いざ出陣!という気持ちなのである。

やりたいことはいっぱいある。

まずは、距離と時間を縮めてまでも私を応援して

オリーブ栽培を支えてくれる友たちに会う。

そして、日本のオリーブ畑を歩きたい。

生産者と栽培の苦労を分かち合いたい。

無農薬を意識している農業人や消費者とも話合いたい。

団結して、レポートして、紹介したい。

祖国の今を見たい、知りたい。


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少年が、タブレットで写真を撮るようになった。

インスタを始めたからである。

サッカー選手のインスタが見たいという動機で始まったが

クラスのお友達がいろいろとアップしている影響で

少年も刺激されたようだ。

私の写真だって、一番に褒めてくれる。

ある冬晴れの年の瀬、少年とヴィンチ村まで散歩をした。

図書館に本を返却&予約し、郵便局で日本行きの切手を購入し

インフォメーションオフィスにL'ARNOと名刺を置きに行った日である。

少年は、時間制限(!)付タブレットを持参し

田舎道で立ち止まったり振り返ったり

アレコレ角度や光を気にしながら写真を撮っている。

あそこの黄色い花畑撮ってくる、と少年。

「うわー、お母さん、ちょっと来て!」

グニャグニャの泥道、渋々少年の方に向かった。

黄色い花畑を撮った私たちの背後には

な、なんとこんなザ・トスカーナの丘が出現した!

ヴィンチの丘もやっぱりトスカーナの丘なんだ。

少年に写真のアングルを教えた。

見せないところと見せたいところの選択。

空と大地の比率。

マニュアル撮影のISOの使い方。


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SNS利用者のフィレンツェ在住者が競ってアップしていた

フィレンツェのイルミネーションを、少年と見に行くことにした。

ついでに、近代美術館Museo Novecentoにも行って

またまたデート風な半日を過ごした。

私も、一人より二人のほうがいい。温かみが増す。

少年はアート映像に興味を引かれたようだ。

企画展の中に、青い線で社会の人の群れだけを描く作品

常設展の中に、フィレンツェの労働者を描いた作品

映像も展示も「線と人」がテーマだったように思う。

人は線のように行列し革命を起こす。

一団となって、一心な想いで。

私も一心な気持ちで、地球を守りたい。


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外は予定通りに暗かった。

ミュージアム目の前のイルミネーションが目に飛び込んできた。

サンタマリアノヴェッラ広場にあるツリーである。

少年がセルフィーをしていたが思うようにいかないようだ。

人間が立つ位置を教えてあげた。

背景と被写体の距離である。


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街中は、本当にSNS力で、老若男女

イルミネーション撮影に挙っていた。

私も。

少年も。

今年は、私の思い通りの一眼レフが入手できるといいな。

少年は、もっといろんなとこに行って写真撮りたい!と。

そうだね、いろんなとこ歩こう!

こんなきっかけから、生まれた新しい発見。

自分で構成する楽しさ、パーツを発見する楽しさ

湧き出す好奇心の楽しさ、日常の楽しさ

写真を撮ることは絶対楽しいはずだよ、少年。

楽しい瞬間がわかるさ

大切にしたいコトがわかるよ、きっと。


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一年、またまたいろいろとよろしくお願いいたします。

引き続き、大地の住人とお付き合いくださいませ。



夏の帰国へ向け、企画や試飲会、訪問や対談など

素敵な提案がございましたら是非ご相談ください。

多くの方たちとお会いできることを楽しみにしております。





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1ページのあとがき sonoin un giornalino

晴れ、歩め!SetteErbe

祖母とマキちゃん



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