November 2020
仲間のオリーブオイル Olio da Vinci
去年2019年に収穫したというワインもご馳走になった。
今年は、大豊作だったけど搾油率が少なかったそうだ。ウチも。
共同組合の搾油所で出てきた地域のオリーブオイルがIGPと
しかしホンモノは、スーパーのブランドオイルの3~5倍はする。
地域限定の独特な品種をもつ農主のオリーブオイルも
ボクらは土ころを蹴った un fotolibro di oggi / Autunno 2
11月に入って、天候を心配したオリーブの収穫も一段落し
気を緩ませていた連日、ポカポカの秋日和が続いた。
秋の弱く傾いた光にあわせて、ブドウの葉や木々たちが
黄色く透けて輝くように、でも弱々しくしがみついていた。
その弱々しさが大集合すると、全部が輝き出す。
なんだか一丸となって。
家から眺める風景にうっとりしていると
あの光ってる大地の中の燃えるような赤いところに
行ってみたいと思った。一人で行った。
オリーブ畑が視界の縁を囲み
中央に黄色と赤とちょっと緑と黒い大地がみえる。
ここからの位置がポイントで、時間は午後3時。
あの赤い列のあるところに行ってみよう。
赤い列はこの時間、燃えるようにメラメラするのだ。
しかし近くに寄ると、燃えるような赤ではなく薄い赤だった。
そこを離れまた違う角度から赤い列をみると、燃える赤だった。
この日、思春期少年を散歩に誘った。
日曜日だった。そして午後3時を狙った。
「写真撮影をしようよ!」
いつも一緒に出かけるのを嫌がるのに、素直にくっついてきた。
お気に入りの服に着替えてやってきたw
「久しぶりだね。」
手を差し出すと、つないでくれた。
手が大きくなった。
当たり前だ。私より背が高いんですもの。
「こうやって小さい頃はいっつも手をつないでたんだよ、覚えてる?」
すると手を離して走り出した!
照れたな。言わなきゃよかったw
ここで写真を撮りたいと私を呼ぶ。
私がしゃがんで空をバックに下からの角度で撮ってあげた。
「足もいれて」と注文をつけてきた。
私たちは、ブドウ畑を歩いた。
天気がしばらく続いてたはずなのに
日当たりが悪いところと、傾斜の下の方は
グチャグチャで歩くところを選ばなくてはいけなかった。
草の植えを歩けって小さい頃から何度も教えたのに
思春期少年は上を向いて歩いている。
下を向いて歩るくとイノシシの足跡がいっぱいあった。
思春期少年の足跡はまるでイノシシのようであった。
私に遠くから土の塊を投げてきた。
遠くにも投げていた。
大地のもりあがった土の塊を蹴って踏んで蹴って投げた。
見えない空気に向かって投げた。
私も投げた。
私も投げてやった。
その数日後、トスカーナはオレンジゾーンに指定された。
コロナ感染者数と重症者数と病院施設の空き状況などで
危険度をレッド・オレンジ・イエローと決めていくそうだ。
オレンジとなると町から町への移動が禁止になる。
ヴィンチ村だけで必要最低限のものは用は足りるが
大きい隣町に専門店や専門屋がある。
そういうときすごく困ってしまう。
仕事や重要な用事では
自己宣誓書を携帯して移動することになる。
不急でない限り計画を立てないことに限るが
時間ばかりがどんどん過ぎて何も先に進まない。
会って話さないとわからないこともいっぱいある。
と私がぼやいたところでみんなも同じく辛抱してるから
ぜんぶのみこんで腹にためておくことにする。
ひとつ間に合ったことは、オリーブオイルが出来上がってて
身内のような友たちに届けることができただけでもよしとしよう。
食卓が新鮮味にあふれるじゃないか。
香りといい味といい色といい。
そのオリーブオイルの特注の瓶を求め
夫と二人で遠出することになった日がある。
「久しぶりだね。」
ドライブだから手をつなぐことはなかったがw
ゆっくり走ってもらってドライブを楽しみたかった。
夕暮れ間際、Padule di Fucecchioパドゥーレディフチェッキオという
フチェッキオ市の外れにあるヴィンチ村よりの湿地帯には
カモの群れがシルエットに水面と空が夕日に焼けていた。
あぁそうか。レオナルドダヴィンチがここで
ザリガニでも捕まえて遊んでいたのがわかる。
きっとこの水面に浮かぶ夕焼けを見るために来てたんだ。
車を停めてもらって、しばらくその景色を眺めた。
誰もいないんだけど鳥やザリガニぐらいしかいないんだけど
セミロックダウンでもここには来れない。
家に近づく頃にはもう暗くなっていた。
この時間帯の暗さはあっという間に覆われる。
農主のブドウ畑を通りかかっていると
イノシシファミリーぐらいの群れが突然現れ
のこのこ道を横断しはじめた。
車のライトに照らされても、急いで逃げるわけでもなければ
突進してくるでもなかった。小走りぎみに横断していた。
かわいいじゃないか。
不意にでくわすという状況はなかなかない。
私と夫は大人気もなくきっと子ども以上に興奮した。
一頭かもしれないと目をこらえて見ていた。
2頭、3頭、4頭 おぉ5頭!
一瞬もいっときも見逃せない。
だからカメラなんかさささと用意できなかった。
オレンジゾーンが実施される前日
週末自転車グループと隣町まで走ってきたように
移動できる最後の日だからどっか行ってきたら?と
親が心配に思春期少年に提案したが
平日だったこともあり、返事は
「宿題しなきゃいけない。マリオと電話で待ち合わせをしている。」
という。ふーん、外に行ってきてもいいのに。
先生の説明より数学に強いマリオくんの説明の方がわかるんだそう。
イタリアの数学は答え合わせではなく、答えはもう書いてあって
その答えの説明をするのである。
考え方、理屈、解決法...とにかく文にすることなのである。
日本の、答えがあっていればどう解決しても問題ナシ
だった昭和の教育とはちょいと違うのである。
だからイタリア人は抗議や意志の主張に強いのである。と私は思う。
先生と対面授業で説明がよくわからないのだから
これがリモート授業に戻って、落ちこぼれちゃいそうで心配である。
オレンジゾーンは、全中学生までは登校できるが
レッドゾーンは、中学2年生以上はリモート授業となる。
現在、リモート授業になるかもしれないと
自治体も学校も動きだした。
きっとトスカーナも近々レッドゾーンに入ることを
予期しているのであろう。
Raiの国営放送だけどコロナレポート番組では
第一波の感染拡大はサッカー観戦が原因で拡がったと伝えてて
第二波は、夏休みの浮かれと野外パーティー(ディスコ)などの集合
が原因とレポートされていた。
若者たちの夜ふかしMovidaモヴィーダが注意の的となった。
だから夜間外出禁止令Coprifuocoをメインに
セミロックダウンが実施されたそうだ。
現在の感染拡大の原因は、家族内感染なんだそう。
政治家も専門家も「みんな次第なんだ」と口を揃えて言う。
救急車が列をつくっている映像をみると
救急車の音だけでビクッとする。
だんだんコロナが接近しているようで緊張する。
また気晴らしに細い秋の光でも浴びてこようとおもう。
そう書いているそばからトスカーナも11月15日の日曜日から
レッドゾーン入りし、ロックダウンに突入してしまった。
月曜日から中学三年生の思春期少年は
リモート授業となるのである...。
前は家に居られると喜んだけど、今回は
友だちといるほうがいい、リモート授業だとわかんないと言い始めた。
私は、人の温かみはリモートではなんか伝わらないのは
よくわかる。画面に映る自分が嫌だからよくわかる。
ロックダウン前に、少年たちは自転車で町内を走ってきたそうだ。
公園の階段を自転車で降りた友だちがいるんだ
と珍しく撮影したビデオをみせてくれた。
ヴィンチの保護者グループにメッセージが転送の転送で回ってきた。
クリスマス間近になってきて、本当だったら
イルミネーションが華やかな街にでてショッピングをしながら
初冬を楽しむのだがそれができない。
ナポリのロックダウン前日は通常の大晦日のようだったと
ニュースで伝えてて、これにはかなり驚いたけど。
行くだけでも楽しかったクリスマスマーケットも禁止になっちゃった。
オンラインショッピングはアマゾンばかりにならず
私たちだったらメイドイントスカーナ、メイドインイタリー
地域の..国産の手芸品工芸品農産物を応援しようね!
そしてこれ以上ゴミが溢れ出ないようなお買い物をしようね!
というメッセージだった。
フェイスブックで私はトスカーナ産を買うよ!というグループに
入っているが、いろんな商品があること
たくさんの工房や農園があること、マーケットができないこと
それでも諦めずに一生懸命さが伝わってくる。
いろんな形で応援し合いたいと想う。
そしてこんな形(ロックダウン)で弱い人たちを労りたいと想う。
*私がセレクトした過去の関連記事Best 3 Archivi Selezionati*
Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
Instagram ≫≫≫ obatamakivinci ☆ realmakici
黄色い散歩 無言集 un fotolibro di oggi / Autunno 1
*私がセレクトした過去の関連記事Best 3 Archivi Selezionati*
『黄色い丘のオリーブの塩漬け Olive Sotto Sale / Colline Gialle』
Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
Instagram ≫≫≫ obatamakivinci ☆ realmakici
オリーブオイルの搾油率 essere olio extravergine
オリーブオイルの搾油率とか抽出率のことを
イタリア語でResaレーザという。
収穫量に対して搾られて抽出された油の量との比率のことだ。
オリーブオイルだけでなく農作物など全般に使われることが多い。
収穫日によって違ってくる。
タイミングによっても違ってくる。
品種によっても違ってくるだろう。
果実の状態にもよるであろう。
そして天候にも大いによる。
搾油所で比べると、機械でも相当異なる。
私が信用しているいきつけのFrantoioフラントイオ(搾油所)は
搾油時21℃ときている。
Estrazione (Spremitura) a freddo
エストラツィオーネ (スプレミトゥーラ) ア フレッド
といわれるコールドプレス(低温圧搾法)は、みなさんもご存知
一番自然なままに成分を壊さずに搾り出される方法だ。
ソフトにオリーブの果実を撹拌し
我がFrantoioは最新の超最新で縦に練っていく。
その間に上昇する熱を低温にコントロールする技術である。
Estratto a freddoと記せる温度はMax27℃であるが
低温であればなおさらいい。
Frantoioの最新技術の自慢どころでもあるだろう。
熱を加えて抽出するEstarazione a caldoカールドは
オリーブの果肉を練って上昇する気温を29〜30℃に調整し
熱を加えることで発揮するEnzimiエンジーミ(酵素)の力で
油分水分を抽出しまくるのである。
質より量の産業的目的で使われている。
搾られた後、そういうわけで産業的にもろもろと添加しちゃえば
たいしてあれもこれも変わらなくなる。
そんなところが危険だし、そういうものが安く出回っているのである。
印象悪いのでw 表記していない。
そして、油分と水分を分けるデカンター(遠心分離機の部)の
この確実性も物をいう。
ここで油分をより多く抽出させ、水分をどこまで除去できるか。
この辺の技術もマシーンによっては全っ然効果が違ってくる。
水分混じりのオイルの抽出量が多そうにみえて
オリーブオイルの品質にまで大いに関係してくるので
重要な部分である。
この技術は、Frantoianoフラントイアーノ(搾油所の長)も
よく説明できないだろう。マシーンの技術だから。
そうそうFrantoioもころころ投資はできない。
あるもので続行するため、搾油してもらう客が
あちこち試すしかない。
オリーブの品種はざっと2つに分かれる。
Precoceプレコーチェ(早熟性)かTardivoタルディーヴォ(晩熟性)
ひとつひとつの品種がわからなかくても
せめてこのどっちかがわかると、適切な収穫時期がわかるだろうし
植える時も収穫しやすいように植えられるだろう。
これが混ざっていると、仕方ない
早か晩の割合で一気に収穫してしまう。
どちらも油が形成される時期になってから収穫をするのが最適。
早すぎると、キンキンクロロフィル(葉緑素)の成分が強いまま
体にイイといわれるポリフェノールなんかは強力に抽出できるが
肝心な油分が未熟でオイルの量が抽出できないのである。
Invaiaturaインヴァイアトゥーラ(果実の色づき)が目安にもなるが
毎年違ってたりするので、やっぱり一年を通しての判断になる。
この収穫期の見分けと判断は、栽培者の知識と経験による。
その一年を通して、何を記憶に残して置かなければいけないか
芽生えの時期、開花の時期、結実の時期、そして成長期
この4つの期間の天候と気温である。
雨ばっかりもダメだし、晴ればっかりもダメで
できたら結実期にピッタリ雨が降ると結実しやすい。
成長期は地中海性気候のカンカンで身が締まり
時に雨が降ってくれると油分の形成に役立つ。
油分の形成をイタリア語でInolizioneイノリツィオーネという。
9月いっぱいまでじわじわ形成されているそうだ。
夏はカンカンで、近頃異常気象の晩夏にどーっと雨が降り
プックリ果実が膨らんでキレイな姿となって豊満に重くなっても
あぶらがのってないこともあるのである。
果実の豊富さは、不思議と
前年の種子が翌年の果実となる芽を操作しているのだそう!
これは私たちには説明しきれない果樹のメカニズムなんだそう。
そういうミステリアスなところも魅力的なオリーブ。
さあ、いざ今収穫したオリーブの実をFrantoioに持っていき
ワクワクしながら、300kg用のかごに入れ替え、計る。
小さい搾油所はたいてい300kgをベースにマシーンを動かす。
では例えば実が300kgだったとしよう。
大かごの重さを抜いて教えてくれる。
そして出来上がったオリーブオイルの重さを計る。
40kgのオリーブオイルが出来上がってきたとしたら
40kg(オリーブオイル)÷300kg(オリーブ)=0.13333x100(%)
=13.33%となるのである。
この抽出率は搾油所が出してくれるので
自分で計算することはない。
この抽出率をみんなで言い合って自慢しあって反省しあって
収穫の時期、一番交換し合う情報である。
そういうわけで、毎回搾油するごとに違う数字がでてくる。
同じ畑でも違うのは、収穫日にもよるだろう
天候や湿度にもよるであろう、品種の割合にもよるであろう
土地の部分の地質が違うのであろう
星座や月が操作しているかもしれない。
油の抽出量と今日持ってきたオリーブの重さは
オリーブの油分はすでに決まっているところを
今日のオリーブの状態の重さってことも十分にあるのである。
葉っぱがいっぱい入っちゃってても一緒に計られてしまう。
だから夫はきれーいに取り除く。
そして、40kgのオリーブオイルをわかりやすいリッターで考えたい時
1Little=0.916kgなので、1kg=1.0917Littleで
40kg x 1.0917Little=43.668Littleとなるのである。
2020年10月19日10.1%、22日13%、29日11.7%
どれも早熟性のオリーブを早めに摘んだ。
きっとそれが理由であろう。期待の搾油率より少ない。
2019年10月24日11.4%、28日14%、30日14%
1番が早熟性品種で2・3番目が晩熟性の品種
2018年10月22日13.1%、24日14.5%
11月5日16.9%などと出ている。2019年と順番は同じ。
ある年9%のときもあった。
平均は12~13%ぐらいのように思う。
搾油所の搾油作業の値段は
持ってきたときに計ったオリーブの実の重さで計算される。
たいてい100kg単位で、この辺のトスカーナでは15~25ユーロ
300kg分だったら平均60ユーロの搾油費はかかるのである。
だからResa=搾油率がとーっても関係し
オリーブオイルがたくさん抽出できれば
事実上の費用の重みが薄れていくのである。
そして最後にフィルターがけをした場合
オイルはフィルターに残ってしまう。
人には渡せないフィルターに残ったオイルは
自分で再度濾して、生食用ではなく調理用に利用したりする。
農園としては、使い物にならない部分である。
それを引くと、れっきとしたオリーブオイルの抽出率って
とっても低く、とっても高価なものなのであるのである。
オリーブオイル文化のイタリアでも、オリーブ栽培に関わっていないと
なんのこっちゃわからない人が大半であるが
生産させている人は、味や出来の他に、こんな搾油率で
喜んだり残念がったりしているドラマがあるのである。
例年のオリーブの量からたっくさんのオイルが抽出されれば
それだけ商品となる。売れればの話だけど。
どのくらい生産できるか搾ってみないとわからないところも
オリーブの魅惑的な一つでもある。
商品棚に並んでいるオリーブオイルから
こういったドラマはみえないが
味だけで物を判断されてしまう純な生産物には
大地の恵みの他、育てている者の努力と祈りが
込められているのである。
*私がセレクトした過去の関連記事Best 3 Archivi Selezionati*
『オリーブオイルを美味しくさせる Consiglio di Frantoio』
『オリーブオイルを選ぶとしたら Ecco L'Olio Nuovo』
『強調するときの国民性 Frantoio Svizzero』
Grazie di aver visitato!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
Instagram ≫≫≫ obatamakivinci ☆ realmakici