大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

February 2022

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2年前の2020年の2月、コロナ第1号がイタリアで確認された。

少年のそればっかりはいつものささやかな誕生日
日本語学校の帰りにフィレンツェの家族友とケーキを囲んだ。

その週、ヴィンチの学校で雪山に行く遠足があったが
学校は全てのイベントをバタバタとキャンセルし
指定されていた雪山用の靴が新品のまま箱の中に眠りっぱなしとなった。

その後、少年はワンサイズ大きくなり、もう履けない。

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1年前の2021年2月、コロナの子がいて学級閉鎖だったんだ。

リモート授業の休み時間、画面の向こうで
おめでとう!の声がキャーキャー聞こえた。

少年は中学最後の誕生日だった。

その誕生日当日、愛用のiphoneの画面が固まり修理に出して
メッセージが見れない...と手持ちぶさたに過ごし
家族とひっそりロウソクを点けたんだっけ。

大好物のプリンを食べる頃には、父はのびちゃって
肝心なときはもう夢心地で気持ち良さそうだったねw

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そして2022年2月、15歳になった思春期青少年は
地元の親友たちと誕生日を過ごした。

とはいうものの、かっこつけでも控え目な性格の彼は
通常通りささやかに家族と過ごす誕生日を想像していた。

思春期青少年は、寿司とラザーニャとティラミスが食べたいと言った。

いつもはTボーンステーキとプリンと生タマゴご飯wなのに
想定外の注文に戸惑ったが、変わっていくことも受け止めたい
こんな世の中のこんな日ぐらい幸せに思える日にさせたいと
母心におもうのであった。

寿司用のサーモンは買った後一度凍らせる。
サルモネラなどの菌は凍らすことでも死滅するらしい。
業務用冷凍-18~20℃あれば24時間ほど凍らせばよいらしいが
ウチのポンコツ冷凍庫では
最低でも4日間は凍らせることが望ましいようだ。

生食サーモンとカチカチアボカドがメインで
イタリアで寿司を拵えようとすると
一週間は見積もらなくてはならない。

!あるある。
ずいぶん前にSNSでアボカドをアルミホイルに包んでおくと
黒くならずに長持ちするという投稿をみて
試している最中のずいぶん前に買ったアボカドがある。
カチカチからプヨっと押せるほど調度よくなっている。

青少年は、サーモンさえ食べれればいい。
私が彩りをつけたいだけだ。

青少年は、先に全部サーモンをたいらげ
次、アボカドの寿司をたいらげた。

その間、友からのメッセージを見ながら食べて
その後、友だちに会いにとっとと出かけてしまった。

そして、メインの夕飯は友だちと過ごすことにし
夫婦は、二人っきりで青少年がリクエストした
アツアツのラザーニャを食べるのであった。
「はじめてだねぇ、息子の誕生日に本人がいないの。。」

思春期青少年は、その夜、笑っていた。
いつもはイライラしてるのに、笑っていた。
何があったんだ。
でも、いい。知らなくていい。
知ろうとするから距離ができるんだ。

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青少年が笑っていたのも束の間
プーチンの侵攻がはじまった。
イタリアでは、戦争(Guerra)というよりInvasione(侵攻)と
タイトルがついた。

その日、思春期青少年のSNSもプーチンの侵攻でうまっていたそうだ。

ウクライナは、1995~2002年生まれの男子を兵隊にするそうだった。
青少年はそれを聞いて不安がった。
「イタリアも戦争するの?」

あのときもいまも、そんな恐ろしいことをしているのが
青年たちだと思うと泣けて仕方がない。
きっと昨日までTicTokをみていた青年たちであろう。。


いとおしい慈愛なる友が、イタリアを撤退した。
ちょうど思春期青少年の誕生日の日だった。
プーチンの侵攻がはじまる前である。

世界の出来事と友の出来事がちょうど時期的に重なった。
人生とは本当に様々にあるものだと身に染みた。

私は、もし私がウクライナの民だったら...とか
私は、もしイタリアで独り身になっちゃったら...とか
私は、もし究極の貧困になってしまったら...とか

いろいろ考えると不安が募っていてもたってもいられない。
ちょうどプーチンの侵攻の日、すごく心臓がバクバクした。

その日、G.A.S.(Gruppo di Acquisto Solidale)の仲間が
支払いに立ち寄ってくれ、立ち話をした。
今の私には話す人は家族しかいないこと
笑っちゃうけど、一歩外に出ても畑で出会うのはテントウムシだ。
仲間は「それ、ヤバいって!今度お茶しようね!」て。


思春期青少年は、あの日、笑っていた。
お友だちが集まってくれて、笑っていた。

懲り懲りの二月なんだけど、笑っちゃうよ、もう。
おめでとう、今あることに、おめでとう。

思春期青少年がある時期のシャワー中よく聴いてた曲。
私の壊れたラジオでもよくかかる。をどうぞ。




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雨の日、二本立てで日本の映画をモニター越しで観ることにした。

オンライン日本映画祭というものが海外在住者向けに
無料で期間限定で観れるとのことだが、国が限定されており
シスターのいるアイルランドでは観れなかった。

我が家は、コロナ禍のロックダウン中
少年のリモート授業の必要性から
やっとその時から、無制限ファイバーWIFIを導入した。
リモート授業にあわせて、PCまで購入したんだ。
約2年前とかである。最近の話だ。

それまではSIMのデザリングから月々に使えるGBを気にしながら
思う存分WIFIライフはしていなかった。
必要性も感じていなかった。

しかし、無制限ファイバーWIFIが我が家に登場してからというもの
家族は各々に過ごすことになる。わけだ。
ますますバラバラに行動し、客観的にみると寂しいものだ。

思春期青少年に日本映画祭のことをいうと
期間限定で時間があわない、時間がないとのことで
うーん...という返事だった。

だから、誰もいない日、そう、雨の日の午前中に
私だって余裕のある時間はない、どちらかというと急いで
「南極料理人」と「羅生門」を観たのである。

なかなか映画を観る機会もなかったし
そういうわけでネットで映像を観る習慣もなかっただけに
古い映画でも新鮮だった。

ここに残したいぐらいだから観て良かった映画たちだ。

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羅生門の方は、モノクロ映像だけれども
私は写真でもモノクロに撮るのが好きなだけにイメージが湧いた。

モノクロにすると時代感が薄れるような気がする。
今のような、昔のような。
時代が交錯することで、≪人生とは常にある≫ことを強く感じ
モノや環境に関係なく≪生き様≫を感じるのが
モノクロの特徴のような気がする。

ニュースで、ウクライナとロシアの戦争が勃発するかもと
ウクライナ民が避難している映像が日々流れている。

2022年にもなって本当に戦争なんて起きちゃうの???
100年前と同じことしちゃうの?
中学三年生だった少年の学習発表は、戦争と暴力がテーマだったよ。

ウクライナ民が列車に乗り込む映像がモノクロにみえる。
子どもとクマちゃんのぬいぐるみがモノクロにみえる。
現地に残ってインタビューを受けている歯っ欠けのおじいちゃんが
モノクロにみえる。

イタリアは、ロシアからのガスが値上がりして
電気も値上がりして、ガソリンも値上がりして
流通や原動に付随する食品だって値上がりして
コロナで仕事の量は少ないのに職探しは困難で

そういう痛みを感じる家族とそうでない家族に分断されるイタリアだが
いいことがあっても浮かれきれない私たちの生活は
目の前の太陽の光にやっぱり癒されるのである。

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雨の後、私はブドウ畑で、枝を縛る作業を黙々としている。
ひとりぽっちだ。
壊れたラジオは、都合よくかかって都合よく消す。

まるで囚人のように足に重しをつけている泥まみれの私は滑稽だ。
でもゴム靴を履いて汚れる覚悟をすれば
子どもが水たまりにボチャンと入るように
汚れることも泥が重しになってもへっちゃらになるのである。

黒っぽい枝とグレーの空と茶色い土は
緑肥のソラマメまでなんだか色味を忘れてしまう。

それでも赤いテントウムシは遠目でも見つけるんだ。
なんかいいことあるかな。



☆こちらの記事もどうぞ☆
モチベーション a wet day
親愛なるスクールよ Dolce in forno
畑でめぐる壊れたラジオ musica in testa



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日曜日、オリーブの剪定を夫とした。

夫は、危なっかしくコード付きのイヤホンで
片耳だけつけてサッカーの実況中継を
スマフォのラジオで聴いている。

もう片耳のイヤホンはぶら下がってて、だから危なっかしい。
その片耳は、私がやいのやいの剪定してほしい枝の注文を聞くために
空けてある様子だ。ありがとうよ、気がついたよ。

私は腕が痛くて肩が上がらないので、下の方と上の方も
短いのと長いノコギリで、我慢しーしー重要な剪定をする。

オリーブの剪定のときは、樹形や空間、未来を想像して
剪定する枝の決断しなくてはいけないから
雑音はいらない。静寂の中で集中したいタイプだ。

夫は、集中しなくてもできる直立している徒長枝(Succhioni)を
ひたすら除去してもらった。

それでもふと気が抜けた時には、私の頭の中で
オートマチックに壊れたラジオがかかる。
繰り返し繰り返し思い出せるところの音楽がかかるのだ。

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まだ早いのだが、ある農園のブドウの枝縛り作業を手伝っている。

私は、良くも悪くも、バイオデグラダブル(生分解)の紐を
その専用の道具でブドウの枝に縛りつけることができる。

良い点は、これでしかできないほど慣れていえるので速くできる。
悪い点は、これでしか速くできないw
でもいいのだ。ゴム製の紐はゴミとなってデメリットなので
必要な時、幹を縛りつける時だけでいい。

まだPianto(樹液の流動)はSangioveseという早熟性の品種ぐらいで
他の品種はそう簡単には曲がらない。
外皮をポキポキ壊しながら曲げていくテクニックは
もしかすると折れちゃうんじゃないかと心配で
慣れていない人には難しいかもしれない。

もし折れちゃったときの対応や曲げる方向
枝の長さや幹の処理も、ブドウの剪定を知っていないと
先に進まないかもしれない。

しかし慣れてしまえば速く対応できるようになるものだ。
作業なんてどれもそういうものであろう。
もちろん学ぶことは常にあるのだが、まごつくのは最初だけさ。

と、慣れた手つきで体は温まってきたが、どこか空気はまだ冷たい。
丘の北側は日当たりが悪い。
向こうの丘は日に当たって眩しそうだ。

ひとりぼっちのブドウ畑にいる私は
そう、繰り返し繰り返し流れる壊れたラジオに
パーツパーツ完結しない音楽がかかり続けるのであった。

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私は夕飯の支度をしながら日課のように
イタリア国営放送Raiのニュースをみる。
SNSやネットだけでは実際に起きている主要なニュースが
分からないと思っている。

それは今に始まったことではない私のルーティンなのだが
一般的なニュースを知ることで
政治好きイタリア人の話題に入れるようなところがある。

そんなRaiで、毎年毎年開催されている今や72年度である
サンレモ音楽祭(Festival di Sanremo)が二月初め五日間ぐらいあった。

今ホットなアーティスト(歌手はクリエイティブアーティスト)が招待され
視聴者投票でさらなるホットなアーティストが生まれるのだ。

各々に活躍するCantanteがデュエットで発表した曲に
(きっと)圧倒的に優勝した。

その曲が、畑の中でかかる私の壊れたラジオの曲なのであるw



私はイタリアに在住して日本の現在のホットな話題曲など知らない。
きっと日本に暮らす方たちもイタリアのHot Hits Italiaなんぞ
知らないであろう。
いや、我が家に思春期青少年がいなかったら
在住者でも素通りしていたかもしれない。

Cantanti(複:歌手たち)の詳細は
それを目的としないので割愛させていただくが
元気そうな方の子(アーティスト名Blanco)この2年間爆発的に売れていて
我が思春期青少年がスピーカーにして大ボリュームで
よく聴いているのを私も耳にしていた。

「へ~、こういうの聴くんだ。」
「なんで?お母さんも好き?」
うん、好きだよ、我が青少年が好きなら。
「どういうとこが好きなの?」
「声。」へ~

サンレモのインタビューでも答えていたが
まだ18歳(現19歳)という元気そうな方の子(Blanco)、このコロナ禍で
デビューしてから3回しかステージに立っていないそうだ。

この子が世にスカウトされたのはSoundCloudとかいう
音声ファイル共有サービスだそうで、要は音楽ソーシャルと
TikTokだけなんだそう。

若者はそうやってSNSを上手に使える子もいれば
使えない子もいる。
ネットイジメ(Cyberbullismo)がまだまだある中
早速、警察のネットイジメをなくそう講義に
元気そうな方の子(Blanco)のSNSの使い方をお手本に登壇されていた。

思春期青少年はFacebookをやらない。
なぜなら、あれはVecchi(老人w)がやるもの、と断言したw くぅ。
Instagramは見るだけ、フォローし合うだけ(コレよくわかんない)
他に、YouTubeとは限らないあるStreamerのおしゃべりを聴いている...
あとは、ダラダラとTikTokをながめていて
どちらにしろ手にスマフォがくっついている。

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何も知らない時代遅れの母より
何かどこかでアンテナを張って
彼らの好きなこと興味のあることを受け止めて
なんなら半世紀の人間だって一緒に楽しみたいもんだ。

また畑に戻るとオートマチックに壊れたラジオがかかりだす。
1曲だけじゃないんだよ、Mixで!ラジオDJさw

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☆こちらの記事もどうぞ☆
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飛び出せTeenager!
いまをありがとう l'arrivo al mezzo secolo



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