日が出てると汗ばむほどだ。
でも風が吹くと気持ちがいい。
庭はマルガリータの絨毯のようだ。
ルーコラ、タンポポ、ボリジの花が
ところどころに咲いている。
オリーブ畑には
日本のより頭でっかちなツクシが
ニョキニョキ生えていて、歩きづらい。
ブドウ畑には
菜の花やカレンデュラ、ボリジ、ビエトラ
マルバ、名前のわかんない草
緑肥のソラマメが勢いつけてきた。
カレンデュラのミネラル豊富そうな香りが
日に当たると1Mぐらいは余裕で放出して
鼻よりも口の中が充満する。
ソラマメと菜の花によってくるのか
テントウムシがあっちこっちにいて
じっと日向ぼっこをしているようだ。
ブドウの芽が膨らみはじめた。
そうこうしているうちに、芽が咲いた。
こんなに暖かいのでは
木々は急いで生まれてくる。
早咲きのサンジョベーゼという品種は
涙が溢れ出ている。
遅咲きの品種だってもう
ゆっくりと樹液は流れはじめ
枝は柔らかくなってきた。
こうやって
リンパが流れはじめるタイミングで
枝縛りの作業をする。
剪定されたけれども長すぎる枝を剪定すると
ボタボタ涙をこぼす。
その涙をイタリア語でPiantoピアントと呼ぶ。
私は、今年もこの涙を見ることができた。
そして今年も、この涙に知らずと触れて
ドキッとした。
涙の温度は冷たいのだけれど
ブドウの体温とおもうと
ドキドキするのだ。
だから春が好き。
閉じたり咲いたりする草花をみたり
花びらが太陽に透けた光をみるのも好き。
一気に生まれだすエネルギーが好き。
私も一緒に生まれだす感覚を
味わうのが好き。
生まれだす彼らも私たちも
未知な未来が待っていると
想像することにワクワクする。
命の液が時期が来ると流動する
その本能に毎度感動する。
きっと私たちだって
時期が来れば知らずと流動しているはずだ。
きっと私たちだって
時期が来れば知らずと放出しているはずだ。
本能と気持ちと心が
シンクロするからややっこしい。
このままじゃいけないと
おもうかもしれない。
もっともっとと求めるかもしれない。
いや、もっと時期が来るまで待とうと
見送るかもしれない。
それとも、このタイミングかもしれない。
ひとの人生って季節には
そうも左右されないかもしれないけど
ヒトとは異なる生き物の一生とか
彼らの人生を時々ながめていると
どこか重なるところがいっぱいある。
生きてるところが同じ
大変なところも同じ
常にリスクを追う生活も同じ
本能も実は似てるかも
気持ちを交換するのである。