『HACCPがEU基金講座にあった licenza S.A.B. 前編』の
つづき
年が明けて、ロックダウンのレッドゾーンから
トスカーナは少しゆるゆるオレンジゾーンになった。
そのEU基金を運用したトスカーナ管轄の講座・食品衛生責任者
リモート授業をやめて、教室で生授業をするということになり
私は引き続き教室へ向かった。
え。誰?この人?
画面で見てたより、こんなに小さいんだ!
わ。この人、全然雰囲気違うー。
私の目を見てくれて、話しやす~い。
画面の人と実物の親しみやすさのギャップに驚いた。
きっと向こうも私のことをそう思ったに違いない。
リモート授業で発言する人って決まってたけど
私も発言する機会が増えて、和やかになった。
受講者男子1人で合計8人中、私を入れて外国人は3人いた。
中国ちゃんとナイジェリアちゃんは無口だった。
生授業の欠点は、マスク装着だった。
口の動きがみえないのは
外国人にとって理解の難度が増す。
目線が合うことの親しみやすさは生授業のメリットだけど
ニコっと笑ってる口元が見えないのはデメリットだった。
授業は、なんだか、スライドを読んでるだけで
あまり頭に入ってこなかった。
リモート授業もわかんないし、生授業もわかんない。
言い訳じゃないw
読むタイプは女子講師に多く、男子講師の方が動きがあったことと
経験談や例を出してくれて、ふむふむと興味が湧いたことは
講座テクニックとして覚えておきたいことだった。
授業用パワポをプリントアウトしたものがテキストだったので
授業は無料だったのに、お金使っちゃったなぁ。
高さ10㎝にはなるプリントを
試験前には5ページぐらいにまとめた。
大切なのは、なぜHACCPが存在するのかというより
実用的なことと理屈っぽいことだった。
生ものを腐らせる自然界の要素とか
ばい菌はこういうときにくっついちゃうとか
ばい菌を退治するにはどうすりゃいいんだとか
菌が繁殖しやすい食品の保存方法だとか
材料や調理済み食品が届いたときのチェック項目だとか
経理に関しては、経理さんがしっかりしてればいいだろう
とあまくみてかかった。
きっと他の受講生も同じ風に勉強してただろう。
えっとー、私が一番年寄り..年長さんだったんだけど
イタリア人より試験に落ちる落ちない、あまり不安はなかった。
20代から30代の開業するには適した年齢の子たちで
ついこの間まで現役学生をしていた子だっている。
しかし、やたらと不安がって、こっちまで影響されちゃう。
年長と若手の違いまで分析してしまった。
人生経験とか日々の暮らしとか
毎日の生活の中で学んでいることってあるんだなと。
やっぱり若手と年長では
気をとめるところが違っていたりする。
それとモラル的生活の知恵とか知識量が
多く生きてる分、年長は多いに決まっている。んだ。
私が、原材料を生産する農業に関係しているだけではない。
フツーだったらソレわかるだろってこともあったり。
思い出してみると、自分も20代は知らなかったな。
テーマごとに講師がかわった。
その度に、君たち本当にわかった?テストがあった。
今やったことだからわかってなければいけないのだけれど
聴いてなかったり、覚えてなかったり。
自慢ではないけれど、おしゃべり若手イタリア人より
テストの成績が良かったりしたこともあったニッポンジン。
モラルよ、モラル。
道徳心があれば、人を守る心があれば
試験へ向かうテストだってわかるもんだなと気づいたわけだ。
人生の気づき。
中国ちゃんとナイジェリアちゃんは
イタリア語力が欠けていた。
私たちの共通語がイタリア語だから
助けられなかった。自分の努力しかない。
剪定士の試験のとき、イタリア語日本語両方を調べて
自分に自分の言葉で理解して
自分に自分のイタリア語で覚えた記憶がある。
私は、相変わらず電子辞書を使う。
イタリア人は電子辞書の存在を知らずにスマフォが登場し
ググれば解決という方法をとっている。
私は、電子辞書のシンプルさが便利だと思っていて
Googleの検索結果の複雑さを面倒に感じることがある。
だから一単語の意味が一つでいいときは電子辞書と決めている。
中国ちゃんとナイジェリアちゃんは
だからスマフォを握りしめていた。
中国ちゃんは、スマフォの翻訳アプリがないと
何言ってるかも何書いてあるかも
半分ぐらいしか理解していないようだった。
ナイジェリアちゃんは、英語は堪能だった。
私にはないものをもっているのに、ここでは発揮できない。
君たち本当にわかった?テストで
仲間の外国人たちが悪い成績だった。
何か助けになってあげたい。
「先生、辞書は使ってもいいですよね?」
と質問してあげた。
そんな些細なイタリア語も自分からは
言い出せない子たちであった。
イタリアだから、講座が終了してから一か月以上経って
ようやく最終試験の日がやってきた。
とっとと冬のニートな時期に完結させてくれればいいものを
忙しくなってきた頃に試験があった。
だから試験間際賞味4日間で勉強しきった。
けっこう焦った。
オドオド若手イタリアチーム並みに
ドキドキキリキリした前日。
開業系は、君たち本当にわかった?テストを
丸暗記するしか手はなかった。
だって難しいし苦手なんだもん。
開き直って、それ以上は覚えないことにしたw
HACCP系は、運転免許みたいにシミュレーションテストがある。
過去テストだったり、ネットで拾えたりできる。
テストの内容はほぼ同じみたいだ。
3択テスト用はそれをほぼ丸暗記した。
質問と答えの丸暗記w
質問一単語と答え一単語を覚える方法であるww
きっとみんなもそうだよね?‼
本気で勉強する方は、文章で書く筆記試験と口頭試験だ。
イタリアらしい。
よく思春期少年がやっている。
口頭試験は、日本人苦手だぞ。それとも私だけか?
もう、緊張もそうだけど年齢的に
脳みそにあんまり留まることはなかった。
だから、10㎝のプリントテキストを
自分流に要約したことで、なんとなく覚えた感じだ。
案外それがよかったみたいだ。
あとは、開き直るしかない。
中国ちゃんと試験当日少しだけ打ち解けることができた。
彼女は、辞書を持ってきていた。
でもまだ自信のないことを言っていた。
「アナタはイタリア語分かるからいいけど私はダメ。
きっと落ちるとおもう。この試験は私にとって試しなの。
母国語だったら中国で勉強したことあるから全部わかるんだ。」
大丈夫だよ!と安易なことは言えないけど
辞書があれば心強いじゃんとだけ言っておいた。
ナイジェリアちゃんは、YouTubeをみていたw
うるさいぐらいだった。
そのYouTubeは明日あるという運転免許の説明を
母国語でしているというYouTubeであった。
すごい度胸だな。アジアンにはない。
こっちの試験終わったら勉強すればいいだろ!
と心の中で思っていたけど
「マキ、今更ジタバタしても仕方がない、なんとかなるさ。」
と何故か年長の私が勇気づけられちゃったw
そうだよね!そうだ!そうだ!
イタリア人の仲間たちは、不安でオドオドしていたが
寸前まで、自分流ノートを手にして読んでいるのは
私だけであった。あ、中国ちゃんはスマフォノート。
10問の3択も文章系筆記試験もまぁよくできた。
想定内の内容でホッとした。
電子辞書を持ってきてるのに
2問ちょっと疑問が残った問題があった。
最後の授業に来ていた今回の講座のメインの講師がいる。
年長さん、質問しちゃおう!とおもう。
だって質問していいって言ってたもん。
「すみませーん、この2問ちょっと不安なんですが...
これかこれ迷ってるんです。」
「最初に考えた方が正しかったね。」
「書き直しちゃっていいですか?」
「あ、いいよ。」www
問いに答える文章試験は3問
最後の授業で箇条書きで答えるからね!
と念押ししておいたので
いかにもまとまってる風に図式化した。
覗きにきた髭がマスクからいっぱい出てた
どっかの観光系学校(alberghiero)の料理科のシェフ
らしき試験官が、グー(ッド)と親指を出してきた。
当たり前だ! 答えが図式化だぞw
中国ちゃんは、隅っこの方に座って悪戦苦闘してたから
試験官がみるにみかねて
中国ちゃんが辞書でひっぱって並べて
試験官が文章にしていたみたいだ。
よかったね!母国語だったらできるんだもんね!
なんか優しい光景じゃないのよ。
母性みたいのが働いてウルっときちゃったw
それも束の間...口頭試験が始まった。
ついこの前まで現役学生してた若手は
名前順だろうという。
私は、応募先着のリスト順じゃないの?
どっちにしろ、一番に始めるのはなんか嫌だ。
トップバッター...帰ってこない。
口頭試験、15分て言ってたじゃん。
仲間たちは、ソワソワドキドキキリキリオドオド。
トイレに行く途中、中の様子を伺えた。
1対5人に囲まれてEちゃん小さく見える。
うぅ、私も2時間後ぐらいにあそこにいるんだ。
なんかこわい。
30分ぐらい経って、Eちゃんが残念そうな顔して出てきた。
みんなが心配そうにEちゃんを囲んだ。
最後の授業できっとこんな質問されるだろうって
シミュレーションしたはずなのに
全っ然違った質問で、ちっとも答えられなかったそうだ。
要は、面接ではないけれど
このライセンスを取得して、何をしたいのかと聞かれ
Eちゃんは、エノテカ風ビストロと答えると
それにまつわる料理に関した実践的な質問だったそう。
メニューにはないことまで聞かれちゃって困ったようだ。
印象悪くなるけど、わからないものはわからない
と、開き直ったはいいが、わかるカテゴリーに入るまで
質問攻めだったそうだ。えー。
きっとあの髭シェフだな。
EU基金だしトスカーナ州がオーガナイズしてるから
調査的な目的もあるのかなと私は思った。
生徒の頭脳(理解度)よりも講師のレベル(教え方)もはかれる。
次回の向上になるのであれば、それは致し方ない。
2番目、3番目と少しずつ短くなり
予定通りの15分ずつとなり、質問されたことを
外にいる仲間たちと考えあった。
最後から2番目だった私は、みんなからの情報があったし
試験官も疲れてきていて、緊迫感は薄れていたように思う。
試験じゃなくって面接じゃなくって
おしゃべりの方が多かったように思う。
特に髭シェフとw
私はオリーブとワインに関わっているといったので
それに関しての質問がいくつかあった。
そしてブログが役に立った。
知らなかった人や忘れてた人そして自分のために
ときどき勉強になるなと思うことをレポ的にまとめたりする。
調べたり記録させることでなんとなく覚えているのだ。
写真を撮るとそこだけ色濃く覚えているように。
ラベル(etichetta)のこと
IGPとBIOLOGICOのこと
バイオダイナミック農法のこと
というか、興味本意で聞いていた感じ。
オイルの種類を聞かれたので
オリーブオイルの種類を言ったんだけど
油の種類のことを聞いていた。
ヒマワリ、トウモロコシ、ピーナッツ、大豆、ゴマとか?
「そう、それそれ。何が違うの?オリーブオイルと」
そうだな...何だろう...
ヒマワリなんかは種からで
オリーブは果肉から搾られている。
授業や10cmのプリントアウトテキストでは
やっていない...
口頭試験で聞かれた質問をメモっとこう。
冷蔵庫の野菜の位置、生肉の位置
調理するときの格好
調理器具の洗い方
消費期限と賞味期限
「で、いつ合格発表されるんですかね?」
「おう、ヘリから合格の旗だしてやるわい。」
と髭シェフw
そうわっはっはと試験は完となったわけだ。
講座も試験も、落とすためのものではない。
資格も免許もどんどん取って
自由に活動して欲しいだけだ。
思春期少年の進路相談で
その職安の人材養成スタッフに相談したことがある。
進路変更したくて、こういう養成講座を受けて
スキルやライセンスを取得する方法はあるから
進路を間違ったと失望することはない、と。
この一回ぽっきりの飲食衛生責任者ライセンス
不意に出会ってとるだけとって
いったい何に使うんだ?とこれからの課題である。
※写真は Go To Marcheマルケ州に行った時のもの。
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オリーブオイル関西のセミナーにイタリアより生配信で登壇します。
「ヴィンチの丘で オリーブ剪定」
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