大地の住人 ヴィンチの丘で

地球と体に優しいコト ~イタリアから~

フィレンツェの端っこレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとヴィンチの丘に在住。 大地の自然たちと向き合って地球と体に優しい様々なコト、発見・提案・発信!

タグ:Natura

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私は何をやるにも集中型で
いろんなことを同時に進行させることが不器用だ。
もう、それはそれでいいと思っている。
自分が自分に費やしているエネルギーと時間は
その今の気持ちにゆだねようとおもう。

昨年は、その気持ち的に余裕はなかったけれど
今年は、気持ちの余裕というより
精神をリラックスさせることにすがる想いだ。

歳を重ねるごとに
この10年どう生きるかをめっきり考えてしまう。
20代、30代、40代、そんな風に
考えたこともなかった。

最近なんだか二人っきりが多い日々
夫と振り返ることが多々ある。

私たちの失敗というか判断が間違ったことは
たいてい誰にも相談せず
若い二人で決めてきたことだ。
私は、両親をはやくに亡くした。
夫は、兄弟が多いので
そういうところはかなり自立していた。
人生の学びさ、とお互いを慰め合う。
この学びを、我が息子に教えたいけれど
同じ人生を歩むことはないので
私たちとか私の人生の良いことと悪いことに留まる。

夫や自分を褒めたいことも少しはある。
生活はずっと大変だけれど
それでも自由はやってきた方だよね、と。

人生の成り行きなんだけれど
不幸が転がり込んできたとき
どう過ごしていくか
もしくは、どうしてもやってみたい気持ちを
どう決行するか。

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バラバラな今の気持ちの家族たちは
バラバラに思い思い日々を過ごしている。

だから、毎日を癒してくれる我が家の周りの
大地を歩き回りハーブを探した。

昨年できなかった聖ヨハネのアクアを今年はつくりたい。

ひとりでいいから
ほんの少しの時間をたのしみたい。

これだって十分聖ヨハネのアクアの目的を果たしているさ。
明日の祈りも大切だけど
今の気持ちの幸福さも大切さ。

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夏至とは一年で一番日照時間が長いうえ
植物、生物、私たちのもつエネルギーが
一番活発になる時なんだそうだ。


世界の夏至祭では太陽を表す火として
焚き火祭りが多いとされている。

その祭りは夏至から624日の
聖ヨハネの誕生日頃に
行われるという。

そして、長い太陽が火と象徴されるならば

短い月は水と象徴される。


その太陽のエネルギーを浴びた
大地の草花を前夜
23日に摘み

一晩泉水に浸け月夜のエネルギーを吸い込ませた液体を

Acqua di San Giovanni アクアディサンジョヴァンニ と呼ばれ
邦題は、聖ヨハネのアクア と私はしたい。
アクアとは水。

そのアクアを24日の夏至祭でもある聖ヨハネ祭に
浴びる
という伝統が何百年経った今でも
続けられているイタリア。


そのアクアの魔法は

新たな季節のはじまりと自然界のパワーを得ることから

自身への浄化、生活へ幸福を導き、健康や愛の向上

そして作物へ豊作祈願、魔除けなど

日常の実は切実な神頼みを込めた祈りの水なのである。


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6月23日の夕方、ハーブを摘みに行く。

この時期に旬なIpericoイペーリコという
セイヨウオトギリをメインに
最後のバラ、ラベンダー、キャラウェイ
セージ、ローズマリー、メリッサ
マロウ、フェンネル、アカシア
名前を忘れたハーブたち

我が家の水は、ヴィンチの山から汲んでくる湧き水。

デコレーションを楽しんだら、月夜に晒す。

翌朝の24日、キンとした聖ヨハネのアクアを
そっと浴びる。
手を濡らしたり、顔にあてたり。

そんな神聖な行為が済んだら
私は、ハーブをすくってドライフラワーに。
いい香りと効能のあるアクアは
シャワーのときに浴びたり
虫刺されの時にアクアでこすり流したり。

こんなロマンティックな行為ができた年は
今と明日への希望を持っている証拠だ。

ドライフラワーを眺め香りながら
また日常に戻りたいとおもう。

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この大晦日は、はじめて親子バラバラだった。

思春期青少年は、地元の友が広がって
地元グループで新ヴィンチ友宅で集合することになった。

その新友宅は、きっと何百年佇んでいるだろう建物らしく
住居部分は手入れしてるけど
他は空き家状態に放置していたらしい部屋の一部を
ガキたちに使用許可を出した様子だった。

しかし、条件がある。オマエらで掃除しろ!とのことだった。
おもしろいじゃないか。
思春期青少年たちは、数日集まって
その空き部屋を掃除しに通った。

食事はバーベキューを企画したみたいだ。
友たちはおこづかいを出しあって
自分たちでお肉やらを調達しに行ったそうな。

「今までお父さんが火を起こしてくれてたのに自分たちでできるの?」
「ボクたちもう小さな子どもじゃない、火ぐらい点けられるよ。」
私は黙って聞いて、心の中でニンマリした。

数日掃除に通い、まだ50㏄免許のない我が思春期青少年は
父が送り迎えをしたところ
佇んだその古い建物の中から、新友の親が現れたそうだ。

フリーダムなヒッピーを想像していたが
いたって普通の大人で「私たちが見張ってますから」と
私たちの気になるところを言ってくださった。

こちらからすれば、ありがたいことだ。
っるせーな!と尖りまくっている思春期青少年たちを
見張っててくださるなんて!

元旦の朝、早朝でもないゆっくりでもない変な時間に電話があり
父が迎えに行った。
二人は黙って帰宅し、黙って布団に戻っている。
思春期青少年は時差のある長旅から帰ってきたかのように
あれから眠り続けた。

どんなシチュエーションだったかは何も語らないけれど
かっこつけて白地のナイキのトレーナーは煤だらけに汚れている。
本当に自分たちでバーベキューした様子だ。
前も後ろも汚れている。
これまた白いナイキの靴は泥まみれで
私はニヤニヤ想像を掻き立てた。

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私はこの数か月、いたって普通の生活をしているイタリア人の
集団の中で過ごしていた。
彼らは、冒険を得意としないひとたちだった。

私はイタリアに降り立った時から、いやもっと前から
もしかすると幼少期から、ずっと冒険だらけの人生で
困難だらけの生活だ。

生活を自ら変えるかえることも
災難が降りかかってくることも
立ち向かったり乗り切ることが冒険だ。

そういったことをたいていの人は恐れるようだ。

冒険した先には、いろんな出会いと発見がある。
ヒトだけではない、様々なカタチで。
信じられない困難もあれば、分かち合えないほどの感動や喜びがある。

私は、まだまだそんな冒険を終わらせたりはじめたりを繰り返している。

冒険拒否のイタリア人たちとの会話は難しかった。
イタリア語が難しいのではなく、会話の内容が単調過ぎて難しかった。

彼らは、いつも不満を抱えていた。
私はいつも彼らの不満を黙ってきいていた。

彼らの不満をワタシ流に解釈してみると
冒険不足につきた。

私は言葉で彼らに寄り添うことはできなかったけれど
笑顔と生真面目さは印象に残せたとおもう。

私は冒険自慢はしたくないし
アドバイスする気もさらさらない。

話せば話すほど人の性格は見えてくる。
話題もそうだし、言葉の選び方もそうだ。
正直、彼らの話には興味がなかった。
私はなるべく自分を保った。

彼らが不満合戦をしていると
ふと私をみて羨ましそうに
「マキは絶対悪口を言わないし汚い言葉もつかわない」
彼らは、頭で考える前に言葉が出ちゃうんだそうだ。
きっと冒険不足の習性だとおもう。

私は新たな冒険に出ることを伝えると
「キミは絶対戻ってくる」と言った。

口数を少なくしても表情と態度で
私を表現できたことに私は嬉しかったし
これが私の冒険だった。

私は言った。
人を知るのに私は急がない。
怒りもしない。
時間が私をいつも助けてくれる。
嫌な気持ちを忘れることも
好きな人の距離を縮めることも。
私は、時が来たら私の気持ちを話す。

「アナタはまるでフィロゾファーだね」
そんなこと考えたこともないけれど
半世紀の人生の学びだろうと心の中で答えた。

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2023年、世界も私も何が起こるかわかりません。
冒険だらけの毎日で、たくさんのことを学んでいます。
落ち込んだり誰もいないところでニマニマしちゃうほど嬉しいこともあります。
気持ちを整理しながらゆるりとブログに記録できたらとおもいます。
どうぞ引き続きよろしくお願いします。



日本のみなさまへ特別にobatamakiが監修した
2022年11月収穫EVオリーブオイルのご注文は
こちらのサイトよりどうぞ







今日の一曲




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雨の日、二本立てで日本の映画をモニター越しで観ることにした。

オンライン日本映画祭というものが海外在住者向けに
無料で期間限定で観れるとのことだが、国が限定されており
シスターのいるアイルランドでは観れなかった。

我が家は、コロナ禍のロックダウン中
少年のリモート授業の必要性から
やっとその時から、無制限ファイバーWIFIを導入した。
リモート授業にあわせて、PCまで購入したんだ。
約2年前とかである。最近の話だ。

それまではSIMのデザリングから月々に使えるGBを気にしながら
思う存分WIFIライフはしていなかった。
必要性も感じていなかった。

しかし、無制限ファイバーWIFIが我が家に登場してからというもの
家族は各々に過ごすことになる。わけだ。
ますますバラバラに行動し、客観的にみると寂しいものだ。

思春期青少年に日本映画祭のことをいうと
期間限定で時間があわない、時間がないとのことで
うーん...という返事だった。

だから、誰もいない日、そう、雨の日の午前中に
私だって余裕のある時間はない、どちらかというと急いで
「南極料理人」と「羅生門」を観たのである。

なかなか映画を観る機会もなかったし
そういうわけでネットで映像を観る習慣もなかっただけに
古い映画でも新鮮だった。

ここに残したいぐらいだから観て良かった映画たちだ。

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羅生門の方は、モノクロ映像だけれども
私は写真でもモノクロに撮るのが好きなだけにイメージが湧いた。

モノクロにすると時代感が薄れるような気がする。
今のような、昔のような。
時代が交錯することで、≪人生とは常にある≫ことを強く感じ
モノや環境に関係なく≪生き様≫を感じるのが
モノクロの特徴のような気がする。

ニュースで、ウクライナとロシアの戦争が勃発するかもと
ウクライナ民が避難している映像が日々流れている。

2022年にもなって本当に戦争なんて起きちゃうの???
100年前と同じことしちゃうの?
中学三年生だった少年の学習発表は、戦争と暴力がテーマだったよ。

ウクライナ民が列車に乗り込む映像がモノクロにみえる。
子どもとクマちゃんのぬいぐるみがモノクロにみえる。
現地に残ってインタビューを受けている歯っ欠けのおじいちゃんが
モノクロにみえる。

イタリアは、ロシアからのガスが値上がりして
電気も値上がりして、ガソリンも値上がりして
流通や原動に付随する食品だって値上がりして
コロナで仕事の量は少ないのに職探しは困難で

そういう痛みを感じる家族とそうでない家族に分断されるイタリアだが
いいことがあっても浮かれきれない私たちの生活は
目の前の太陽の光にやっぱり癒されるのである。

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雨の後、私はブドウ畑で、枝を縛る作業を黙々としている。
ひとりぽっちだ。
壊れたラジオは、都合よくかかって都合よく消す。

まるで囚人のように足に重しをつけている泥まみれの私は滑稽だ。
でもゴム靴を履いて汚れる覚悟をすれば
子どもが水たまりにボチャンと入るように
汚れることも泥が重しになってもへっちゃらになるのである。

黒っぽい枝とグレーの空と茶色い土は
緑肥のソラマメまでなんだか色味を忘れてしまう。

それでも赤いテントウムシは遠目でも見つけるんだ。
なんかいいことあるかな。



☆こちらの記事もどうぞ☆
モチベーション a wet day
親愛なるスクールよ Dolce in forno
畑でめぐる壊れたラジオ musica in testa



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日照時間が少なくなってきて
サマータイムがまだ終わらなかった10月
いつもの暗い夜に就寝するあの風景のまま
起床も暗いのはなんか損した気分だった。

新生活は暗い朝にもあった。

思春期青少年を6時45分にヴィンチ村まで見送る
けど、やっぱり暗い。
しかし、東の方から黒の空にピンクを見つけた。

そのピンクを見つけたときから
空って刻々と明るくなって
太陽が誕生するような神々しさで
目が放せないほど、時間でも言い表せない
その刻々の間に、空が変化していくのだ。

わー、うわー、言葉にも言い表せない
その空の変化に、ドキドキした。

今見送った青少年も見てるかな。
ウチの子が見てなくても誰か気がつくだろう。

そんな風にバス停にたむろう同じくらいの青少年たちをおもった。

このピンクの空は朝である。

東はにぎやかで、西を振り向くとひっそりしている。が
その東のにぎやかさは西まで響き、深い奥行きを創り出していた。

我が家は西側に窓があるので、西の光景ばかりだ。
東は、そうやって移動するときに
いつもと違う風景に出合う。

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青少年が法律の授業が退屈だとこぼした。

ついこの間私も法律の授業がある講座を受けたので
少しだけ言いたいことはわかる。

本物の社会の授業に突入して何がなんだかわからないのであろう。

しかし、世の中はモラル以外に
度を平等化する法律とか権利とかで治まっているのだから
今退屈でも将来いつかひょんな時に役に立つぞ
法律や権利って問題にぶち当たらないと
気がつきもしなければ必要さもわからないけれど
知っておくと動きやすいことが多々あることは
そこはやっぱり人生半世紀も生きてきてれば
一般教養として学べるにこしたことがないと
必然的にアドバイスができる。とりあえず学んどけ。

「憲法の第一条ってみなさん知ってますか?」
え...何だろうね。とみんなで顔を見合った。
「憲法の第一条って<国民は仕事をする権利>から始まってるんですよ」
へぇ、そうなんっすか!

私が受けた講座の労働法の授業はそう愉快なオッサンで
まるで自慢話のように法律を話してくれたおかげで
なんだか私たちまでワオ!と体が乗り出し
質問や笑いまで起き上がっていたんだから
その愉快なオッサン講師は上手なんだとおもう。
そしてこうやって覚えてられるんだから教え方イイ。

「大統領って外国人でもなれるって知ってます?」
そういうメディアっぽい質問の仕方が興味を駆られる。
「答えは、なれるんですねぇ。」へーなんでぇ?
なんで?という質問を待ってました!と嬉しそうに
「イタリアに50年住んでればなれるんですねー!」
と私の方を見て
「アナタでもなれます。」と指をさす。
広告のタイトルか?

先日法律・権利の抜き打ち口頭テストに我が青少年は当たって
当然の言い訳、勉強してなったとかで、点数が悪かった。

しかし、悔しいと思ったのかこのままではまずいと焦ったのか
次のテストでは、なかなかの成績がとれたそうな。
(何事も結果好き青少年は、成績結果はポロっと報告する)
お!どうしちゃったの?いい成績じゃん!先生に気に入られた?
「そりゃ勉強すればボクだってできる。」ほー。

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朝、青少年はなかなか起きたがらない。
不規則な生活してるからだ。
昼寝が長すぎたり遅くまで起きていたり。

この新生活、高校の終了時間が遅いのなんの。
帰宅が14時半か15時半。家に帰ってからお昼。
お昼学校で食べてゆっくり午後も授業してくれていいのに
なぜかぎゅーっと6時間授業を詰め込みたいフシギシステム。

早弁用におにぎりやパニーニもってく?
「いらない。誰も食べてないしお腹空かない。」などという。
今の子って理解不可能...

そういうわけで、家族の目覚ましが鳴りw家族で起こし合い
本人も遅刻はしたくない性分だから起きるけど
目覚めが悪いようだ。

生活スタイル変えたら?とシンプルに提案すると
「わかってる。よくないことはわかってるけど今はできない。」
いつも役に立たないことばかり言っている思春期青少年で
母はいちいち腹が立つが、たまにこうやって真相が聞ければ
変化とか発見を静かに見守ってあげようとおもうのである。

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朝から親子ケンカして挨拶もしない日もあるけれど
朝から相談にのってチャオと言い合える日もある。

サマータイム終わったら、朝は朝らしく明るめの朝だ。
夜寝て夜起きピンク入りの夜の朝ではない。
同じ朝なのに同じ朝じゃない。
刻々と変化していく空のように
私たちもなにか変化のある毎日である。


【お知らせ】


2021年より、Obata Makiが監修しましたヴィンチ村15㎞圏内の
トスカーナ産エキストラバージンオリーブオイルが
日本のみなさまへ数量限定で
olivewellness.storeより販売が決定いたしました。
生産過程がこのように垣間見れるオリーブオイルは珍しいことと思います。
この機会を是非ご利用ください。
こちらのリンクにて予約注文ができます。



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ボクらは土ころを蹴った un fotolibro di oggi / Autunno 2
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パスクワ前まで雨も降らず天気の良い日が続いた。
そう、パスクワまでに終わらせようと週七日畑作業をして
体中が痛かった頃だ。

あの日は、オリーブの剪定をしていた
初夏を思わせる汗ばむどころか突然の暑さに息苦しくなるほど
ある意味危険な日もあった。

その初夏の陽気は肌で覚えている。
6月のブドウの誘因作業の時期で
よく喉が渇いて顔や体がほてるあの感覚。

温暖化はここまで変えるのか…
今からこんな暑くちゃこの先思いやられるなと
暑さに怯えていた。

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大地にポツンポツンと人が立っている。
農夫たちは絶望していた。
遠目でわかる。
私は、まだ農夫たちと話してないが
言わんとすることは想像できた。

パスクワも本当は雨予報だったのが雨は降らず
そのあたりから気温が下がり始めた。
そして、氷点下となる夜が続いたんだ。

どのTVニュースでもネットニュースでも
農作物が危機と報道されていた。
あるブドウ農園では、薪を焚いて
愛おしいブドウのいる畑の気温を上げる
なんていう手を尽くしていた。
その光景は目を疑うように、ブドウに暖を与えているのである。

その後暖が役に立ったかわからないが
今年初めて試みる手ではないようだ。
各地で毎年どこかで危機に襲われてきたことがわかる。

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我が家の由緒あるPucci家の庭園にある藤の分身
ブドウのような剪定だということも発見できて
順調に芽が出て膨らんで、花が咲き乱れて
強い香りを放ち、いろんな種類の
ハチたちの溜まり場となっていた。

しかしこの四月の寒波は、強そうな植物藤の花をも姿を変えさせた。
それを日に日にみて、こっちも気が落ち込んでいき心配になった。
あんなに気品があってどの時間でも美しかったのに
どんどんしぼんで、生気が失われていくのである。
今は、醜い藤がぶら下がっていて
みんなゾンビみたいになっちゃったのである。

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今年こそは実になりそうなサクランボの花も満開中だったのに
時が止まったように、茶色くなっていく。

ほんのりピンクが入ったヒラヒラしたリンゴの花も満開中だった。
一足先に満開だった洋ナシは結実は済んでいたのか心配だ。

もともとあったイチジクの木は地域で発生した病気に罹って
枯れ気味で、昨年新しく苗を植えて根付いて喜んでいた矢先
小さなイチジクも寒波にやられてしまった。

それじゃぁ簡易温室トマトの芽はどうなんだ?
うぅぅ、トマトまでやられている。
全部ではないから、このまま様子をみよう。

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私も寒くて家の中にいられない。
陽は出てるから、散歩をした。
しぜんとブドウ畑に向かっていた。

自分は農園の主でもないただの作業員だけど、胸が苦しくなった。
ついパスクワ前までブドウの枝を縛って
ブドウの芽生えに胸を膨らませていたのだから。
日に日に成長していく様子が遠目でもわかり
緑のプチプチが光って見てとれていたのである。

光っていた彼女たちはダランとうなだれ、生気も精気もない。
ポタポタと溢れるほどだった樹液は凍ってしまったのか。
葉はパリパリに乾燥して、緑色だった新枝は茶色くなっていた。

農薬ブドウも耐えられない。それじゃ有機ブドウはどうなんだ。
農主のブドウたちの様子をみに歩いた。
陽は出てるから歩くと汗ばんでくる。

有機の…バイオダイナミック農法のブドウさえも
やられてしまっていた。
農主は向こうの方で土を
トラクターで耕していた。

生き残ったブドウたちのためだ。
ここで放ったらかしにしてはならない。
消毒しただろう臭いも鼻に入ってきた。手は打ったようだ。

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それでも枯れちゃったら生き返ることはないだろう。
生気がみなぎる樹液に触れてドキドキしたことを思い出した。

未来の枝は残せるのか。
この先また温かさをぶり返せば
未来となりそうな枝は生まれてくるのか。

農主に声をかける勇気はなかった。
遠くから手を振ったけど
気づいていたのか悲しんでこちらを見ていたのかわからない。
今度会う日はいつだろう。
もう私の出番はないはずだ。

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自分は無力を感じた。
自分の体で覆うこともできない
手をつないで逃げることもできない。

自然の生命て、どう生き残って子孫を残せるか
それは植物や動物や虫だけのことではない
私たち人類も今そんなシンプルな原点に気づかされている。

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はじめての体験であった。
生気が失っていく姿をみとけと家族に言った。

それでも野草は木々の精気を吸い込んだように生き生きしていた。
負けてはいけない。私たちも野草のように強く生きよう。



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